Jの悲劇の作品情報・感想・評価

「Jの悲劇」に投稿された感想・評価

masamune

masamuneの感想・評価

4.4
2005年冬鑑賞。原作はIan McEwan著「愛の続きEnduring Love」ブッカー賞確実と言われた秀作。氏は人間の不条理な愛情を描く作品が多く、どれも一読に値する。物語は別次元の格調高い愛情を描くが、映画ではサイコ・サスペンスな仕上がりで、原作ファンは「はぁ?」かもしれないが、映像化でこうも違うテイストに成る作品も珍しい。Roger Michell監督はコメディが主戦場だが、このサスペンスが最も出来が良いのは皮肉なものだ。
冒頭の気球のシーンは何度見ても素晴らしい。イギリスらしい田園風景が美しく、其処に赤い気球が飛んで行く。ヴィジュアル的に優れたオープニングで、まるでその場に居るような臨場感、特に音楽を廃した演出はこれだけでも見る価値ありと手放しで褒めたい。
主人公Daniel Craigは007に成る2年前の作品、共演は「マイノリティ・リポート」のSamantha Morton、後のQであるBen Whishaw、そして何と行ってもRhys Ifans、「ノッティングヒルの恋人」に出てたとは思えない怪演ぶりが素晴らしい。彼が配役された事で、作品のカラーが決まったと言っても過言ではない。
この作品は原作通り「クレランボー症候群」を描いてる。簡単に言うと「私は彼に愛されてる」と思い込む妄想障害の事で女性、特に30代後半から多いのが特徴。ストーカーと違うのは、これが立派な精神疾患で有る事、相手が拒否しても自分の脳内ではそれが理解できない状態で、原作に詳しい解説が書かれてるが、本作ではRhys Ifansの演技で全てが説明できる位、気持ち悪い(褒めてます)。
些細な出来事が少しずつ歪曲化し、やがて後戻り出来ない秀逸なサスペンスへと変貌していく。登場人物が少ない分、綺麗な風景で舞台を見ている様な作劇は、まさにサイコ・スリラーですが、ラストの解釈は見る側に委ねられてます。このラストシーンが秀逸で、得体のしれない狂気が潜んでる訳ですが、記憶に残るシーンでも有ります。
ホラー要素は有りませんので、お行儀の良いサスペンスだと思って観て下さい。
牧野

牧野の感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

綺麗な青空と一面の芝生に現れる赤い気球がとても不吉で、冒頭からとても引き込まれた。気球事故、当の少年は無事で助けようと動いた優しい人が犬死にとなった...彼が亡くなったのは手を離してしまった自分のせいではないかと罪悪感に苛まれる主人公ジョー。の物語かと思えば!その場に偶然居合わせた男による身勝手ストーカー物語だった!この男が本当に気持ち悪い。突き放し拒否すれど追ってくる。カーテンの開け閉めがメッセージだと...知らんがな。気球事故の心の混乱(PTSD)の中、訳の分からない理由で男からのストーカー、恋人は親身になってはくれず辛いね...ジョー。
ラストシーンがとにかく好き。恋人を刺したストーカー男を止める為にはどうすればいいのか最善を考えるジョー。男の手を取りキスをして...キスをして男の望む言葉で優しく包み...キスしながら憎い男の腹を刺す。最高でした。最高すぎてここのシーン5回くらい見た。
死んだと思ったらエンドロールで笑みを浮かべながら手紙を書くジェッドの姿...出所後ストーカー再開する顔でしたわ。恐怖しかない。クレアが生きててくれて良かったけど、ジョーとの仲は元には戻らず。本当にジョーの悲劇の物語だった。

この映画、一枚絵のような、画が本当に良かった。青空と赤い気球、ジョーの恋人を刺し床に点々と落ちる血は特に好き。冒頭から最後まで一貫した不穏で美しい音楽も好き。


忘備録メモ
「恋に落ちると、あるいは恋に落ちたと思うと、我々人間は種の保存という行為にに精を出すんだ。つまり ファックに励むんだ。人間なんて愚かな生物さ、無意味だ。恋の理由さえわかっていない。」
R

