WAVES/ウェイブスの作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「WAVES/ウェイブス」に投稿された感想・評価

JT

JTの感想・評価

5.0
鮮烈な赤と青の波が押し寄せる
傷ついた心を叫ぶ音楽が渦巻きながら
脈打つこの映画はわたしたちそのものだ

2020 . 10 - 『 Waves 』

これほどまでの映像体験だとは想像以上だった
この時代ならではの新しい物語の語り方が芽吹き、生を実感したのは『君の名前で僕を呼んで』以来で、構造も性質も全く異なるが確かに「今」を捉えている

グザヴィエ・ドランの『トム・アット・ザ・ファーム』を彷彿とさせるアスペクト比の変化や豊かなカラーリングと独特なカメラワークが印象深い
アスペクト比についてはスタンダードになったりワイドになったりで驚くほど多目的な効果をもたらした
そして現代の名曲たちがそれらを彩っており、ミュージック・ビデオのようでもあるけどそうではない
現代を象徴しながら、人間と音楽、音楽と映像の密接な関係を突き、心の機微を表現したまさに今の映画
悪く言うと人工的だがこれこそ映画の醍醐味で魔法だ

あなたにとって青は何色で、その瞳にはどう写るのか
安らぎや、あるいは孤独を感じたりするのだろうか
あたなにとって赤は何色で、その瞳にはどう写るのか
高ぶりや、あるいはざわつくような怖さなのだろうか
あなたの怒りはどこから来て、どこへ向かうのだろう
あなたの幸せはどこから来て、どこへ続くのだろう
どんな時に笑い、何があなたを喜ばせ、泣かせるのか
誰を憎み、誰を愛し、どうしてあなたなのだろうか

小さかったころ海が苦手で、足のつかない深さや、底が見えない暗い海中、激しく大きな波が怖かった
だから浅瀬で穏やかな波に流されたり、ただ眺めることが好きで、それでも好奇心で波に呑まれたりして
その度に、波の怖さってゆっくりと高さをつけてから急に打ちつけるその勢いが怖いんだなと思ったり
波を受けるまでは、自分がその衝撃に耐えられるのかわからないから恐怖になるのかなって考えたりした
でも父がそばについてくれた時に恐怖は簡単に消えた
たったひとりそばにいるだけで、波を送り返していた

波は感情の起伏で、必然で運命で、あなたとわたし
恐怖とは疑問で、必然の答えで、あなたとわたしだ
あなたを知りたいのと知りたくないこのせめぎ合い
変わってしまうこと、失ってしまうことから逃げた
なりよりも恐ろしいのは、言葉にできなかったこと
それはあなたの赤と青があまりにも鮮烈だったから
あなたがどこかで泣いている時、わたしは眠っていて
わたしが何かに怒っている時、あなたは笑っている
そうやってあなたの色を知って同じ苦しみを知った
あなたの赤への恐怖と、わたしの青への恐怖は異なる
それでも恐怖は恐怖で、あなたの恐怖はわたしのもの
わたしに押し寄せる波なんて恐れるに足らなかった
この世界、あなたとわたしは、単色ではなかったのだ
赤と青は決して一色ではなく、その奥に色彩が広がる
あなたの赤とわたしの青、あなたの波とわたしの波へ
今はあなたの波をも受けとめて、迷わず飛び込むよ
だからどうか、傷だらけのわたしたちに真実の愛を
全くノーマークの映画でした。4月10日に公開の「 ウェイブス 」
今回もヒロナガのお友達のおかげで試写会に行くことができました。いつもありがとう。そんなヒロナガが珍しく「 これ行きませんか? 」って自分から誘ってきた。笑笑
なんでも今年一番観たい映画だったらしい。

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もうね。観終わったら納得。
さすがA24映画。美しくて、切なくて、寂しくて、それでいて愛の深い素晴らしい作品でした。トレイエドワードシュルツ監督は若干31歳。最近こうした若い才能溢れる監督がどんどん現れる。これは本当に良い傾向だと思う。

一見どこにでもありそうな裕福な家庭環境が、ある1つの出来事によって残酷までに崩れ落ちていく。
兄のタイラーが第1幕、妹のエミリーの舞台が第2幕といった、2人の兄弟を2つの構成に分けて作られていた。
それに加えて、父と母、またエミリーの彼氏のルーク( いつもは悩める少年役で出演するルーカスヘッジスが今回はどちかと言うと救済役を演じてて最高でした! )それぞれの視点で描かれる場面もあり、みんな悲しいよね、寂しいよね、辛いよね、と、いつの間にか感情移入している自分がいて、途中息苦しさを感じることも。

誰もが体験する青春の挫折、恋人との別れ。そして出会い。また、親子の確執や家族の絆と。再生と贖罪。とてもキリスト教的な作品でもある。愛なくして希望も信仰も生まれない。憎しみからは何も生まれない。最も大切なのは愛。と、お父さんが娘のエミリーに話し、抱きしめるシーンに思わず号泣。

また、斬新なカメラワークにスタイリッシュな映像に魅せられるだけじゃなく、フランクオーシャンやケンドリックラマー、カニエウェスト、レディオヘッドなど、今をときめく超豪華アーティストによる31曲の音楽も最高。目をつぶって音楽だけ聴いてても成立しちゃう映画かもしれない。

