初春狸御殿の作品情報・感想・評価

「初春狸御殿」に投稿された感想・評価

映画が娯楽の王道だった頃にしか産まれえない 木村恵吾「初春狸御殿」

その昔映画が娯楽の王道だったようです。
でなければこのシリーズが多作製作されるわけがありません。
木村恵吾はそんな時代にメガホンを手にして本当に幸福な演出家(映画作家でなく)だったに違いありません。
ほぼ同時期に撮られた黒澤明の「隠し砦の三悪人」の日劇ダンシングチームによる火祭り女性たちが今なおあれだけ映画的躍動感が廃れてないのは映画に古いも新しいもない証だと思います。
鈴木清順がこのシリーズを原案に「オペレッタ狸御殿」を撮ってますがその作品にどこか力不足を感じたのは齢のせいかな?と頭にもたげましたがどうやらそれだけではなく原点そのもに問題があったようです。
市川雷蔵 勝新太郎出演の和製ミュージカル作品
勝新太郎と共に登場する
カッパのシーン
邦画とは思えない程
すっごくオシャレ!!!


◇◇鑑賞記録・あらすじ引用◇◇
娘タヌキのお黒は、狸御殿のきぬた姫と瓜二つ。
それを知ったお黒の父タヌキ泥右衛門はよからぬ陰謀を思いつく。
以前、大映で製作された「時代劇ミュージカル」の一本。 
7本ぐらい製作されたが、このシリーズで若尾文子が主演しているのは、この作品と『花くらべ狸道中』の2本だけ。 

オープニング、月夜のすすき野原から現れるお黒(若尾文子)は酒を買いに行くが、酒屋の爺さん(左卜全)にお金として渡したのが葉っぱになる件から「お黒は狸娘か」と分かる。お黒の父親=泥右衛門(菅井一郎)は狸であり泥棒でもある。 

一方、豪華な狸御殿の姫君は、若尾文子の二役。 
姫君の側近爺さんが中村鴈治郎。この俳優、いつもイイ味出してくれるので大好きである。 
姫君が家出してしまい、大金持ちの狸(市川雷蔵)との見合いができなくなりそうなところ、身代わりとしてお黒が見合いをする………といった物語。 

「狸まつり」と称して展開されるミュージカルは退屈この上ないが、若尾文子が踊る姿を見ると「結構、練習したんだろうな~」と思ってしまう。若尾文子の歌声は無い。 

若尾文子と市川雷蔵の透けた傘ごしのキスシーンは印象的。 

全体的には、物語がありきたりであまり面白くなく、ミュージカル場面も退屈なので、今見ると平凡な作品だと思う。(ただ、『花くらべ狸道中』よりはマシであった。)
若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎が狸に扮して歌って踊る異色の邦画時代劇ミュージカルです。山の狸の娘の若尾文子、扮する狸がひょんなことから狸御殿のお姫様狸の身代わりになります。そこで隣の御殿のお殿様狸役の市川雷蔵に見初められるお話ですが結末はなんとも甘切なく、シンデレラのように上手くはいきませんでした。題名に初春と付いてるぐらいだからお正月の娯楽映画だったのでしょう。殿方たちにも退屈しないようにお色気演出もされています。セットとか演舞の踊り子さんたちの踊りが紅白歌合戦のレビューに似ています。日本の文化娯楽芸術。
tjZero

tjZeroの感想・評価

3.6
山奥の洞窟に暮らすタヌキの父娘が、ひょんなことから姫の御殿にまぎれ込んだことから起こる珍騒動。

歌あり、踊りあり、合い間にお芝居が挟まる宝塚のレビューみたいな形式の作品。

”カチカチ山”や”証城寺(しょうじょうじ)の狸囃子”なんかをタヌキ汁みたいにごった煮にした物語で、セリフにも「狸寝入り」とか「捕らぬ狸の皮算用」なんかのフレーズがポンポン出てきて、まさにタヌキのフルコース。

普段はシリアス路線の市川雷蔵サンも、ここではニコニコと白い歯を見せて軽やかに舞う。

元々歌舞伎役者だから当然なのかもしれないけど、その姿勢…手から足の指の先まで神経が行き届いたようなきれいな踊り。当時の観客は、歌舞伎座の高い切符を買わずとも、気軽にスクリーンでこの至芸を堪能したことでしょう。

