夕なぎの作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「夕なぎ」に投稿された感想・評価

ジョゼフ・ロージー ×テネシー・ウィリアムズ×エリザベス・テイラー=最強。ロージー 「呪われた者たち」のような孤島で、我儘な女王のように暮らす傲慢なリズ。この役はリズしかできない。島の船乗りに「bloody bitch of the world!」と毒づかれるほどの自分大好き最強クソウーマン🏆彼女の死期を嗅ぎつけ島を訪れる死神のリチャード・バートン。「カプリの奇術師」の渾名を持つ、輸血業のノエル・カワード。最高に可愛いのにリズの前には影すらみえない秘書のジョアンナ・シムカス。今年の夏に突然死がやってくるTウィリアムズ節。ただただ不吉で興奮する。
「死神」リチャード・バートンが着物をまとい刀を持ち歩いているのは、おそらく死を見届ける「介錯人」としての正装(日本人にしか分からない目配せだと思う)。シナリオがテネシー・ウィリアムズなのでエリザベス・テイラーの役どころは狂った母親もしくは老いた男性としても読み取れる。テネシー・ウィリアムズの真っ直ぐな物語とエリザベス・テイラーの悪趣味な一人芝居、その食い合わせの悪さを修正するのではなくジョセフ・ロージーは更に大仰にこってりと描き、それなりのドラマから「グロテスク」な傑作へと変異させている。夜の不穏さ、犬を放つ小人、歪な屋敷。エリザベス・テイラーの咳が止まらなくなるくだり、ヤバいよ。
怪作だらけのロージーの中でも飛び抜けて意味がわからない。
まさに混沌。
この世で真の混沌を撮れるのはロージーしかいないのである。