サマーストーリーの作品情報・感想・評価

「サマーストーリー」に投稿された感想・評価

yoshi

yoshiの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

遠距離恋愛の末の別れ、進学や就職に伴う恋人との別れを経験したことがあるだろうか?誰しもが若い頃の恋を思い出し、「今、元カノ(元カレ)はどうしているのだろう…」と思いを巡らせたことがあるのではないだろうか?この映画はあまり知られていませんが、青春時代に劇場で観て泣いてしまった思い出に残る映画です。

80年代のミニシアターブームに乗って、一時期イギリス映画が多く公開された時期がありました。
「アナザー・カントリー」に始まるイギリスの美青年が多く出演する映画が次々と公開されました。
(ダニエル・デイ・ルイスやコリン・ファースはこの頃から日本でも知られるようになりました。)

その多くは上流社会での男性の同性愛をテーマにしていて、女性客に評判でした。
(今で言うBLのはしりでしょうか?)

その時代のイギリス映画の中の一本です。

ノーベル賞作家、ジョン・ゴールズワージーの短編「林檎の樹」を映画化したラブロマンス。

物語を一言で書けば、身分違いの都会の上流階級の青年と、田舎娘のひと夏の恋物語です。
素朴な環境でのロミオとジュリエットに似た切なく、素直なメロドラマ。

よくある話と思うでしょうが…そのラストは観客の心を深く切り裂きます。
悲しみと怒りのどちらかに…。

時代は20世紀初頭のイギリス。
初老の紳士が見晴らしの良い田園風景を見つめながら、かつての自分の若かりし頃を回想しています。

18年ぶりにこの地を訪れた。
あの娘はどうしているだろうか…

この紳士の名はフランク。
弁護士フランクは、若い頃に友人とこのイングランド西部を旅行中、足を捻挫してしまう。
その時、出会った美しい村娘ミーガンの家が営む民宿に逗留することになります。

ミーガンは垢抜けてはいないけれど純朴な美しい娘で、二人は恋に落ちる。

主人公フランクに扮すのは映画「モーリス」で知られるジェームズ・ウィルビー。
重い荷物を持つのが似合わない都会の男。
金髪の巻き毛が美しく、イギリス紳士のシンボル、仕立ての良いオーダーメイドのツイードのスリーピースのスーツが良く似合う。

ヒロインのメーガンを演じるのはイモジェン・スタッブス。
映画「十二夜」で顔をご存知の方もいるはず。整った顔に手入れしていないであろう自然で太い眉毛が印象的な女優さんです。
懐かしの海外TVドラマ「大草原の小さな家」が似合いそうな純粋で素朴な雰囲気が漂います。

二人はあっという間に恋に落ち、情熱的に愛し合い、フランクは上流階級の全てを捨ててでも結婚すると約束するのですが…

当時のイギリスは(もしかしたら今も)身分の差が立ちはだかって、二人は結ばれることができない。

田舎の肉体労働も満足に出来ない頼りないフランク。フランクを恋敵と見る羊飼いに罵倒され、自分がミーガンに相応しいから諦めろと突きつけられる。

ならば、駆け落ちするしかないとフランクは家族や知り合いに、手紙で費用を無心するが誰も取り合わない。
一人の男として自分の無力を痛感するフランク。
ミーガンすら結婚を躊躇してしまう。

必ず戻るとミーガンに誓い、都会に戻ったフランクは再会した友人との関わりの中で、上流社会の生活に再び馴染んでいく。

「ミーガンには悪いが、やはり自分には都会の生活のほうが合っているのでは…?」とミーガンとの恋と自分が言い出したはずの約束に迷いを感じはじめます。

一方、ミーガンは待ち続けます。
しかしフランクは来ない。
電話があれば遠距離恋愛も可能ですが、この時代は携帯がないからこその、すれ違いが悲しい。

そしてついに、ミーガンは家族や彼女を愛している羊飼いの制止を振り切って、フランクを探しに都会に出かける。

田舎の田園の中では、ミーガンの素朴な服装髪型は素敵でした。
でも都会の華やかで上流社会の中では、田舎くさく野暮です。

大きな荷物を持ち、都会でフランクを探すミーガン。
ある日、フランクはミーガンの姿を見つけます。

しかし、あれほど愛したミーガンを前にして、彼は地位や名誉や財産を失うことや恐れ、都会の上流生活を選び、卑怯にも隠れてしまうのです❗️

フランクを探すミーガンは、やがて疲れ果て、故郷に戻ります。

そこで、映画は冒頭の場面に戻ります。
初老の男性はフランクです。
フランクは友人の妹と結婚していました。
彼は妻を連れており、再訪した思い出の地で視線のみでミーガンを探す。
ミーガンは幸せになったのか?と想いに耽る。

