浪人街 RONINGAIの作品情報・感想・評価

「浪人街 RONINGAI」に投稿された感想・評価

ろくでなしとは甘く見たな
黒木和雄 「浪人街」

何はともあれ観音長屋のようなこの浪人街ではどうにかこうにか生きていける。

己の反吐にまみれて大道に寝転ぶような酔漢・原田芳雄も、荒肝を拉ぐ勇敢さなどありもしないのに、その風貌だけは裏の世界に相応しい勝新太郎も、刀の試し斬りをして日銭を稼ぐ石橋蓮司も、旗本の腐敗を痛論するのが巧い割に士官を夢見る田中邦衛も、深く期するところがあったろうが、今では(よたか)と呼ばれる娼婦の中でも最も卑しいとされる身で忍苦の日々に堪えている厳しい目つきの樋口可南子でさえ。

浮世のいかなる変化にもまるっきり頓着しないようなこんな人々にも、背骨の当たりに電流にも似た何かがびりびり、と走り、玄妙な道理が駆け抜ける瞬間、映画と言う名のつむじ風が発生いたします。
そもそも江戸時代の貧乏長屋には一人や二人いてもおかしくない不良軍団の誠実さなどではなく、最初の行動のモチベーションはあくまで個人的なもの。それがゆっくり、落ち着いて、愛する者の救済、権力への拮抗に結実していく様はやはりピカレスク活劇の真骨頂です。
醤油で煮しめたような茶色の褌はためかせながら重い刀を持て余すように振り回す原田芳雄のフットワークも、、重い鎧で身を包んだ田中邦衛も、わざわざ白装束に着替えた石橋蓮司も、
彼らが旗本たちをバッタバッタと斬り倒し、その度に返り血や手首が宙に舞えば、三人のキャラクター(ハード、ニヒル、コミカル)というトリオ・ザ・ヒーローズという図式が風俗的な親しみを越えた映画的な快楽として観ている私たちに迫ってくるのです。
ShoMuroya

ShoMuroyaの感想・評価

4.0
序盤の主要人物の紹介・セッティングは少し散漫な印象を受けた。しかし、後半からはひたすら格好いい。

酔拳ならぬ酔剣の原田芳雄。上裸で戦うため、徐々に肌が赤く染まっていく。
『ONE PIECE 』よろしく背中に「南無阿弥陀仏」と入った石橋蓮司。原田芳雄とは違い、一太刀一太刀たしかな筋で繰り出す。田中邦衛は鎧兜に暴れ馬で登場する。そして勝新太郎。

集団で夜鷹(非合法で個人営業の売春婦)を殺していた敵の旗本たちはへっぴり腰。まともに刀を扱える侍はいないという、笠原和夫の権力批判。

この映画の公開が平成2年で、まるで昭和の漢の残滓のような映画。
緑葉

緑葉の感想・評価

4.8
名優全部集めてみたよ~!な欲張りセット。たまらんけど勘弁してください身が持たないマジで。

ストーリーは夜の街を荒らす悪い奴らをやっつける、というストレートなもの。前半は4人の浪人が酒飲んだり喧嘩(しない)したり酒飲んだりぐだったり酒飲んだり……あれ酒しか飲んでねえなこれ。大丈夫です。綺麗なお姉さん達もでます。むしろお姉さんたちがかっこよすぎて惚れそう。惚れた。そうですこれ最初は割合日常のお話。ヒモだったり妹に八つ当たりしたり嫌々仕事したりお金に執着したりとまあ情けないったらありゃしない。からの後半の殺陣が半端なくカッコいい。べろんべろんでドタバタやってる殺陣が意味わからんほど胸にくる。ずるい。もちろん助太刀の浪人さんもめちゃくちゃ切れ味鋭い殺陣でこれはこれでたまらん。あと掛け合いがいちいちリズミカル。
 
そして何より主役からチョイ役の人まで皆背景を想像させる感じで、濃い。メイン4人に至っては、どいつもこいつも曲者ぞろいで最高です。ツボにはまる人はすごいはまる作品だと思う。それはそれとして今は無性にうどんが食べたい。
Ryosuke

