魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞の作品情報・感想・評価

魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞1985年製作の映画)

製作国:

上映時間:81分

3.8

「魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞」に投稿された感想・評価

大人帝国の逆襲にはならない
アドゥレセンス黙示録にもならない。
しかしこれはこれで
青二歳

青二歳の感想・評価

4.7

このレビューはネタバレを含みます

80年代魔法少女の先駆けミンキーモモ。児童向けメルヘンかと思わせてかなりの衝撃作。さらにギャグもパロディもやり過ぎ感が“うる星やつら”級。最高に面白い。押井守の投げっぱなしはなく丁寧な遊び心がまた素晴らしい。
【あらすじ】かつて地球には夢の国があり人間たちの夢を叶えてきたが、1000年の眠りについている間に、地球から離れ宇宙空間を彷徨っていた。人間が夢や希望を信じる心を喪っていたため、夢の国が必要とされなくなったためであった。目覚めた王様はそれを悲しみ、地球に戻る方法を探る。夢の国の王女ミンキーモモを子供がいない夫婦の元に遣わし、出会う地球の人々に夢や希望を魔法で与えていく。モモが彼らに希望をもたらすことができると夢の国が再び地球に降りて来るという(ちなみにこの前提となる部分はTVシリーズの初期にありますがシリアスなムードは一切なし!)。

今作で彼女が出会うのは“大人になりたくない子供たち”。南太平洋の島でモモの両親を含む大人たちが行方不明になるが、それは不思議な子供の国に連れ去られたためであった。
道化「この国は大人になりたくない子供の国です。お嬢さんは大人になる力がある。大人になりたい子供はこの国には用はありません。」モモ「じゃあぺぺは?」道化「あの子は人間です。人間はいつか大人になりたくないと思う日が必ず来ます。」

児童漫画では子供v.s大人の図式があると、多くの場合大人はを“夢や純粋さを失った者”として否定的な表象になりがち。今作もシンプルに児童漫画らしく子供v.s.大人の図式かと思ったんですが、モモの存在があるためちょっと違います。
ピーターパンの不思議なエネルギーの秘密を知り、不老不死の軍隊に転用できるかもしれないとやってくる各国軍隊や軍産複合体なぞはまさに“純粋さを失った者”で、大人はロクでもないヤツら。でもあまりに戯画化されていて実はただのギャグ要員です。
主軸はあくまで子供にあります。少女モモは“大人になる力がある”存在であるとされ、ピーターパン(ペーター)の作るユートピアに対して、逃げて狭い世界に閉じこもるのは好きじゃない、「大人になるからこそ夢が見れる」という。
TVシリーズでは、夢の国の住人として人に希望を与えるのではなく、モモ自身が"大人"になって自分自身の夢を自分の力で叶えてゆくことを選択します。OVAではこのモモの選択とリンクするようなメッセージが示唆されます。ここで重要なのは、少女モモは確かに未分化ではあるけれど、ただのタブラ・ラサではなく、大人になる力があり、夢を叶える力をもつ存在として自律している点でしょうか。

TVシリーズのキャラが盛りだくさんですが、TV版を知らなくても大丈夫です。そのまま何も知らずに観ても、大人になることを肯定的に見つめる少女のまなざしは中々示唆的で考えさせられます。とはいえ説教くさくないし、悪ふざけが楽しくてそれだけで十分面白いです。
なんせ南太平洋の原住民も…不思議なエネルギーを探査しに来た各国調査員・諜報員向けに観光ホテル事業を始める強かさ。こういう大人向けの笑いが今見てもアニメ作品として面白いので決して幼女向けではありませんね…やり過ぎギャグが当時の大きなお友達もハマらせたんだと思います。メカや飛行機の作画も結構シッカリしてますし…その辺のバランスの良さは、スタジオぴえろ制作クリィミーマミ以降の魔法少女シリーズよりも"うる星やつら"みたいでかなり好みです。DVDボックス欲しい…
imurimuri

imurimuriの感想・評価

4.3
ミンキーモモシリーズほど奥が深くかつショッキングな魔法少女モノを知らない。表層的なインパクトではない、考えなければ与えられないようなタイプの衝撃がある。
まどかマギカで衝撃を受けたという人はちょっとタイプが違うけどミンキーモモを是非見てみてほしい。
MSTY

MSTYの感想・評価

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ミンキーモモといえば、ぴえろ魔法少女シリーズと並んで評価される魔法少女アニメの傑作で、80年代に放送された「空モモ」と90年代の「海モモ」があります。本作は「空モモ」のOVA作品であり、ひょんなことからモモたちが南の島にある子供だけの国を訪れるところから物語が始まります。

本作に登場するペーターはピーターパンのような役割を演じる男の子で、子供の国を束ねる主です。大人たちは、この子供の国にある莫大なエネルギーを狙っており、ペーターは大人に対して強い不信感を抱いています。そして、この国がある島は、大人が足を踏み入れると子供になってしまうという秘密がありました。

本作は「大人になるということに夢や希望はあるのか?」ということに向き合う内容となっています。

1980年代の日本といえば、女性の社会進出が進み始めた時期です(それまでは、「女性は大人になったら結婚して家庭に入るものだ」という価値観が支配的だったかと思います)。ミンキーモモのテレビアニメシリーズでモモがさまざまな職業の人に変身して活躍する描写は、そうした現実に呼応しているのでしょう。

単純に言えば、子供にとっての「大人」とは「仕事をしている人」です。ひとくちに仕事と言っても世の中にはいろいろな仕事があるわけですが(家事なんかも立派な仕事だとわたしは思います)、そうした仕事の中には、誰かを嫌な思いにさせてしまう可能性のある仕事もあります。それでも仕事は仕事ですし、そうした仕事もまた、現在の社会を成立させるための要素となっています。

モモは大人たちを否定したりしません。しかし、子供のままでいる方がいいのかどうかということに明確な答えを出すということもしていません。

本作は、内容的にはもちろん子供が見て楽しめるものになっているのですが、大人にとっても考えさせられるところがあります。わたしは「空モモ」も「海モモ」も途中までしか見ていないのですが、それでもこの映画を観ていて楽しさを感じましたし、今でも鑑賞価値の褪せていない作品だと思います。