あしたの作品情報・感想・評価

「あした」に投稿された感想・評価

まるみ

まるみの感想・評価

4.8

このレビューはネタバレを含みます

大号泣。予想以上に良かった。
前情報特にいれず鑑賞。最初、ああ、黄泉がえりみたいなもんか、などと思ってしまったが反省。全編通して音楽が重厚で切ない。常に号泣まで3秒前状態だった。

登場人物全員がよくぞこんな癖のある人たち集まったなという感じ。ヤクザ、同名で勘違いして来てしまった人、不倫相手…。原作読んでないからなんともだけど、このキャラの描き方がすごく大林宣彦監督っぽい。

誰ひとりとして、死んだ人間が帰ってくるということを疑わないのが不思議。疑ってるのはパートナーとの死に直接関わってない人。でもそれが心が壊れているってことなのかなとも思った。

峰岸徹夫妻が子どもそっちのけでヤってるのは親としてどうなんよと思われる人もいるかもしらんけど、どうしても会いたかった人と肌と肌を重ねたいよな、と感情移入してしまった。親である前に男と女じゃん、そうなるよ、と。これはまだ私が独身だからそう思うのかもしれないが。

それと宝生舞、柏原収史の高校生カップルの純真さに大号泣。いちばんシンプルに生者と死者の立場を描いていたからか余計に刺さった。お互いに自分の気持ちに正直だった。連れてって!と宝生舞が叫ぶところは今思い出しても涙腺が緩む。

各々のさよならのカタチが描かれていたけど、個人的に好きだったのは一瞬しか出てこない船長。井川比佐志に家族を呼ばなかったのか?と聞かれて、船乗りは常に最後の別れを行って海に出るからと答えたところ。でも船長、去り際に泣いてるんだよね。どんなに覚悟していても別れはやはり辛い。会えば余計寂しくなるかもしれないし、それも相手を思えばこその行動なのかな。

遺された、これからを生きる人間の描き方も良かった。強がってた林泰文の号泣っぷりが情けなくて可哀想で可愛い。騙し合いとかで描かれるのとは違う「人間のエゴ」がより自分の心に響いたんだと思う。良い意味ですっごい残酷で、美しい映画だった。ラストの朝焼けが本当に身に染みる。すごく爽やかに終わる。

あと、典型的なお涙頂戴ものじゃなかったのも素直に観られた要因かも。

でもやっぱり最後の生理描写は蛇足に感じるし(大林監督っぽいが)とやけに好待遇の原田知世はどうなん?となる笑。で、マイナスつけちゃった
@新文芸坐

死者と生者が違和感なく、同じ画面上で共存する、極めて大林宣彦的なファンタジー作品。
設定も面白いし、死者が船でやってくるのも今まででありそうでないような。別れの話であるのに、温もりを感じる。
序盤の少女の裸はギョッとするからやめて欲しい…

このレビューはネタバレを含みます

2020年9月13日 新文芸坐で

・いままで大林作品を何本も観て来たけど、今作が何というか一番〝フツーの映画〟だった。
・今作で群像劇を描いた事が後の『理由』とかに繋がるのかなとか思ったり。
・マブタの裏に浮かぶ存在しない人を待ちつづける女性として原田知世が出ていたが、あれはほぼ〝時かけ〟の原田知世だったように思う。
女優を脱がせたがるのはいつも通りで笑えるけどこれはやや過剰。
群像劇の形をとってこそいるものの、複数のエピソードが噛み合ってどこかに収斂していくという作りではないので、再会や別れをいちいち反復するところなど、かったるさを感じる部分もある。
大林映画に出てくる女優って何となく似てるというか、傾向があるように思う。高橋かおりも常盤貴子に見える瞬間があった。
大林宣彦のフィルモグラフィー的にあまり語られることの少ない作品だと思う。
出来という意味でも「代表作」という意味で多くを語る要素があまり見当たらないようにも感じる。

ただ、相変わらず、というのが毎回の感想で、ほぼ同じことを言い続けている作家である、ということもあふし、大林映画の特徴である「大林宣彦のような映画は他にない」は健在。

物語を淡々とも、冗長に語ろうとするでもなく、その両方をとにかく型にハマらず語ってくる。
明らかな人物描写の不自然さや「粗さ」の中に時折「ギョッ」とするような描写を折り込んでくる。