Ryosukeの感想・評価

5.0
この映画はかっこいい!
・時代背景は幕末の宿場街
・原田芳雄と石橋蓮司の個人的最強コンビの出演
・終盤の殺陣のシーンの刀を斬っては捨て斬っては捨てのスピード感と俳優の狂気溢れる演技が凄まじい迫力を作っている。
・物語では、原田芳雄の男臭い色気がムンムンと漂い、勝新が泣かせる。

流石、黒木和雄監督!
マキノ版に比べりゃ圧倒的に劣るが、撮影と編集は見事。
特に編集は予測不能のタイミングで次のカットに移る心地良さ、リズム感が良かった。と思って編集マンを調べたら谷口登司夫。武の師匠で勝新の右腕の男らしい…

ただ男女のくんずほぐれつな運動…と書くとドワイヨンや神代みたいだが、彼らに比べると圧倒的に魅力にかけるのは何故なのか…
単純に運動神経に欠けるのか?
それを考えると勝新の使い方がとても勿体無い。
りょー

りょーの感想・評価

3.9
4人の浪人が酒飲んでだらだらして悪い奴らを斬る映画。4人とも対称的で一致団結することもなくおのおののスタイルで戦っててカオスな状態だった。
ワンピース流れ。
樋口可南子か…ずっと桃井かおりかと思ってた…笑
―――浪人4人 vs 旗本120人!!
斬って斬って、斬りまくる!!☆
原田芳雄の泥酔剣(笑)が唸りを上げる!
石橋蓮司の居合い斬りが一閃する!

原田芳雄、石橋蓮司、田中邦衛、勝新太郎といった濃いィのが演ずる、4人の浪人。
コイツら、ずぅ~っと酒呑んだくれて、ウンダラオンダラと方言でクダ巻いてましてね…。何を言ってんのかサッパリ聞き取れませんでした。☆(笑)

江戸末期、貧困層の人達が生きる下町で、夜鷹が次々と斬り殺される事件が続く。
「うぬらの様なウジ虫が居るから、世の中が乱れるのだ…!」
中尾彬を筆頭とした、悪行旗本一党の仕業だった。

「女は抱くよりも斬るに限る」などと、権力で役人も丸め込んで凶行に興じるのだ。
しかも、夜鷹たちや、それに味方する者たちを前にして、
「文句があるなら、いつでも受けて立つぞ?フハハハ」
と、我が物顔な始末の悪さ。

芳雄にとってはどうでも良い事だったが、捕らわれの身となった、惚れた女を助けるために一念発起。
「重い!」とか言いながら7~8本もの刀を携えて、ぐでんぐでんに酔っ払ったまま、クライマックスの死地へと赴くのです…!

もう剣術の基本も何もあったもんじゃなく、ただ無茶苦茶に刀をブンブン振り回しながら、ズタボロになって敵を蹴散らして行きます!
この危なっかしい酔いどれ剣法が、もう最高でねぇ…。☆(笑)

これと対照的に、白装束を返り血で真っ赤に染めながら戦う蓮司がカッコいい!♪
抜刀斬り→素早く納刀→また抜刀斬りと、あの大人数を相手に、居合いを基本とした戦闘スタイルが冴え渡ります。

実質、戦ってたのは、これに馬上戦の田中邦衛を加えての3人でした。
勝新は、ほとんど面白がって見てるだけだったんだけど……あとは秘密。♪
これが勝新の遺作となりました。☆
malu

maluの感想・評価

3.8
原田芳雄さんの殺陣がヘナヘナでおもしろい。対照的に石橋蓮司さんの殺陣が超カッコいい。
タイトルどおり浪人ものの映画であるが、黒木和雄監督の美意識があちらこちらで見られる素晴らしい作品であった。

原田芳雄のボサボサ髪だが筋肉隆々の浪人、石橋蓮司の鋭さあふれる浪人、中尾彬や佐藤慶の悪人ぶり、樋口可南子の美しさ、そして何と言っても素晴らしかったのが勝新太郎の滅びの美学である。

俳優だけではない。

樋口可南子が足を縛られて仰向けに寝かされているシーンに続いて、樋口可南子の視点で見た「森の間から見える空」。

こうした随所随所に見られる黒木和雄監督の徹底的な映像美を堪能させてもらった。

傑作!