絵画的な筆致で撮られているとでも言えば良いのか、19世紀ドイツのロマン主義の画家、カスパー・ダーヴィド・フリードリヒ(1774 – 1840年)の作風さながらの映像を見つめながら、アレクサンドル・ソ…
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死に瀕した母親の絶望と母を愛する息子の日常の風景が静かに描き出される。背景情報の説明はほぼなく、隔絶されたド田舎で二人だけの世界を生きている。そこにあるのは確かに愛だが、何よりも強い絆というほどで…
>>続きを読むこれだけ映画を観てきても、こんな映画観たことないと思わせてくれる映画がまだたくさんあることが嬉しい。
はっきり言って物語は地味でつまらない。しかし、映画を観ている間、心がざわつく感じがした。圧倒さ…
アレクサンドル・ソクーロフ監督の『Mother and Son』は、まるで色褪せないセピア調の古い写真がそのまま動き出したかのような、静かで奥深い情緒を湛えた作品でした。
この映画は、母と息子とい…
超望遠にピントの合わない歪像
超望遠で圧縮された画面の中で主人公の歩みはあまりにも小さく、画面から逃れ出ることが出来ない。
パースペクティブも上も下も分からなくなるような歪像とちぐはぐなピント。
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画面の一部が光、闇、あるいは歪みによって常に見渡すことができないというショットが連続することで、神秘を呼び込もうとしている。今更フリードリッヒの名を引き合いに出すのも野暮であろうから別の言及をすれば…
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