接吻の作品情報・感想・評価

「接吻」に投稿された感想・評価

その作家が撮らずにおられない題材に然るべき時の出逢った事から零れ落ちたような恐ろしさ 万田邦敏『接吻』

出逢いは残酷な悪意に満ちている。

その作品がその作家の作品系譜で最高傑作でないにしても、それを残すために映画監督になったような作品が存在します。
例えば
三隅研次『桜の代紋』
増村保造『曽根崎心中』
曽根中生『私のSEX白書 絶頂度』
阪本順治『トカレフ』
北野武『ソナチネ』のように。

共通しているのは撮らずにおられない題材に然るべき時期に出逢ったに違いない、と思える事。

こればかりは才能に欠ける者がいかなる努力をしても追い付きようのない残酷なもの。というより、才能を有するが故に訪れる残酷なもの、です。

小池栄子がある一線を踏み越える才能が開花したのはまさにこの時期に豊川悦司の存在を認めてしまった事に尽きます。

事実、彼女がその日、テレビで報道される事件を知らなければ、連行される豊川の瞳を観なければ、おそらく一生、都合のいい陰日向の女として過ごしいたはず。

仲村トオルが心配だ、と言う、文字通り、その一途さが小池栄子の才能に他なりません。

本作には観ている私たちにストレートに迫るラストシーンの背後に(真)の衝撃が隠されています。
ネタバレなど平気でする分別に欠ける私ですが本作に関してはその欲に抗い、ぐっと堪えます。
悪意に満ちた出逢いの残酷さを孤独に堪能下さい。。
この物語は吉岡守(旧姓宅間)死刑囚がモデルだそうですが、
自分は山地悠紀夫死刑囚を想像しながら観ました。
「孤独」という意味ではかなり近いような気がして。

脚本は監督の奥さんが書いたそうで、
そのせいか、獄中結婚した女性目線でストーリーが進行します。

一家3人を殺害した坂口(豊川悦司)の報道を見た、
友達もなく職場では無視され続ける孤独なOL京子(小池栄子)は、
彼の笑顔をTVで見た際「この人は私と同じ種類の人間だ」と直感し、
それからは、裁判の傍聴席に毎回通い始めたり、
弁護士を通じて、彼に差し入れしたり、手紙を送ったりする。
勤めていた会社を辞めて、
いつでも面会できるように拘置所の近くに引っ越したり、
ついには彼と結婚したり、彼中心の生活になる。

彼女いわく、
「私たちはずっと周りの人達から無視されたり、
 いいように利用され続けてきた。世間は私たちを徹底的に
 無視してきたんだから、今度は私たちが世間を無視してやるのよ」
と彼に語りかけるが、二人の気持ちが少しずつズレはじめ、という物語。

裁判を傍聴に来る京子が少しずつ前の席に座ってくるのが、
少しずつ彼の気持ちに近づくという描写だったりするのかな。
心理的な距離を物理的な距離で表しているような。

京子の報道陣に囲まれた際の彼らに浮かべるうすら笑いが狂気的。
最後の接吻シーンは「彼女の無意識の生への執着」と
自分はとらえたけど・・・どうだろう。また観たら違う解釈をするかも。
下品な想像をするもそんなことに絶対にならなくてずっと静かでよかった。子どももどこにでも現れることが可能なのがわかった。
小池栄子素晴らしい〜
あの淡々としてる感じでの記者に囲まれた時の笑顔、ラストシーン、鳥肌立ったね

小池栄子と豊川悦二と仲村トオルの3人だけでここまでの空気感が出るのが凄いし3人ともバッチリハマってた!

題の接吻が出てエンドロールになる所も好きだったけど、最後の小池栄子の接吻にはどんな意味があったのか、、、

これは見る人それぞれで感じ方が違うだろうけど助けてって意味だったのかな?

小池栄子が豊川悦二にハマる背景が少し薄かったと思うけど、小池栄子からしたらそのくらいの事でも心が動くだけの人生だったんだろうな〜

もっと理解したい
加賀田

加賀田の感想・評価

4.5
石鹸の匂いのシーンはめちゃくちゃ凄かった 面会室から出て行く仲村トオルを一瞬だけ真上から映すところはどう考えたらそう撮れるのか分からない
M川A氏

M川A氏の感想・評価

3.8
眼力は演技において重大なファクター。
小池栄子。これぞ怪演。
shun

shunの感想・評価

2.7
やっぱ無理がある、このストーリーは。
一般的には異常と思えるヒロインの行動をリアルに描きたかったのならよくわからなった、かといってサイコパスを登場させて観客に丸投げでもない。仲村トオルの言葉は終始正論だし。
ラストはなかなか衝撃的にするし、なんだったんでしょうか。
keiji

keijiの感想・評価

3.8
完全に意表を突かれた。細やかで良いけど全面的に良いとは言い難い。小池栄子は凄いんだけど座っているだけでもサスペンスの顔になっててずるいなぁと笑ってしまった
あきほ

あきほの感想・評価

4.2
怖い話だとは思うけど、共感できるところもあれば、理解したいという感情もあった。世間から見放されていると感じる孤独は本人にしかわからない。自分は普通とは違うんだという違和感を日常で抱えている人はどれくらいいるんだろうね、苦しいね。ラストはゾッとしたし、泣けてきた。本能?小池栄子素晴らしい。
ほし

ほしの感想・評価

5.0
大傑作。忘れてはいけないのは「こんにちは」と豊川が発するのをしっかり観客に聞かせていること。そう簡単に小池に「感情移入」させず突き離す。
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