”あやや”こと若尾文子サンも、可憐な山娘と高貴な姫君の二役を華麗に演じ分けて魅力が二倍。七変化であでやかな着物を十分おき位に召し替えてくれるのも眼福。

彼女たち歌舞伎以外の役者さんたちも、みな歌も踊りも達者。
現代の俳優さんだと「ずいぶん映画のために稽古したんだろうなあ」とかうががえちゃうけど、本作の場合、そんな野暮な感想はみじんも浮かばない。
みんな、ごく自然に、なんでもない顔して舞ってます。フツーに巧い…ってなんて豊かなんだろう。

公開時を調べたら、1960年のお正月映画。
当方は観る季節ちょっと遅れちゃったけど、お花見のほろ酔い気分で楽しむのにもふさわしい、かわいい作品でした。
Nacht

Nachtの感想・評価

5.0
オールセットの華やかな和製ミュージカルといった仕上がりで、『初春』と付いているように、かなりめでたい気分になれます。全てのセットがセットと分かるように作られていることもあって舞台を見ているような錯覚にもとらわれます。
一見長回しのワンショットに見える狸祭りの踊りのシーンは、市川雷蔵と女優さん達の共演がことのほか豪華で圧巻です!!
娘狸、姫狸、娘狸が替え玉で演じる姫狸、を若尾さんが演じているんですが、何気にそれぞれ眉毛の書き方も変えていて驚きました。
そういえば、娘狸役の若尾さんのアップが、上戸彩さんを彷彿とさせるシーンがあったなーとぼんやり考えてたんですが、ソフトバンクのCMで祖母役、孫役で出演されてるんですよね。樋口可南子さんと上戸彩さんが親子というキャスティングに、初めはあまりピンとこなかったんですが、若尾さん→樋口さん→上戸さん、の流れで見るとかなりしっくり来るなぁ、と。同じ遺伝子入ってそうなリアルなキャスティングだったんだなぁと今更感心しました。
myo

myoの感想・評価

3.1
お正月にお正月映画観てみました。
割と好きです。狸の若様、狸吉郎がいいキャラしてます。美術の方も、衣装や舞台装置がくるくる変わって楽しい。

季節ものなので何度も観たいとは思わないけれど、あのニップレス河童の登場の効果音が忘れられない。
ロマコメ・ミュージカルだとはポスターで一目瞭然だけど、SFだとは思っていなかった。

若尾文子が賤しい狸の娘と姫の二役。その元ネタを思い出すのが面倒なくらいにベタな話なのが正月らしい。オープニングで左卜全とのハニカミながらの掛け合いがメチャクチャ可愛らしかった。

河童ダンサーズの身体の鍛えてなさが安いけど、それが逆に隠し芸っぽさを引き出していて正月感があった。大目に見てあげたいというかそんな感じで。

アイドル市川雷蔵をこんなに堪能出来る映画もなかなかないのでは。

総じて、正月以外に観て意味があるのか、と言っても良いぐらいな明けましておめでとう作品でした。
青二歳

青二歳の感想・評価

4.2
タヌキ映画の巨匠木村恵吾は偉大。中村鴈治郎にタヌキメイクしちゃうなんて。いやそうでなく。日本にあった全パフォーミングアーツの総決算なのですねぇタヌキ映画って( ´ ▽ ` )ホッコリ
伝統の日舞和楽、明治以降に輸入されてガラパゴス進化した洋舞洋楽…能狂言歌舞伎新派演劇レビューにミュージカル…それらを映画におさめちゃう訳です。キメラ映画です。ステキです。
レコード会社と提携したアイドル映画(東宝とか分かりやすい)なんかもそうなんですが、こういう娯楽作は詰め込む事に意義がある。ついでに映画としてまとまりがあればなお偉大。

極彩色の大映カラーもクドくて見事。大映らしからぬ書き割りもセットも(値段考えたら目眩がするレベルの)着物も絢爛たる色彩。きぬた姫のあの半襟。いや良いですねぇ。
若尾文子のスケスケ小袖と袴、そしてまさかの殺陣!さらに雷蔵にいさまとの傘越しのちゅーが見所のたぬき御殿。茶髪の雷蔵勝新が観れる"たぬき道中"もおすすめ。
すあま

すあまの感想・評価

3.7
オールセットのため、いい意味での作り物感があり色鮮やか。
俳優さんたちの動きひとつひとつが美しくて見とれてしまう。タヌキのメイクが最高だった
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