原作は後で読んだのですが、映画には別のラストが用意されています。
美しい景色と音楽の中、フランクに突きつけられるあまりに悲しい現実に、私は涙しました。


ここからはラストのネタバレです。
興味を持った人は読まないでください。





危険なものなど何もない田舎。
自分を曝け出して生まれた愛。
夏の開放感が膨らました恋。

二人の気持ちだけなら問題はないのに、境遇や未来への不安、客観的な考えに基づく現実が、かつての慣れ親しんだ洗練された世界にフランクを引き戻した。

結局ふたりは結ばれることなく、フランクは上流階級のお嬢さんと結婚した。

なぜ妻を同行させていたのか、状況は理解出来ないが、そこが彼の青春の地であることは妻には内緒のようだった。

フランクは偶然、恋敵だった羊飼いに会い、その後のミーガンのことを教えられる。

ミーガンは失意のまま、故郷に戻った後、フランクに知らせられないまま身籠っていた彼の子供を生んで、死んでしまっていたのだ❗️

【この現実が、2人の恋を悲しいと思うか、不甲斐ないフランクに怒りを覚えるかの分かれ目❗️】

夫と話込んでいる羊飼いの存在など無視して妻は、この地を離れようとフランクを堰き立てる。

彼は妻の手前、ミーガンの墓の前で悔恨にふけることもできない。

羊飼いが連れていた(おそらく代わりに育てていた)初めて存在を知った自分の息子と、妻の手前、一言も声をかわすこともできない❗️

わが子に出会ったときのフランクの表情が忘れられない。
衝撃、後悔、罪悪感…残酷な運命に打ちひしがれたあの顔❗️

彼の正体を見破った羊飼いが、Mr.アシュトンとフランクの下の名前を呼ぶ…

映画はフランクが恋した頃のミーガンの笑顔で終わる…。

タラレバの話になりますが…
もしも映画のように不運な出来事もなくふたりが再会して結婚しても、果たして幸せになれたかどうかわからない…

不甲斐ないフランクを見て、ミーガンが結婚に躊躇したように…
いつかミーガンがフランクに三行半を突きつけたかもしれない。

またフランクの後を追って都会にきたミーガンからフランクがおもわず身を隠してしまったのは、せめて子どもを認知して欲しかったのかもしれない。

当時の階級の壁は現代人が考える以上に、乗り越えがたいものだったのだろうか?

たぶんあの後、フランクは妻に昔の恋人のことも、わが子が存在することも話すことなく人生を過ごしていくのだろう。

一生、罪の意識を背負いながら、良心に責められながら…

追記

私事で恥ずかしいのですが…
公開当時、私は劇場で観たのです。
大学進学のため、地元に残した彼女と別れたばかりでした…。
当時は携帯電話など普及しておらず、ポケベルや長距離電話は通話料も高い。
文通にも限界があった…。


最近、この映画のパンフレットを発見して、まるで昨日のことのようにストーリーが脳裏に蘇りました。
もちろん、自宅にはに妻と子供もいました。
しかし、そんな昔の恋は家族には話せる訳がありません。
(もちろん、フランクのように隠し子はいませんが)

仕方ない、遣る瀬無い、恋の別れを経験した方なら号泣必至だと思う映画です。

現在、住んでいる土地のレンタル屋には、この映画のDVDがありません。
さすがのアマゾンでも中古DVDの値段が高い!廃盤なのでしょうか?

