ミシンそば

きみの色のミシンそばのレビュー・感想・評価

きみの色(2024年製作の映画)
3.7
山田尚子監督の劇場作品は「リズと青い鳥」しか観たことないので、詳しいことは言えない気もしつつ、抽象的で色を大胆に使った(そもそも本作はそれが主題)作品だなと思った次第です。

長崎のキリスト教系ミッションスクールに通い、幼少期から「人の色」が見える主人公「トツ子」と、彼女が言うところの「きれいな色」を通して出会った「きみ」と「ルイ」の三人でバンドを組むと言う感じのストーリーでしたが、話の流れは前述の色使いも相まって抽象的。
(後で調べて、山田監督が影響を受けた作家にパラジャーノフやホドロフスキー、「エコール」の監督などの名前も挙がっていたことに多少納得した感じ。「リズと青い鳥」の時点で気付くべきでもあった)。

三人が作中で組むバンドと言うのが、結構プログレっぽいと思う、ロック真正面とはまた違う感じの音楽で、テルミンの登場には正直驚く。
トツ子が幼少期にちょっとバレエをやっていたということもあってか、テルミンで「ジゼル」を演奏するシーンもあるのだが、テルミンの鋭さがない丸み(膨らみ)を感じる音色と決して上手すぎないトツ子の舞踏と相まって不思議で抽象的な魅力を放っていた(個人的にはバンド演奏もそうだがここがハイライトかもしれない)。

飽く迄トツ子の一人称視点で進むので、きみが学校を突然辞めた理由が本当にフワッとし過ぎだったり、ルイの地元医師家系ゆえの葛藤とかは説明過多になり過ぎていない、突き放した描写のみに留まる。
まぁ本音を言えば、キャラ造形はバチクソ好みだったきみ周りはもうちょっと説明が欲しかったところだが。
そして、信仰心が強い割りには、トツ子が案外パンクで破天荒なことを作中通してしまくるのにも(ツッコミは入れつつだが)楽しめた。

それはそうとシスター日吉子って絶対に、「けいおん!」で言うところの山中さわ子みてぇな学生時代を送っていたと思う(日吉子さんもシスター、教員でありながら大概破天荒)。
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    コミュ障なので自分から絡みに行くことは恐らくないですが、ちょっとは返し以外のコメントも出来るように頑張ります。 あと、多分フォロバします。 映画の評価としては⭐5、⭐4は乱発しない主義です。 レビュ…

    コミュ障なので自分から絡みに行くことは恐らくないですが、ちょっとは返し以外のコメントも出来るように頑張ります。 あと、多分フォロバします。 映画の評価としては⭐5、⭐4は乱発しない主義です。 レビューは基本本能でするのでトンチキなことをよく言います。 ⭐⭐⭐⭐⭐:観れたことを感謝したい傑作。通算27本 ⭐⭐⭐⭐:数年に一本あるかないかの名作 ⭐⭐⭐(3.5~3.9):多くの見所を有する佳作 ⭐⭐⭐(3.4):名作であることは認めるが個人的には嫌い。或いは欠点は多いけど個人的には好き。そんな映画 ⭐⭐(2.9~2.5)~⭐⭐⭐(3.0~3.3):見所はあるが、基本的にそれありきの可も不可もない映画 ⭐⭐(2.4~2):見所は少ないながらある。だがクソ映画 ⭐:美点を見つけることが非常に難しい程度のゴミ