海抜の作品情報・感想・評価

上映館(1館)

海抜2018年製作の映画)

上映日:2019年11月23日

製作国:

上映時間:80分

ジャンル:

あらすじ

「海抜」に投稿された感想・評価

ワンコ

ワンコの感想・評価

3.5
葛藤
もしかしたら、こんなことは世の中に結構起きているんじゃないかと思わせるような事件をベースに、その後のそれぞれについてはイメージを膨らませてストーリーを紡いだのではないか。
それぞれの葛藤も、正解はきっとないにしても、よく考えられていたのではないか。
演者の「棒読みですみません」とか、演じる役柄にどう取り組んだら良いのか悩んだとか、当然通過しなくてはならないところについての話もうなずけて、もっと頑張れと言いたくなった。
eye

eyeの感想・評価

3.5
海抜(2018)

城西大学の学生による卒業制作作品
2019年にuplink渋谷で公開されていた

第31回 東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門で脚光を浴び 一部で話題となっていた

ドイツで開催された第19回 ニッポン・コネクション日本映画祭でも審査員賞を獲得している

単純な学生が撮った映画が国を飛び越えつつ
称賛されるにはワケがある

ということで単純にその理由を知りたかった

”性暴力”

という視点を青春の一時期に折り込み しょく罪の意識に囚われる心情が描かれている

突然の不条理な暴力を描いていて
浩や理恵のその後の人生に影を落とすことになる

主人公である浩は直接的な加害者ではないが 間接的な加害者で重要な人物となる

「そんなことが起きるとは微塵も思わなかった」というレベルで性暴力は起きる

1999年-2002年-2011年の年代を生きてその間の時代の流れを挟み込み 主人公 浩は3度 見た目を変え 時の移り変わりを全身で表現している

>(海抜は)海から見た ある陸地の高さ
>浩から見た 被害者 理恵の物語・人生

掛け合わせた言葉が「海抜」というタイトルになっていると監督は述べていた

ちょっと話はズレるけど…

海辺のシーンのカメラの手ブレがヤバかった

後ろ姿をそのまま追いかけるリアルなシーンのためにカメラがめちゃくちゃ揺れていて

気持ち悪くてスクリーンを凝視できず目を逸らしてしまった

話を戻し 「この映画が評価された点は一体どこなのか?」と考えると

性暴力を加害しておいて全く罪の意識なく伸う伸うと生きている人間(達也・健吾)

間接的に加害した人間(浩)

これを主人公 浩に焦点を当て続け
観客には客観的な視点でずっと罪に意識に苛まれていることを中心に捉える

その陰と陽の感情のコントラスト部分を学生が演じている中ではとても高いレベルで芝居が出来ていて

加えて

長い年月に渡るストーリーを一定の想いで同じ人物が表現し続ける点も難易度が高く評価されるポイントだったのかなと

自分を一観客・傍観者としての視点で捉えるならば、、、人物心像やストーリーの各シーンに点在する余白の描き方それ自体が学生が作るような作品レベルではなくスキルが突出していることも評価された点ということか

この作品全体のテーマとして

「不条理さ」・「他人への無関心」を掲げ

ストーリーのしょく罪についてのテーマの部分にあたる主人公 浩が理恵に罪を詫びて自己解放する

ということで「映画のテーマとして一定の目標はクリアした」と考えられている

ただ監督個人として 「浩は(理恵に)許されていない」と述べていた

その上での あのラストシーンに加え 理恵が振り向く

劇場で「(ラストシーンの出来事に)気づかなかった」って言ってる観客がいた

自分は気づいたけど とてもボカしたようなラストにしつつ 妙なインパクトを残している

監督は「観て頂いた方、それぞれの視点 あるいは 感想で良い」と話していた

その言葉に乗っからせてもらうと、、

自己解放された浩を痛めつける必要性には大きく「?」が浮かんでしまう

浩は理恵に許して詫びても一生苦難やしょく罪を抱え続けるはずであろうはずの人物であることはストーリー全体を捉えれば一目瞭然

その上で「アレ」が起きるとなると

浩が積み上げたものを総精算させるならもっと冒頭に なんなら 加害者 達也や健吾をも殺害し その後に自分も自殺すれば良いのではと思ってしまう

(ただ浩には支えて寄り添ってくれる凛子がいるから単純にそうはならないが)

「前を見てわずかでも一歩を踏み出し始めた」という結末にしなかったことで

「(長い年月を悩み続けた浩は)一生懸命生きてきたはずなのに最後まで救われない可哀想で残念な人物」

という印象に至った

あのラストを偶然とせずに必然とするならば徹底的な「天罰」に思えてしまう

" 性暴力 " という社会問題を捉えつつもドキュメンタリーではないので完全なフィクションであるなら楽しめる映画だと思う
力作だけれど、画面に集中しづらいので劇場用には英語字幕避けて欲しかった…
大学生の卒業制作とは思えないくらい素晴らしい出来。セリフも極端に抑え、カット割も工夫を凝らしている。俳優も無名ながらも気持ちや雰囲気は精一杯に頑張ってる。全体としてひとつのトーンや空気感に自分なりの話法をしっかりと貫く姿勢には非常に好感が持てた。

