ある船頭の話の作品情報・感想・評価

上映館(1館)

「ある船頭の話」に投稿された感想・評価

nana

nanaの感想・評価

5.0
凄い物を観てしまった。

映像、音響・キャスト、ストーリー
全てが凄い。素晴らしかった。

仙人のような船頭を柄本明が演じている。


家族を持たず、故郷にも帰れない渡し船の船頭が、川を流れて来た少女と暮らし始める。

不便な村を渡し船が繋いでいるが、建設中の橋が出来てしまえば渡し船は必要とされなくなってしまう。
いろんな気持ちを抱え、村人に慕われ、頼りにされる日々を送る船頭。

やがて橋が完成し、生活や可愛いがっていた少年が変わって行く。

そして事件が


圧倒的な映像美
後半にかけてはそれが狂気のように感じてしまう場面まで。
穏やかな美しさから恐ろしいほどの美しさになって行く。

主人公の心のようだ。

人間は知らない間に他者を傷つける。

不用意な挨拶のような言葉の凶器。
悪意。
悪意がないものも。
その身になれば解るであろう凶器が、現実を主人公に突きつけ、追い詰める。

離れない不安。

橋が出来れば…
心に刺さり続ける棘がもう一人の自分を作ってしまう。

いつ壊れても不思議じゃない。
でもこの人は穏やかな笑顔をたやさず客をもてなし、船を漕ぐ。

この船頭を演じる柄本明さんが素晴らしすぎる。

脇を固める俳優さん達も主役級の豪華なキャスティングで、要所、要所でハッとさせられる。

呑み込むような音に、心臓を掴まれる演出。


美意識の塊のような傑作。

 
監督が音響にこだわり、自ら上映劇場に足を運び、それぞれの会場に合わせて音の調整を施した作品。

監督から、
「映画館以外では半分も面白くない作品なので、DVDも買わなくていいし、レンタルもしなくていい。配信されたらダウンロードもしなくて良い、劇場でだけ観て下さい、と周りの人に伝えて下さい。」
と、人に薦める際の注意があるほどのこだわりよう。
上映が拡大されて大勢の方にこの贅沢を堪能して頂きたい。

感動を散らしたくなくて、電車やバスを避けてタクシーで帰宅。
車の中でリピートチケットを購入した。

この作品を世に送り出した制作陣に感謝。
わたし

わたしの感想・評価

4.6
どんどん便利になってゆく、いらないものがなくなってゆく。
便利になれば生活も変わり、人も変わってゆく。

柄本明の表情が切なくて、私のじぃちゃんもあんな顔する。便利になったなあ〜って言いながら切ない顔をする。

映像が綺麗で、若い人たちは見るべき映画だと思います。
きれいな映画だったね。(=^・^=)
ミ

ミの感想・評価

-
殺気がすごい
ちいこ

ちいこの感想・評価

3.8
ある少女との出会いが人生を狂わせていく。

狂ったのというのか、それとも幸せを得たと言うべきか。
トイチは少女と出会って孤独から放たれ、なりたい自分になれたのは間違いない。
一方で源三の変化が哀しかった。
発展することは決して悪いことじゃないし、それに順応していく能力はもちろん必要。
でも失くしたものが沢山ある。
現代人の代表として源三を描いたのかな。

詩情溢れる映像美に透き通った音楽が上手く融合して本当に素晴らしかった。
キャストも豪華。柄本明さんはさすがです。
でも不思議な獣少年は必要なかったかな。
そこの意味が理解できたらまた感じ方も変わるのかな。
kazmi

kazmiの感想・評価

3.8
展開が唐突でまとまりきらない感じもしたが、映像と音楽のクオリティとにかく高い!それだけでも見る価値ありそう。
キャスティングは無駄に豪華すぎない??
LG

LGの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

公開を待ちわびていたくせに公開されたらなかなか観に行けず。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に日本映画初で正式出品されたと知った後に鑑賞した結果、評価されて欲しい!!!そして一人でも多くの人の心に残るものになってほしい!

一瞬、一瞬を切り取っても、全ての瞬間に作り手の伝えたい「何か」が描かれる映画ってほんっっっとに数少ないと思う。そのひとつを魅せてもらえた気がする。文句なし5。今現在、450本鑑賞してきて3作目の最高スコアになりました。

ただ、これまだ他の人のレビューをひとつも読んでないけど、スコアの高さから感じ方に大きな偏りがあるっぽい。その人の経験してきたこととか出会った人とか人生観とかで多少、変わるのかな。

音響と映像の美しさに、途中ところどころ穏やかさを一変させる恐怖を煽るようなシーンが挟まってるから、コントラストが効いてて飽きるとかそういう瞬間は生まれにくいんじゃないかな。

最初は、
・茂った木々と澄んだ川の湿気が混ざった香り
・焼き味噌や雑炊にお野菜からの塩っぽい香り
と、いったように、なんども鼻から大きく深呼吸する自分がいた。

でも、橋が作られ始めてから、
・川に油っぽさ
・薬品の垂れ流しのような泡
・地上から見えなくなった水中の魚たち
って、汚染がおふうちゃんとの蛍のシーンまでは一切語られず、視覚的な変化が続くもんだから、どんどんモヤモヤしてくる。

