レッド、ホワイト&ブルースの作品情報・感想・評価

「レッド、ホワイト&ブルース」に投稿された感想・評価

kaomatsu

kaomatsuの感想・評価

4.0
少し前、エリック・クラプトンが聴力障害に苦しんでいるというニュースを耳にした。さらには末梢神経障害とも闘いながら、この先も現役を続行するというクラプトンの強い意志には、本当に畏敬の念しかない。19世紀後半にアメリカの南部で生まれたブルーズを現代に生まれ変わらせ、未来へと継承させたクラプトンの功績は、もはや世界が認めるところだが、かつて私が夢中になって聴いた、ブルーズのパイオニアたち――ロバート・ジョンソン、エルモア・ジェイムス、T-ボーン・ウォーカー、マディ・ウォーターズ etc――の存在を教えてくれたのは、クラプトンやローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンらの英国人ミュージシャンたちばかりだった。アメリカの黒人音楽であるブルーズが、いかにしてブリティッシュ・ロックに吸収され、本土アメリカが逆輸入する形で継承されていったのかを、多くのアーティストのインタビューや、彼らのライヴ・パフォーマンスを交えながら描いた本作は、マーティン・スコセッシ製作総指揮による『THE BLUES』シリーズ7本のうちの一本となる。

貴重な多くのインタビューの間に挟まれるのは、ビートルズのレコーディング拠点で有名なアビー・ロード・スタジオに集結した、ブリティッシュ・アーティストたちの夢のセッション。中でも、トム・ジョーンズとジェフ・ベックという、一見まったく繋がりのなさそうな二人が、互いにブルーズをルーツとした至高の歌と演奏を魅せる。そしてヴァン・モリソンやルルの歌が続く。アメリカで生まれながらも、本国で見放されそうになり、60年代のイギリスのロック・ミュージシャンたちによって復興したブルーズについて語るB.B.キングの「もし英国人がいなければ、米国の黒人ミュージシャンたちはずっと地獄を見ていたと思う。感謝してるよ。君たちがドアを開けてくれてありがとう(要約)」という言葉は、真に胸に迫るものがある。

元来、ブルーズは伝承音楽でも何でもなくて、ミシシッピ・デルタ地帯で社会からドロップアウトしたような人たちが、日頃のボヤきをテキトーに歌詞にして、3行詞・12小節の中でギターで弾き語っていたのが始まりとされる。さらに商業音楽でもなかったため、レコーディングやライヴという概念がなく、生活の中で歌われていたところ、サン・ハウスやライトニン・ホプキンスのように、たまたま白人によって“発見”されたというのが、なんだかネッシーや雪男の発見みたいで興味深い。アメリカでも50年代、ロックンロールやR&Bが生まれたものの、そのルーツとしてのブルーズはさほど注目されなかった。そして60年代、ストーンズをはじめとする英国人バンドの登場で、ようやくブルーズが見直されると共にロックという音楽に形を変え、商業音楽として発展していく経緯を見ると、前述のB.B.キングのような、ブルーズマン側からの感謝に留まらず、我々リスナーこそ、ブルーズマンへの敬意を表さなければ、とつくづく思う。映画と同じくらい、音楽とギターを愛する者として…。
LEONkei

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2.8
アメリカ南部の過酷な労働歌として黒人達から派生されたブルースは、大西洋を越えブリティッシュ音楽に多大な影響を与えた。

戦後直後、ラジオから流れる米軍放送や輸入版からしか聞く事ができなかった米国黒人ブルースは、これまでにない衝撃を受けた。

そんなブルースが当時に影響を受け歴史を体感したミュージシャンらのインタビューで、イギリスの音楽シーンに影響を与えたドキュメンタリー。

それはビートルズやローリングストーンズらに繋がる事はもちろん、なにより白人が黒人のブルースを歌う事によって黒人ブルースの地位が見直されたと言う大きな功績を成し遂げた。

インタビューだけでなくトム・ジョーンズのいろんな意味での熱い歌声とジェフ・ベックの鳴きのギターがスタジオで当時のブルースを熱く響かせる。

ブルースとは何か?
アコースティックギターでシンプルな3つのコードで演奏できてしまうように、誰しもが演奏できるのは当時の一般的な黒人たちの声でもある。

3つのコードが地球・太陽・月のような関係と言っている人もいたが、自分はこの世に生きる人々の過去・現在・未来ではないかと感じた。

自分自身を歌に投影し真実を語るブルース。
現在から過去を振り返り、なぜ今自分がこの状況にあるのか…
未来に希望があるのか、希望を持たなくては生きてはいけない…と。

そしてブルースに限らずどんなに良いモノでも受け継ぐ人がいなければ、永遠に闇に葬られてしまうのは惜しいことです。

受け継ぐ事が出来るのは今を生きる私達にしかできない事なのです…(u_u)
supernova

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3.5
ブリティッシュ・ロックから見たブルース。60年代以降ブリティッシュ・ロックが花開いたのは黒人ブルースがあったから。その影響や愛をUKロックアーティスト達が語り、演奏し歌います。演奏するのはジェフ・ベックやヴァン・モリソンなど。ジェフ・ベックはとにかく弾きまくってます。語るのはエリック・クラプトン、スティーヴ・ウィンウッドなど。他にもUKロック界の大御所が多数出演。ブリティッシュ・ロックを愛する者ならば存分に楽しめるし、観なければいけない作品です。
ペコ

ペコの感想・評価

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ブルース生誕100周年記念に、マーティン・スコセッシ総指揮のもと、7本のブルース・ドキュメンタリーが撮られた(the blues movie project)。そのうちの1本が本作。監督はマイク・フィギス。

テーマは、UKロックのルーツであるブルース。
あんまり詳しくない私でもニマニマしちゃった(*゚∀゚)=3

WW2後、50'sイギリスのジャズやブルース・ブーム世代の方々にインタビューしたもので、私でも知ってるエリック・クラプトンにジェフ・ベック、アメリカの偉大な黒人ブルースギタリストB・B・キング(2015年5月に他界)、エリック・バードン(アニマルズのボーカルの)などなど、とにかく素晴らしい生き証人の方々に、当時のことを尋ねていく。そして、アメリカからイギリスへ渡り、ブルースを広めた黒人ミュージシャンの方々のことを、みな懐かしそうに熱く語ってくださる。

ジャズを変えた異端児ケン・コリヤーから始まり、ミシシッピのホラ吹きブルースマン、ビッグ・ビル・ブルーンジー、エレキギターが強烈な黒人シスター・ロゼッタ・サープetc…。
皆様の素敵なお話と、生々しい音色の数々にとにかく私はうっとりするばかり…。かっこいい〜(*´-`*)

50's後半〜60'sに花開くブリティッシュ・ロックの基盤は、アメリカから輸入した黒人文化にあった。それをまたアメリカへ広め、ロックブーム再噴のキッカケを作ったのは俺たちイギリス人だ!ブルース最高!
そんな感じのドキュメンタリーでした。なので、皆様ご存知ビートルズやローリングストーンズは、本当にラスト一瞬しか取り上げられません。主役はあくまで黒人音楽なので。個人的には60's以降のことも聞きたかったな…(´・・`)

とにかくUKロック好きは見るべし。そうじゃない人も見るべし。