しゃびさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

しゃび

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さがす(2022年製作の映画)

2.5

この映画って、
ジャンルで言うなら何なんだろうって考えながら観てた。


例えば、
サスペンスと考えたなら。

主人公の境遇、犯人との接点、選択
犯人の人柄、行動様式

とにかく変数が多い。

極端な
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彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

1.5

学校は「但し摩擦は0とする」に満ち溢れている。
あいつはああだからこういうやつ。
そう決めることで世界を簡単にしている。


言ってることには共感する。
学校に限らず、社会はそのようにできている。
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うみべの女の子(2021年製作の映画)

2.0

描かれた時間と物語の時間の差をどう埋めるのかという問題。映画の上では100分でも、物語上は1年以上の月日が流れている。

ぼくはこの2人に時間経過を感じなかった。

付き合うでもなく離れる訳でもない、
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茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

5.0

かわいそうな人が、ただかわいそうに描かれた映画を観るとすこし萎える。

わざわざ社会から闇を引っ張り出してきて、ほらかわいそうでしょ?、社会は間違ってる、もっと怒れって。

そのようなマッチポンプ映画
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プリテンダーズ(2021年製作の映画)

5.0

ぜひ多くの人に観てほしい映画。

僕自身、小野花梨目当てでたどり着いた映画だった。小野花梨は、期待以上に素晴らしかったけど、映画そのものにとても心を打たれた。

映像撮影がテープからデジタルになり、ス
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

1.5

当たり前だけど、映画は音と映像のメディアだ。だから、話が面白くても映画が面白いとは限らない。

『サマーフィルムにのって』は「話は面白い映画」だ。

映画への愛と恋愛が交差するところ。
2つの映画制作
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

2.0

「虚構は現実だ。映画の中ではそうだろ。」
「見える世界と同じく虚構は現実さ。」

非常に本質的だ。

映画という虚構の現実性。
現実世界の虚構性。

人は現実世界を現実のままに見ることはできない。必ず
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3-4x10月(1990年製作の映画)

4.5

人間の感情を映像的に表現する方法はいろいろある。

セリフ、声、表情、動き。

『3-4X10月』は感情をことごとく省く。

柳 憂怜は無表情で、言葉少なく、素振りからも暴力的な仕草からも感情を感じな
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

5.0

10年くらい前に観たきりだったので再見。
改めて観て、すごい作品だと思った。


家庭というコアコミュニティの崩壊は、多くの作品で描かれてる。でも、空間的にちゃんと崩壊を描けている作品は少ない。

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少女邂逅(2017年製作の映画)

3.0

「体しか価値ないじゃん」

体の価値。
人格の価値。
関係性の価値。
地位や名誉の価値。

たくさんある価値の中でも、体はとてもわかりやすい価値基準だ。

自分そのものなんかないのではないか。
体の中
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かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

3.0

「ひとつ目の方は恋愛って感じがして」
「ふたつ目の方は友情って感じがした」


同じものを見ていても、音や心境、環境の違いで受け取り方が変わる。


見ているものは全て、
「のように見える」だけなのだ
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葛城事件(2016年製作の映画)

3.5

演劇を中心に活動している監督なだけに、場面設定のはっきりとした映画だと感じた。

はっきりとした場面設定はキャラクターを引き立てる。三浦友和、若葉竜也、新井浩文、南果歩が見事それに応えている。
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滝を見にいく(2014年製作の映画)

3.5

森は映画における、反則技級の優れたロケーションだと思う。

なにしろ、森の中で描けば全て絵になる。
森の中で絵になるものを描けば、名シーンの出来上がりだ。

ゴダールが代表作『気狂いピエロ』で、アンナ
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.0

鬱屈した感情を描く映画は数あるけども、これほど何も起こさない映画も珍しい。

発砲の仕方が山下敦弘監督の『松ヶ根乱射事件』的だが、松ヶ根の方がはるかに発砲に説得力がある。

先日、訃報が伝えられた青山
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

映画の始まりが1985年のグランカフェだとすると、映画は126年の歴史を持つ。

演劇や音楽など他のメディアに比べたら新しいけど、それにしたって長い。


ぼくは演劇とドラマに一度づつ、役者として出演
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ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

4.0

「ヒメアノ〜ル」とは、 ヒメトカゲを指す造語で、「強者に捕食される弱者」という意味らしい。

タイトルにふさわしく、
【弱者という名のモンスター】を発明したという意味で、とても面白い映画だった。
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Calling(2012年製作の映画)

1.5

セリフを発しないという、リュック・ベッソン『最後の戦い』的な映画。

セリフを発しないことになんの裏付けもなく、たまたま「セリフを発しなかった」と言わんばかりだ。

何故か、オフの音声では電話などの会
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.5

前作『孤狼の血』といい、『空白』といい、アウトローとシャバの間に立たせたら右に出る者はいない、バランサー俳優こと松坂桃李。

今回はバランサーではなく、 
アウトロー側として、さらなるアウトローと対峙
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昼も夜も(2014年製作の映画)