蛍、綺麗な川と橋のどっちがいい?
人間たちは、
「役に立たないものを捨てる」
「新しいものを求めるなら古いものは捨てられる」
「楽な生活ができる」
「便利になる」
手間暇かけることが悪いかのように進化を好み、発展に力を注ぐけれど、本当に私たちはどこを目指してるのだろう。「時代遅れ」とはなんだろう。「古い」とはなんだろう。これ以上、楽で便利なものに縋ってどんな生活がしたいのだろう。

そもそも、時短な発明を増やし、生活に取り入れることで、生まれた時間を有意義に過ごしているのだろうか。

オダギリさんは、源三を重要キャラクターとして置いてると思うけど、橋ができるまで、トイチと仲睦まじく、一緒にご飯を食べて、橋なんて要らねえんだって言ってたものの、完成してからは一変。服装や顔つきまで変わってるから虚しさを覚えたけど、他人事ではなく、ほとんどの人間が楽で便利で新しいものに順応してしまう。その結果、昔は持っていた少女をいたわれる心をなくし、橋を作る職人たちの如く、自分が偉くなったように錯覚し、他人を尊重する心を失ってしまう。

現環境大臣が、国連でとんでもない無知な発言をしたことで顰蹙だーって話題になっていたけども。日本のイメージがよく、日本人の人間性が世界で評価されていたのはあくまで私たちのことでなく、先祖の行いにあると思う。そのひとつが「食べ物への恩恵」だと考えてる。狩猟をする親子のお父さんが亡くなった時に「自分はいくつもの命に生かされてきた。魂がなくなった肉体は抜け殻でしかない。せめて、この命をどこかの命に生かしたい」だから、肉体は森の中に葬ってくれ。そう願う信念。命を頂くとはそういうことなんだ。当たり前に食卓に並んでいる命は尊いものであり、自分の肉体と同じ価値があるのだ。それを忘れてはならない、これは我々の先祖が伝え続けようとした大切なメッセージなのではないかなって。本質的な言葉の真意を突き詰めると見えてくる大切なことで溢れてるんだ!って思うと涙が出るほどに心が満たされる。

「いただきます」「召し上がれ」は、「食べ物(命)へ」
「ごちそうさまでした」「お粗末様でした」は、「作ってくれた人(から食べてくれた人)へ」
って話を聞いたことがある。日本語にはしっかりと意味が込められてる。そういった、心を清らかに豊かに保つために忘れてはいけない言葉で溢れているのだなーと感慨深い気持ちになった。

日本人が、己のアイデンティティを見つめ直すきっかけに。世界が日本古来の言い伝えに魅力を感じるきっかけに。とても良い映画だと思います。

まだまだ、書き足りないけど、改めて2回目みると決めてるので、その時に追記します。

英語だけど、このレビューは簡潔にあらすじが描かれてる上にこの映画が伝えたいであろう要点まで的確な気がする。読んでほしい。ああこんなシーンもあったなってなる。
Below, Some good reviews of They says nothing stays same in English
https://icsfilm.org/reviews/venice-2019-review-say-nothing-stays-joe-odagiri/
ジョウ

ジョウの感想・評価

4.9

このレビューはネタバレを含みます

オダギリジョー監督初長編映画。
作品の題材や映画の構造等から見て「時代に流されない」がコンセプトの様。

〈シナリオ〉
全体的にゆったりとした展開。
この映画のほとんどの部分はトイチの生活、船頭としての生き方を描いている。
オダギリジョー監督が自ら仰っていた通り、現代の映画とはかなり逆行していて、言ってしまえばかなり見づらい映画。

〈ルック〉
この映画の大きなポイントがクリストファードイル撮影監督が映すうっとりするような風景。
広角に、さらにカメラをあまり動かさない撮り方が情景美を際立たせている。
まさにオダギリ監督が魅せたかったモノだと思う。

〈役者〉
柄本明、浅野忠信、永瀬正敏らを初めとした豪華俳優人の演技は文句なし。
蒼井優に至ってはほんの数分の出演。
そこにまた監督のこだわりが伺える。
また、オーディションで決定したというヒロイン役の川島鈴遥はかなり良い。
これから大成してほしい。

〈深度〉
急速に発展していく世の中で忘れ去られるものはなにか。
我々は大事な何かを失っていないか。
あえて明確な答えを提示せず、観客に考えてもらう事を望んだ監督。
この映画を観れば、誰でも考えるものはあるはず。
あえて明確な答えを渡さず考えてもらう。
これがオダギリ監督の望み。
圧倒的な映像の美しさ、キャスト、衣装、音楽、脚本から生み出された作品。

移りゆく時代やその中で生きていく人。
常温のままなのに感情が動いていく。


#ある船頭の話
#水面が宝石のよう
#河も空も森もすべてが美しい
#その中にアクセントのように入る赤
#360度パノラマで観たい
#太陽と影
#もしこの物語の中に私が居たら何処に位置しているのだろうか
#そして久々の映画館はやはり良い
豪華な出演者たちを持て余した感はぬぐえない。
映像はたしかにきれいだった。
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