想像以上にビックリするくらい素晴らしい映画でした。
テレンス・マリックの弟子のトレイ・エドワード・シュルツ。師匠譲りの美しいショットで綴る135分。
独創的なカメラワーク、カラーリングの美しさが特に印象に残る。前半のタイラーの物語におけるこれでもかという赤と青を際立たせる色彩デザインはレフン作品にも通じそうなくらいと思ってたらプロダクション・デザインがエリオット・ホステッターでした。
アレクシスの蛍光色ネイルもエモい。
キャラクターの心理状態の変化に伴い変えるアスペクト比も効果的。フラットサイズをベースにスコープよりさらにワイドな画角、スタンダードでも見せていく(ドリュー・ダニエルズは要チェック)。
劇中曲はそれぞれがキャラクターの感情に寄り添うように選曲されていて、キャラクターの心の声を伝えている。
数えきれないほど複雑に物語と音楽が溶け合っている。
最も重要なのがレズナーとロスが手がけたオリジナル・スコア。登場人物の感情の動きを巧みに浮かび上がらせていくそのサウンドがジャンルも異なる様々な曲と曲を緩やかに結びつけていく。

無数の愛の形を通じて愛がどのように人々を引き離し、そして引き寄せるか探求する。
一見幸せそうな家族の背景に透けて見える、黒人としてアメリカ社会で生きていく苦労。兄と妹を軸に展開する、家族それぞれの失敗と後悔。みんな自分が正しいと思ったことをやっただけなんだよね、、、できなかったこと、やってしまったこと、生きてるかぎりつきまとう。

チルな音楽と酔っぱらった(stoned)時に、世界が水溜りに反射したネオンのようにボヤけるあの感覚、ゆっくりと波のように感情が揺れる、ちゃんと匂いがする映画でとても良かった。

クリスチャン・デューティー、隣人を愛しなさい。
Keitoes

Keitoesの感想・評価

4.2
本当に“wave”のように心地良く、drifterな気持ちになれる素敵な映画

ストーリーは結構悲惨な部分もあるし共感するようなところはないけらど、それでも何か心地いい

深夜にボーッとしながらずーっと観てたい

音楽を含めた演出が、人工的で鮮やかで、何かよく知らないけれど、とんでもなく雰囲気の良いお店でうたた寝してしまったような気分

とっても今っぽい
★★★liked it
『WAVES/ウェイブス』 トレイ・エドワード・シュルツ監督
Waves

ケルビン・ハリソン・Jr & テイラー・ラッセル

挫折&恋愛&家族の崩壊と絆&希望

ある夜の悲劇を境に家族が壊れていく
前半、兄ちゃん&後半に妹が描かれ
キャラクターの揺れ動く心情を
演技と映像と音楽で美しく奏でる抒情詩
A24制作って感じ

兄ちゃん、妹、パパ、ママみんな悲しいな
最後、ちょっと希望が感じられてよかった

Focus by H.E.R.
https://youtu.be/Z5ze4CUAkE8
最初の半分は「なんだ、クソおしゃれ映画か?これで家族の再生とかふざけんなよ?」と思いましたが、後半のチェンジ・オブ・ペースにやられました!

波(WAVES)とはなかなか秀逸なタイトルだと思いました。とても音楽的な意味で。そしてキリスト教的な意味で。

人生は寄せては返す波のよう。テーマは家族の再生と贖罪。とてもキリスト教的で、現代のアメリカらしい映画です。最後の音楽がレディオヘッドの"True Love Waits"で、これが全てを表しているんでしょうね。

真実の愛は待っている、ただ行かないで。

次に、画面サイズ。横長の画面からほぼ正方形の画面まで、画面サイズが状況の応じて変化します。広々とした気持ちになる横長画面と、息苦しい正方形画面。

最後にペース配分。物語は兄タイラーの第一部と妹エミリーの第二部に分かれています。兄タイラーの物語はハイスピード、妹エミリーの物語はゆっくりと進みます。アニマル・コレクティブとフランク・オーシャンは両方の物語に音楽が使われていますが、その音楽の使い方も対照的でした。
Nodoka

Nodokaの感想・評価

3.6
想像以上に良かったです
特に音楽が次々に鳴り響いては消えていく感じ、最初こそバックの音楽がいつもより騒がしいなぁとは思いましたが、慣れれば大丈夫でした
主人公の頭の中がぐちゃぐちゃになっていく様を音楽ですごく表現されていたような気がします

面白いと思ったのは画角の使い方
明らかに変わったと気付いたのが1度
気付いたら横幅が広くなったり狭くなったり
どういう使い分けをされているのか1度だけでは見切れなかったので是非とももう1度鑑賞したいところです
HSMT

HSMTの感想・評価

3.7
完成披露試写で鑑賞。
完璧を求められすぎて転んだときにどう起き上がっていいのか分からない子供、どう手を差し伸べたらいいのか分からないって家族の問題ってどこにでもあると思うんです。
身近にこういう家族がいて、ずっとそこを見つめてしまってました。
字幕ではだいぶ宗教色薄くなってたけど、聖書…コリントの信徒への手紙の一説にある「愛なくして希望も信仰も存在しない、もっとも偉大なるものは愛」というメッセージ性が強かったなーって感じました。

映像はめっちゃA24だ!って感じです、キラキラしてて、手持ちカメラ撮影で…音楽がおしゃれ!
音楽シーンに詳しい方が観たら違う切り口で楽しめると思いました!
akuiym

akuiymの感想・評価

4.0
音楽と映像、そしてストーリーの共鳴。
瑞々しくて眩しくて、それゆえに一層苦しい。
すべては愛。
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