4.0

女はぶしつけにドアを開ける。
男はぶしつけにドアを開けられると、心も開く。
女はぶしつけにドアを開けるが、心を開くことはない。

さて、ぶしつけにドアを開けても心を開かない男がいたとしたら、女はどうす
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

3.5

長編映画としては短尺で、しかもアマプラでも観られるので、ぜひ1度観てみてほしい。とても興味深い映画だった。


劇団による劇団のための映画。

いや、劇団が映画を作った。
というより、劇団が映画の枠組
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おくりびと(2008年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

生という日常と、死という非日常。

生の側から死を受け入れるには、非日常的な儀式が必要だ。

弔いの儀礼を映像として見せるのに、
本木雅弘はうってつけの人材だと思う。
とにかく所作が美しい。


一方
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僕たちは変わらない朝を迎える(2021年製作の映画)

2.5

「別れ」から始まって、ずっと別れについて考えさせられる珍しい映画。

「別れから生まれる希望」ってあるのだろうか。


別れは「かけがえがなく、取り返しのつかない時間」から生まれるもの、だと思う。
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空白(2021年製作の映画)

4.0

人間は身勝手な生き物だ。

それぞれのちょっとした身勝手が、他人または自分を傷つけたり、死に至らしめたり、または救ったりする。

この映画に出てくる人たちは、誰も悪くなくて、そして少し身勝手だ。

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いくえにも。(2022年製作の映画)

2.0

『世にも奇妙な物語』にも、似たような話があった。

短い時間に伏線が貼られていて観甲斐がある。悲しい話だなぁとも思う。

ただ、短尺で悲しさに感情移入するのは難しい。登場人物の事情も細かく描かれてはお
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静かな雨(2020年製作の映画)

3.0

100日チャレンジとか、某インフルエンサーの今日の積み上げハッシュタグとか。

日々漫然と過ごすことなく、成長、前進することがよしとされる。


でも、1日をただ大切に生きるだけで、十分尊いのではない
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ありがとう(2022年製作の映画)

2.0

映画の感想が「演技がすごい」となるのは、あまりいいことじゃないと思ってる。

寅さんは「渥美清の演技がすごい」とは言われない。あくまで寅さんは寅さんだ。
ウディ・アレンはすごいかどうかではなく、常にウ
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あんた(2022年製作の映画)

4.5

短い作品で手軽に観られるので、wowowを観られる方は是非見てほしい。

映画には「会話」のシーンがたくさん出てくる。むしろ半分以上会話のシーンだと言ってもいい。


ストーリー進行を会話に頼らない映
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南極料理人(2009年製作の映画)

4.0

「ぼくは南極なぞ行ったのだろうか?」

日常と非日常。
非日常も慣れれば日常になるし、
日常も離れていれば非日常になる。

日常と非日常が入れ替わって、また戻る。
戻った毎日に慣れると、元々入れ替わっ
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

2.0

雑誌に載ってたU-NEXTの2021年ランキングで1位だったので観た。


飽きさせない映画だった。
一方で、余白のない映画だと感じた。

「余白」とは、言い換えると「よく分からない部分」。もっと言い
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いとみち(2020年製作の映画)

4.5

駒井蓮さん、『名前』の時すごく良かったから気になってたんだけど、やっぱりいい。すごくいい。

自分でも演技をするようになって、プロの役者さんがどう演じているのかを、昔よりも見るようになった。


演技
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あ、春(1998年製作の映画)

4.0

「人生には、もれなく迷惑がついてくる。」

生き別れたはずの父親を名乗る男。嘘だかほんとだか分からないことを言って、家に住み着く。

彼はとても迷惑な存在だ。

昼間から飲んだくれているし、子供に余計
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子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

5.0

始まった瞬間、ん?

ぜんぜん好みじゃない魔法少女もののアニメが始まる。すぐに終わるのかと思いきや現実に戻っても、しばらくそのくだりが続く。

アニメーションも音楽もなんだかガチだし、どこに本気出して
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君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

1.8

印象的なシーンや音楽があるのになんかピンとこない。先に進むにつれてピンとこなさが縮まってくるかと思ったら、どんどん広がっていく。

これはなんだろうと考えながら観ていた。

ぼくはこの映画を不自然だと
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街の上で(2019年製作の映画)

5.0

「誰も見ることはないけど、たしかに存在してる」

外で印象的な光景を目にしたり、思い出深い時間を過ごした時。形あるものとして残したいと思う。

スマホを取り出してパシャリ。
スマホの中には沢山の思い出
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はるヲうるひと(2020年製作の映画)

3.0

とても難しい試みをしている映画だと思う。

例えるなら『悪魔のいけにえ』の兄弟の心の闇に迫ろうとしているような映画だ。『悪魔のいけにえ』の争点はあくまでレザーフェイスの暴力性であって、過去ではない。む
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

映画仕立ての舞台を観ているようだった。

蒼井優と高橋一生の演技がとにかく美しい。世界に入り込むとか感情移入といった類を超えて、極上のディナーを嗜んでいるようだった。

ぼくは食に疎いので、むしろリア
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