Rの感想・評価

4.5
冒頭が素晴らしい。草原でピクニックしてるカップル(ジョーとクレア)が、ちょっと離れたところで、突風に吹かれて暴走し、浮き上がりそうになってる気球を必死で止めようとしてるおっさんを発見。気球には彼の息子がひとりで乗っているのだ。即座に周りのみんなが集まって気球にぶら下がり、浮上を止めようとする。しかし、かなり高くまで浮き上がってしまい、危険を察した彼らはひとりまたひとりと飛び降りる。地面から見上げると、ひとりだけロープに捕まってる男が、もはや降りられない高みまで登ってしまっているではないか。そして、限界が来て落ちてしまう。落下した場所に駆けつけたジョーとジェッドは、無残な骸となったその男を見つける。ジェッドは神を信じないと嫌がるジョーに、一緒に祈ってくれ、とお願いする。大変ショッキングなオープニング。この事件が彼らの運命を少しずつ引き裂いていく。まず、真面目で沈思黙考タイプのジョーは、気球から誰も飛び降りなければ、男が死ぬこともなかったかもしれないと罪悪感に苛まれる。ひょっとすると一番に降りたのは自分かも知れない。それにみんなつられただけなのかも…そして、気球はその後問題なく着地したと聞き、落下した男の死の無意味さに打ちのめされ、自分の人間としての無意味さにも対峙することになる。と、それだけでも十分な重荷なのに、あの場を共有したジェッドがジョーに近づき、あそこに二人がいて、一緒に神に祈った。神はボクたちを愛でつなごうとしている、人生に起こるあらゆることには意味があるから、とジョーをストーキングし始める。コイツが死ぬほどキモい。小汚いロン毛に無精髭、細くて背が高くぬぼーとしてる上、優しい色目を送ってくる。ヤバすぎます。行く先々に姿を現しては、むしろきみが合図を送ってきたんじゃないか、受け入れようよ、神の思召しであるこの愛を、みたいな感じで。ヤバすぎます。いままで見たことのあるキモキャラの中でもトップクラス。内的には人生の意味の欠如に苦悩しながら、外的には人生の意味を自分勝手に盲信するストーカーに苦悩する、やがて、ジョーのガールフレンド、クレアもその苦悩に巻き込まれ…という流れ。静謐で内省的なムードのなか、最高に気色悪いスリラーがジリジリ展開するので、かなり好みわかれると思うけど、個人的にはものすごく好きなタイプの映画で、始終ゾクゾク。ハマる人はかなりハマると思う。ジョーを演じるダニエルクレイグはめちゃめちゃ役に合ってたし、妻のクレアは、自分の気持ちに寄り添うことはしっかり要求するくせに、相手の気持ちには寄り添わないという、まぁよくいるタイプの人間で、それをサマンサモートンが怖い怖い演技で演じてる。クライマックスのシーンは、すごい唐突さに思わずうわっ!と声あげてしまったし、オチは全体の流れからはちょっと意外と言える穏やかさ。人間が純然たる主観的な生き物で、ひとりひとりの世界が複雑な現実を織り成し、お互いにわかり合うのがどれだけ難しいかを、スリラーとして巧みにあぶり出した、とても面白い映画やと思いました。
もやし

もやしの感想・評価

4.4
彼女とピクニックをしてたら、暴走して着地ができなくなった気球に遭遇。
周りにいる人達で止めようとするもまた浮き上がってしまう。そこで主人公はこのままだと危ないと手を離す。
他の人も手を離したが、一人だけ掴まったまま。そして落ちてその人は亡くなってしまう。

他にやりようがあったんじゃないかと主人公は悩み続けるが、そんな中、その場に遭遇した内の一人が付きまとってくるようになる。


とても雰囲気のある独特な映画。
いつまでも気球のことが頭から離れない。
そして付きまとってくる男。

主人公の心がどんどん不安定になっていく。
極端な思考になっていき、彼女との関係性も変わってしまう。

引き込まれます。


登場人物が皆インテリ系で、小難しい会話が多い。



色々と思った映画だったけど、最後に、そんなこともあったねと、冷静に振り返ることができたのが何とも気分が良かった。
アノン

アノンの感想・評価

3.1
ジャケットや邦題のセンスが高くて前から気になってた作品。

全体的に不思議な空気感が漂ってた。イギリスというよりはね、フランス映画みたいだった。

でもなんか私が思ってた内容と全然違ったからある意味衝撃的でしたよね〜

簡単に言うとダニクレがある男からのストーカー行為を受ける話。
仕方ないよね〜ダニクレは男も魅了する程の色気を持ち合わせてるんだから〜(⌒-⌒)

本編はまぁそんなお気楽なテンションじゃないんだけど。

それにしてもダニクレが本当に気の毒。
カーテンの合図とか知ったこっちゃないわって感じ(笑)

男からのストーカーを受けたことで彼女との関係も悪い方向へ進んでいくし、可哀想としか言いようがない。
私がダニクレの立場ならすぐ警察に言うだろうけど、そういう事は一切しないんだよね〜彼への優しさ?哀れみ?なんで?

そのストーカーしてる男ジェッドも悪気とか全く無くてピュアだからこそ厄介。
リス・エヴァンス超ハマり役だった。
"ノッティングヒルの恋人"の時と若干キャラ被ってる?、(笑)

後味スッキリ映画では無いので比較的元気な時に観た方が良いと思われます。
ピクニック中に気球が落下してくるのを発見して助けに行くんやけど・・・。

これは ほんま悲劇や。

リス・エヴァンス気色悪い役。

あ!リックが出てた。
小石川

小石川の感想・評価

3.9
悪魔の使いは予期せぬところから現れる、ということばかり考えた。気球に乗っていた少年はいったい何を考えていたのだろうか。全く描かれていない彼の情報が、狂わされていく、または初めから狂っている人々をより鮮烈にしていた。緑、羊、雨、彫刻、生き物ではない登場物たちがぞっとするような視線や雰囲気を生み出している、映像として魅了される不愉快さだった。観終わるまで引き込まれてなかなか現実に戻れなかった。
あぼし

あぼしの感想・評価

3.4
彼女は同じ場所にいて彼の体験をみてるはずなのに最後まで理解してあげてなくて辛かった。
ダニエル・クレイグの素朴なのに危うい雰囲気がストーカーされそうだなって感じです。気球の掴み、素晴らしい。
DarcyAnam

DarcyAnamの感想・評価

2.6
男が男にストーキングされるってまるで地獄絵図。邦題が良いから観たけど少しガッカリした。
気球の事故は確かにショッキングなものだろうけど、正直そこまでトラウマ化するかなって感じ。
クレアと同じで何故ジョーがそこまで悩むのか理解できなかった。
>|