十三人の刺客の作品情報・感想・評価

「十三人の刺客」に投稿された感想・評価

あまりの凄まじいキャストに驚いて借りた。
昔の時代劇って歴史の基礎知識レベルが高かったのか人物が把握できない。気軽にながら見とはいかないのが困る…。セリフの言い回しも現代と違うので脳内変換が追いつかない…
でもやっぱり役者の演技には迫力があって、スター感があるなぁ。俳優は一般人とは違う存在であったことがよくわかる。そもそも立ち振舞いが修練の賜物だもんな。
カットもやたらと切り替わらないのもいい。世界に入り込めるしセリフに集中できる。モノクロだから陰影で見せるために複雑にはできなかったんだろうなぁ。
内容はほぼ理解できてないけど、空気だけは味わった。
schappe

schappeの感想・評価

3.0
この映画は時代劇の終わりや時代の移り変わりそのものであると言われています。
武士道や侍の美学、綺麗事が世の中でまかり通らなくなっていくということが、残虐にあっけなく仲間が死んでいく虚しい光景に重なる。
勧善懲悪の敵を成敗する物語でありながら、時代劇をつくる自身をあざ笑い否定するようなラストシーン。
「光と影の魔術師」とか呼ばれていた気がする工藤栄一監督。
格調高いオープニングからラストの激闘まで話の落差も凄い。

そして、相変わらずこの手の映画は役者の顔がいい。
片岡千恵蔵はどっしりと見た目から強そうで剣豪感が物凄い。
西村晃はまさに天性の人斬りの目をしている。
若き里見浩太朗はなんと凛々しい。
山城新伍は愛嬌のある、という。
キャストは素晴らしい。

今時のミッション攻略系のアクション映画に見慣れているとストーリーは少し単調というか、内容に割には、あまり出来事が起こらない。
あまり戦略もないのでドラマ上のリアリティという意味ではない気がする。

ドキュメントタッチというレビューもあるのでそうなのだろう。
しかし、やはり、本作が傑作と言われる所以は、ラスト30分ということだろう。

殺陣の素晴らしさ、というよりはやはり、アクションをうるさく見せつつ、緻密なカット割りと画のコントラストの美しさに尽きると思う。
斬っても斬っても減らない敵。
それに対して互いに戦を経験したことがない者同士の戦いとして命運を分けるのは「気合い」ってことなんだろう。
雑ではあるが迫力は満点だった。
面白いし、それで充分だったけれど後には何も残らなかった。ただ悪役がちゃんと悪役なのでスッキリ終わります。
u

uの感想・評価

3.2
里見浩太朗の「早ければ一月足らずだろう。遅ければ……次のお盆に帰ってくる」って台詞がカッコよすぎる。

スガカンが殿を演じなかったら、zipの麻呂も生まれなかったのだろうか…
松方さん追悼の予習。工藤栄一監督、池上金男のオリジナル脚本。1963年封切りの東映作品です。時代が時代なんで、スタッフの質の高さが随所で感じられます。

まずね、引きの画作りが素晴らしい。ロケセットの組み方もそうですが、参勤交代の侍一行のマスの動きが美しいのですよ。それに全体的に覆う重厚な雰囲気がこれまたいい。音楽はなんと伊福部昭ですよ。やっぱりうまいですね。演者もいいですよ。千恵蔵、アラカン、月形龍之介と、「七剣聖」の三人まで出てます。昔の日本人の顔はいいですね。面構えがいいというんでしょうか。声もいいし、何と言っても剣を持った動きが美しいです。この雰囲気は今じゃ出せません。

ただね、侍映画としては “侍として良く死にましょう” のそれぞれの理由付けが良く分からないのです。島田新六郎(里見浩太朗)だけが分かる程度で、後は皆当然のごとく死に行く覚悟で最初から参加しているのです。 それに、エンディングの落合宿の35分間の殺陣シーンはちょっと長すぎますよ。もちょっと仕掛けやトラップを作り込んでくれないと、鬼ごっこにしか見えません。だって、この映画、『七人の侍』の9年後なんですよ?それにしたら、殺陣にしてもチャンバラ剣劇を否定したところからやってくれいないとリアリズムにはならないと思うんですがね。それに加えエンディングの処理が悪いので、カタルシスが全くない状態で終了しちゃいます。

東映時代劇好きが非常に持ち上げる映画であることは十分承知していますが、矢張り墓標としての価値しかないような気がします。。。
工藤栄一監督

片岡千恵蔵主役

徳川の殿の弟は、明石藩主で素行が悪く酷い人物ながら、翌年には老中になろうとしている。
ある密命により、島田新左衛門はその明石藩主を抹殺することに。

明石藩は参勤交代があり、島田はその時を狙い、十三人で戦いに挑む!

