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ブラックホールのnanoのレビュー・感想・評価

ブラックホール(1979年製作の映画)
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映像技術が凄まじく進歩する中、ある意味でとても印象に残った作品。
1956年の『禁断の惑星』は電子音、広がりのある映像などでSF映画史に大きな足跡を残したのですが、もっとも印象的だったのがロボット像を大きく変えたロビー。
それから20年が経って『スターウォーズ』第一作でR2-D2が登場。
さらに3年後、ディズニー製作の本作ではボビーが登場しました。
ロビーもボビーもロバートの短縮形なので、明らかに『禁断の惑星』を意識しているわけです。ところがボビーはロビーやR2-D2の劣化コピーとしか思えないお粗末さ。中学校の学芸会で出てくるレベルと思えました。
(いやー、『禁断の惑星』から23年も経ってここまで退化するとは……)
呆れたところに追い打ちをかけたのがマット絵。実写映像の背景として用いられる絵で当時は手描きでした。
絵ではあるけれど、絵だと悟らせない写実性が腕の見せ所。その道では大家だったピーター・エレンショウが手掛けたのですが、やる気なかったのかなー。これもまた学芸会の背景を思わせる不出来さ。宇宙のシーンで何回(あ、絵だ……)と白けたことか。
私は六十余年の人生で数限りない映画を観てきましたが、洋画で(あ、絵だ……)と思わされたのは本作と『第五惑星』の二つだけ。
監督は知らない人だし、出演者も盛りを過ぎた方々だし、悪い意味で忘れがたい作品でした。
当時はディズニーが最初に迎えた暗黒期だったのかな。

※いま知ったのですがブラックホールをテーマにした映画はとてもたくさんあるんですね。そりゃまあ、セットも要らないし安直に創れるんでしょうけど。「潜水艦映画にハズレなし」「ブラックホール作品に傑作なし」という感じですか?
※私がジョン・ウィリアムスと並んで好きな作曲家ジョン・バリーは本作でも良い仕事をされて、SF映画の音楽CDでしばしば取り上げられています。
※イメージソングを歌っていたのは須藤薫さん。大ファンでコンサートにも行きました。私がお金を払って歌手のコンサートに出向いたのはその一回だけ。若くして亡くなったのが本当に残念。
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