上映の後にプロデューサーや監督や演者(もちろん未だ大学卒業後1、2年の若者たち)のトークショーがあったが、テーマ性に質問が偏っていたのは少し残念だった。監督は大変丁寧かつ誠実に、半ば几帳面なくらいに回答しようとしていたが、彼はあくまでも映画監督で性暴力の専門家ではないのだから、そういう事に対する問いかけは少し可哀想な気がしたのは私だけだろうか。もちろん本作のテーマは蔑ろには扱えないけれど、この映画とは別に論じるべきものだろう。

処女作にはすべてが含まれていると言われるが(カット割や絵作り、音楽などを含めた映画の語り口、主題への取り組み方、演出の仕方など)、第2作目はそのどこを伸ばすのか楽しみな作家だ。
C

Cの感想・評価

4.0
映画館で観れてよかった、、、
観てる時も観終わった後も、色んなことをぐるぐる考えずにはいられなかった。
事件が起こる前の嫌な予感を感じさせる空気感が最高。
エリ

エリの感想・評価

4.2
性暴力を傍観してしまった男の苦悩の物語。
これが大学の卒業制作とは。
淡々とした日常に静かな苦しみ苛立ちが垣間見え、全体が灰色のフィルター越しの様。
ノストラダムスの大予言、3.11、移りゆく時代と、時が止まったままの心の対比。ラストシーンにも心を持っていかれた。
Bigs

Bigsの感想・評価

3.5
映画から読み取れる、作り手の姿勢は高く評価したいと思います。
ただ、過去のtiffスプラッシュ部門選出作品(「プールサイドマン」、「かぞくへ」、「鈴木家の嘘」等)と同等のレベルかというと疑問。

卒業制作という予算的にはミニマルであろう作品で12年の歳月というロングレンジの物語を描こうと挑戦した点、なるべくセリフではなく映画的に語ろうとした箇所が多かった点は評価したい。
特に終盤以外はセリフの応酬はだいぶ抑えられていて、力量ある役者さんがなかなか起用できないというウィークポイントをうまくカバーしてたと思います。一方、終盤はある二人が感情を表に出した会話が続くため、この力量だとかなり違和感というか作り物感が際立ってしまったように思う。

ラストの展開は主人公がかなり自分勝手に思えた(自分が話してすっきりしたいという感じに見えた)ので、泣いてすっきりしてなんとなく解決したように見えたけど、実は何も解決してないし気持ちの整理なんか全く付いていない、という終わり方で良かったと思います。そんな風に話をして決着が付くような簡単な問題では全くないし、なんならもう絶対に元には戻れない不可逆なことにさえ思えた。それだけ、発端となる事件が残虐であると。
ラストカットも投げ出したような終わり方であり、映画内では決して閉じないようにしていたようで、この問題に対する作り手の誠実さが伺えた。

ただ、要所要所でどうもチープだったり、嘘くさい(役者の力量的問題)場面があり、素直にのめり込めなかったのも事実。あと、会話の場面になると途端に会話"だけ"にフォーカスが当たっているように思えた。会話しながらも各々の人物の動き等で、並行して何かを語るということもできたと思うけど。

監督さん自身はまだまだ若くこれからという感じだと思うので、今後も是非撮り続けていってほしい。しっかりとした予算を与えられたときにどうなるか観てみたい。
m

mの感想・評価

3.5
この監督さんならではみたいなものは感じられなかったけど卒業制作の映画と思うと凄い。冒頭のシーンでああこの映画好きかも、とワクワクした。ストーリーはワクワクする内容ではないけど物語があの時間軸で進むところやラスト。私の予想はあっているだろうか。監督のこれからの映画も観てみたい。好きな映画だったのだけど達也と健吾のお芝居だけがどーしても気になってしまった。。。
RyoS

RyoSの感想・評価

3.5
カメラワーク、基本は手持ちでブレもやや大きく、少し酔いそうになるが、固定のとこはきちっと決まっており、ああこのためにカメラ揺らしてたんだなと。カメラの動と静をうまく使い分けていた。また、長回しや遊び心のあるカットもあり、自主の楽しさが伝わってきた。

全体的に彩度が低く、でも白黒とは違うところが中途半端になっていなくて良かった。特に人の肌の色が血色悪く、演出だなぁと。

シーンの切り方とシーンの入り方がベタだけど工夫があって飽きなかった。

全体的な作りが、基本的な映画作りをちゃんと勉強しましたみたいな教科書的作りなので、教育を受けていない自分みたいな人にとってはとても参考になる。
東京国際用の、英語字幕付きの上映とのことだったが、
日本語では曖昧すぎ、英語では分かりやすすぎで、解説を同時に見ているような上映で、なんかもったいないような気がする。

感情の波は読めるのに、芝居があまり適切な感じがしなかった。セリフ?

編集と照明が上手い。

ワンショットでもまあまあ引き目の印象が強かったのがよかった。主体と傍観の関係。
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