「七人の侍」を彷彿させるストーリーですが、あくまで武家の物語なので作戦や戦い方に重きを置いてますので、違った印象です。

敵方の鬼頭半兵衛役の内田良平が、めちゃカッコいいです。

しいていえば、十三人のそれぞれの個性付けが乏しいのが残念ですね。

ちなみに、東映作品なんですけど音楽に聞き覚えがあるなと思ったら「伊福部」さんだったんですね。
特撮映画のBGMのままのシーンもありました(笑)
完璧にあわず一応既視ということに。どうにも合わない、物語は至極単純なのだが画面内で飛び交う言葉が硬い上、顔も名前もさっぱり覚えられないうえ、流石にアラカンぐらいはわかるものの誰がどのスターかもまったく見識がなく置いてけぼりを食らった。徹底して台詞が多いし、それにフリッツラングめいたいわゆる装飾性を剥いだ画面を作り上げドキュメンタリー性が加わるとどこか歪なものに見えてしょうがない。散文的すぎる気もする、機会があれば見返すが。
個人的におっと思ったところは、本作から3年前に公開されたヒッチのサイコのジャネットリーが死ぬときにカーテンを剥がすという演出があるが、本作においては死ぬときに屏風を剥がすという風にそっくり引用されている。そして、ラストの泥まみれのキチガイ地味た斬りあいというより追いかけっこ。いややっぱり2度と見ないかもしれない。
滝和也

滝和也の感想・評価

4.4
獲物は五十三騎!
迎え討つは十三人!

東映時代劇の中から
産まれし集団抗争劇の
傑作にして異端児!

「十三人の刺客」

当時俊英、工藤栄一の代表作。主演片岡千恵蔵、里見浩太朗、嵐勘十郎、西村晃他。あまり邦画は見ない私ですが、時代劇は大好き(^^) その中でもお気に入りの一本。三池崇史によりリメイクされた事も記憶に新しい。邦画時代劇が誇る傑作です。

旗本目付け、島田新三郎(片岡千恵蔵)は筆頭老中土井大炊頭利位より密命を受ける。暴君にして将軍家弟君、明石藩主松平左兵衛督斉韶を暗殺せよと。次期老中となる斉韶の所業は陰惨を極め、天下国家のためとならぬ故である。だが島田を知る明石藩鬼頭半兵衛(内田良平)はそれを阻止すべく立ちふさがる…。

侍としての挟持、意地がぶつかり合う見事な展開。序盤からその緊迫感は素晴らしく、荘厳な雰囲気すら漂う。撮影の素晴らしさがそれを創り出しているのは間違いない。光と影のコントラストが素晴らしく、そのアングルも興味深い。監督が作り出す様式美が太平の世を生きる武士を映し出します。

比較的心情を描き出すことを抑え、事の顛末をくっきりと描き出すノンフィクションの様な語り口であり、返って娯楽性を高めている。中盤においては二人の頭脳戦に比重がかかり、緊張感を維持し更に面白さが高まっていきます。

ただ何と言っても終盤35分間にも及ぶ殺陣シーンの凄さは群を抜いています。七人の侍にも匹敵する迫力(後年嵐勘十郎は語る)と長回しによる泥臭い殺陣は正に傑作。池田宿を全て買い取り待ち伏せする十三人。町を迷宮化し誘い込み勝負に出る。細い路地に大人数を誘い、数的不利を打破せんとする戦いはアイデアが素晴らしい。太平の時代であり、実は人を斬ったことのある武士はいない。その泥臭い殺陣はリアリティを増し、白刃の恐怖を観衆に与える。当時の東映時代劇は殺陣は美しさが要求されたはずであり、異端ぶりが更に際立ちますね。

主演の片岡千恵蔵は時代劇の大スターであり、余裕ある雰囲気と侍としての分を弁えた悟りをもつ頭目を見事に演じきっています。またもう一方の大スターである嵐勘十郎は副将格であり、その二人の存在感は素晴らしいの一語に尽きます。また若手として里見浩太朗が起用されていますが、若者らしい冷めた中にも熱い心を持つ新六郎を好演。殺陣も演技も旨さが光ります。腕利きの浪人役、西村晃のニヒルさがまた素晴らしく、ラストがまた見事にハマっています。

「武士とは主君に仕えるもの」
武士としての本道、侍としての生き様、挟持が分断に盛り込まれ、賛美だけでなく哀れ、儚さを描き、無常観すら漂う傑作でもあり、娯楽時代劇としても傑作。ぜひご覧ください(^^)

追記 この作品が、好きなので傑作と言われる三池崇史版は敢えて見ておりませんが、そろそろチャレンジしようかなとは思ってます(^^)
●'88 7/下旬〜8/上旬『感動 名匠の傑作特集』名画座上映
(初公開: '63 12/7〜)→
〇'02 7/21 DVD発売及びレンタル→
〇'10 11/1 廉価版DVD発売→
〇'14 7/11 廉価版DVD発売
配給: 東映→
発売元及び販売元: 東映ビデオ
ワイド(シネスコ)
B/W
モノラル
8/2 11:30→15:15〜並木座にて観賞
フィルム上映
パンフ発売無し

同時上映:
「地獄門」
いとそ

いとその感想・評価

3.8
オリジナル版。参勤交代道中の暴君を抹殺するため十三人の刺客が放たれるというシンプルな筋書き。仲間集め、計画立案、作戦実行という流れは七人の侍程ではないものの観ていて楽しい。ただメインキャラ以外の描写が弱く、「十三人」であることにそこまで意味を感じない。要塞内で右往左往する武士達の斬り合いがひたすら続く終盤30分は互いにヤケクソ感。田圃で笑い転げるラストのあの男も何だかよく分からんが怖すぎ
>|