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shibamike

shibamikeの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

明治35年。
「こんな田舎もう嫌だ!」

と故郷の愛媛を飛び出したキンゴロー(ヨロキン)が佐久間良子とラブラブになって、渡世する映画。

数年前から転職の広告というのを町中の至る所で見かけるようになった。電車の中なんて転職の文字だらけである。隣の芝生は青い、一方で一つの所でずっと過ごすことで身に付く力強さもあると思う。

本作におけるキンゴローは石炭積み降ろしの仕事一筋であるが、結構職場を変える。
「もう、ここの親方には愛想が尽きた!」
と言い、プイッと新しい土地、新しい職場に身を置く。

故郷もダサい親方もポイポイ見切りをつけるキンゴローであるが、堪え性が無いのかと言うと、そうではない。仕事熱心で周囲からの評判も良く、信頼も厚い。
彼の願いはただ1つ。「生まれたからにはでっかく生きてやる。」天空高くかけ昇る龍。そんな風に自由に大きく生きたいのであった。
そんなキンゴローもようやく「この人こそは!」と思える親分に出会い、忠誠を誓う。けれど、その親分がだらしない親分で仕事の邪魔ばかり。

競合の相手と仕事の奪い合いもあったりするが、最後はキンゴローの勝ち。映画だもの。小松方正との決闘シーンはさっぱり盛り上がりに欠けた。

映画のタイトルと、キンゴローが彫る刺青がカッコ良かった。

田村高廣や月形龍之介は終盤にキーパーソンになるのかと思ったら、序盤以降登場しなくてガッカリ。田村高廣が金持ちの妾をしている芸者に向かって「わしはしがない土方じゃが、この2本の腕でおまんま食うとんじゃ!」と言っていたのが良かった。終演後、思わず自分も自分の両手を見たら爪が伸びていたので、帰って切った。

まとめサイトやツイッターなんかを見ていると、女性をバカにするとき、「ま~ん(笑)」というネットスラングを使うらしい(古い?)。これから派生して、フランクに女性を「まんさん」と呼称したりもするらしい。
ヒロインを演じている佐久間良子。いつも通り綺麗なのであるが、役名がちょっとフフッとなった。「マン」。劇中でみんなが「マンさん、マンさん。」と呼ぶのが微笑ましかった。

劇場が結構混んでいて、人気作なんだ!とちょっとテンション上がったけど、それほど名作とは感じなかった。土曜昼でヨロキン映画だから多かったのか、はたまた土日のラピュタはいつもこれくらいなのか。ラピュタ2階の極小小便器のみが答えを知っている。

ライターのことを昔は「懐中ランプ」と言っており、何て味のある呼称だと思った。ライターなら要らないけど、懐中ランプなら欲しい。呼び名って大事。
☆☆☆★★★

暴力の蔓延る北九州港湾。
中村錦之助演じる玉井金五郎の一代ドラマ。

不当な扱いに怒りを覚え、単身小頭の集まりに乗り込む錦之助。
若松の大親分こと、月形龍之介演じる吉田磯吉に気に入られる。
この時にたった1シーンの登場で、画面の全てを持って行ってしまう月形龍之介の、演技の懐の深さ。
佐久間良子演じるマンと知り合い、“菊の花”の美しさと同時に、彼女との想いも叶う。
弟分田村高廣との別れも有りながら、マンと一緒に戸畑へ。徐々に玉井金五郎の名前が知れ渡る。

佐久間良子の美しさに、淡路恵子演じる女博徒蝶々牡丹の凛々しさ&格好良さ。
更に佐藤慶=小松方正の鉄壁な悪のライン等。映画の娯楽性が満載に詰まったドラマは、錦之助が玉江組を興す続 花と龍 洞海湾の決闘へと引き継がれる。

(2009年11月22日 新・文芸坐)