私の中では廉価版DVD再販、またはTSUTAYA発掘良品で取り上げて欲しい作品ナンバーワンです。

思い出補正なので、評価は高めです。
あまりのすれ違いに地団駄踏んでしまう。悲しくせつない。これほどハッピーエンドを望んだ映画はない。
大学生だった頃大好きだった映画。あまりにも切ない恋物語。小説よりも映画の方がいい稀有な例
pier

pierの感想・評価

4.8
青年には一瞬の夏、少女には永遠の夏。
音楽も素晴らしく、風景や人々も美しい。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.0
2013/11/13鑑賞(鑑賞メーターより転載)
ジョン・ゴールズワージーの「林檎の樹」をベースとした悲しい恋愛物語。ふとしたきっかけで知り合い将来を共にしようと考えた上流階級の青年と田舎の娘、というよくある身分違いの設定だが、娘の真剣な想いや青年の「行きたいところ」と「あるべきところ」の狭間で揺れ動く様子が、まるでページを一つ一つめくるかのように静かに描かれる。青年の最終的な選択に理解はできる一方、本当に惚れぬいた相手をそういう形で...というのはなくない?というのが気になって、激しく共感するまでは至らなかった。ただ、評判に違わぬ良作ではある。
Sakura

Sakuraの感想・評価

4.4
久しぶりにズドーンとくるラブストーリーを観た!!!!
イギリスの身分違いの恋って本当にね〜。
理解できないけどいいですよね〜〜。

ミーガンの声可愛くて好き。
ずーっと観てて飽きない綺麗さとストーリー♡
原作とは違う、ラストも好き。
どこのレンタル屋探しても無いんだよなぁ
観る機会があって良かった♪
~少女には永遠の夏、若者には一瞬の夏だった~

泣かせるキャッチコピー。

旅行中の青年弁護士フランクと、田舎の純朴で可憐な娘ミーガンの牧歌的な恋。

青年のエゴに翻弄される娘の哀しい運命。

ラスト数秒の珠玉のシーンに涙が止まらない。

英国の田園風景が美しい。
【fantasia】


言うまでもなく[恋愛]とは、徹頭徹尾自分達の事しか考えていない男女であり、それは極めて個人的で、独りよがりで、非社会的且つ非現実的意味合いを本来的に強く有している(同語反復めくが、それ故に恋愛はロマンティックでありドリーミーであるのだが)。

彼(彼女)となら どんな障害も乗り越えられる。恋は盲目。世界全てを敵に回しても-等々。数々の常套句も「社会性を忘離している証し」だろう。

そんな恋する二人が 一族/地域/社会/そして現実と向き合わねばならぬ巨大な社会制度[結婚]を前にした時、どうするのか。盲目の侭進むか。理想と現実との落とし所を探るか。それとも…。


ジョンゴールズワージー原作のタイトル「林檎の樹」とは『望んでも決して辿り着けぬ理想郷』を指す。


恋の煌めきとは、時に眼を背ける程に眩く そして痛い。




《DVD観賞》
tinkerbell

tinkerbellの感想・評価

3.9
よくあるストーリーなのだが、ネットが発達した現代ではあり得ないよなぁ。都会人が田舎に旅すると、こんな奴いるんだよなー。イモジェン・スタッブスの素朴な美しさが一番でした。
この作品を劇場で観た友人にバッタリ会い思い出す。
完全なる当時の私的回想なので、レビュー期待の方はスルーして下さい。

友人姉妹と三人で観に行く予定だったのだが、姉(同級生A)が風邪を引いてしまい、妹Bと二人で劇場へ。
エンドロールが流れ始める。
視線を感じたので、Bの方を見る。
涙を流しながらこっちを観ていた。
「○○さんも泣いちゃったんですか(笑)泣かない方がおかしいですよね?」
「だよね…」
はい、私も号泣しちゃってました。
「もう一回観たいですね。」
私がもう一度観ようかと言おうとする前にBがそう言ってきた。
実は俺もそう…っていうのも何だか照れ臭かったので、
「いいよ。取り敢えず昼飯食ってまた来よう。」

ということで二回鑑賞。

Aとも別の日に行こうと約束していたので、結局3回劇場で鑑賞。

年子の姉妹であったが、お互いに響いていた台詞やシーンが違っていたのが興味深かった。



そして友達曰く、妹にとって『サマーストーリー』は25年以上経った今も不動のマイベストらしい。


~追記~

その夜、友達からラインが来た。

「さっき妹と電話で話したんだけど、○○君さぁ、私とは一回しか観なかったのに妹とは2回観たんだって?ズルいね(笑)」

え?はぁ?

話してなかったことも知らなかったのだが、
また何で今になって打ち明けたのかが謎です。
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