特に本作は群像劇であり、ほぼ全員が主人公であるが、その中心となる「死者との再会」からこぼれ落ちていく人々の物語にも焦点を当てている。
出来事から完全に蚊帳の外に置かれる朱門みず穂だったり、自分が呼ばれたのだと勘違いして来てしまったが故の寂しさなどもしっかりと描写されるし、また「当事者」は無意識に当事者以外を排除してしまう部分も浮き彫りにしていたりと多様な感情を描いている。

若さ故に孤独に耐えられず、愛情を試すように愛する者を死者の側に引き込もうとする柏原収史だったり、容姿からも欲望が漲っている峰岸徹は子供そっちのけで妻とセックスしようとしたり、不倫関係なども絡めて生きている人間たちの欲望剥き出しな様はしっかりと描かれていたりする。

それらの一切を含めて人間の俗な部分を暴きつつファンタジーとして結実している大林映画としての極悪さは健在でとっても面白かった。
かぶき

かぶきの感想・評価

4.2
大林宣彦監督のまさしく生者と死者が出会う話

各人物のエピソードが、回想や説明に頼らずとも、演技やセリフ、演出によって、それぞれに感情移入できる。

出会いと別れは、嬉しくて悲しくとも、やはり清々しい朝のように気持ちよいラスト。

新文芸坐にて二本立て。
とてもいい映画館。

あしたが必ず訪れるとは限らない…


海難事故で行方不明になってしまった9人の乗客。ある日突然「今夜午前0時 呼子浜 で待っている」というメッセージがその乗客たちから届けられる。呼子浜に呼び寄せられたそれぞれの人々と 最後のサヨナラ をするために。

生と死が交わる境界線で、その時死者と生者は何を伝え合うのだろうか…。



これまで何度も観てきた作品ではあるけれど、ある程度歳を重ねた今だからこそ感じるその卓越した死生観がじんわりと染みてくる。死による断絶は避けようのないことだけど、精神や想いはその断絶をも超えることができる…大林監督作品の中でも少しだけ大人味のする群像ファンタジー。


全てを包み込むような植木等さんの達観した演技が素晴らしい。あの頃よりも大人になった原田知世さん演じる「 わたし 」もとても良き。この「わたし」の存在がこの物語にちょっとしたリアリティーを与えてくれるので、安心して登場する人物それぞれの気持ちに思いを寄せることができる。


そして…迎えるそれぞれの あした。
人はその時何を思うのだろう…





追記
先日永眠された大林宣彦監督の新尾道3部作の2作目にあたるのが本作。何かレビューを残しておきたくなって再鑑賞に選んだのがこの作品。※同じく赤川次郎氏原作『ふたり』とめちゃめちゃ迷った…

その昔、大林監督の過去作品を鑑賞しては尾道に足を運んでいた頃を思い出します。尾道という町に夢中になったその当時、正直映画の内容なんて二の次。片目をつぶって尾道の今でいう 映えスポット を作品の中に探していたように思います。笑


また行きたいなぁ、尾道。
Jimmy09

Jimmy09の感想・評価

4.5
大林宣彦監督作品の大切な作品群の中でポッカリと穴が空いていた未見作が本作だった。
「新・尾道三部作の第二作目」の『あした』は、死んだ大切な人からメッセージを受取った人達が尾道の浜に集まって、大切な一夜を過ごす感動的なドラマ。

「新・尾道三部作の第一作目」の『ふたり』は幸せな物語であったが、本作は切ないけれどもユッタリとした時間が伝わって来る群像劇であった。
船の沈没事故で亡くなった人達は、残された人達にとっての恋人だったり家族だったりするが、「午前0時になったら呼子浜で会おう」と亡き人達から生きている人達へメッセージが伝わると、亡き人と再開できることを期待して様々な方法で呼子浜へ向かう。自転車、バイク、小さな自動車、オート三輪、舟、大きな自動車など…。
そこに、メッセージとは縁のない女性二人を絡めての物語は本当に良くできていた。

本作冒頭に次のテロップが出る。
「――――ひとは約束する。
 出逢うために、
 共に生きるために、
 そして、――――
 ときには、『さようなら』を言うために」

物語の内容詳細は割愛するが、DVD特典映像(約30分)には大林宣彦監督の思い、エピソードが語られていたので、一部紹介する。
○大林宣彦監督は、本作を「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・尾道」と考えており、時の流れをとても大切にした映画であること。
○呼子浜に作ったセットの小屋を舞台にした夜シーンの多い映画であるが、この浜は潮の満ち引きの差がとても大きくて8メートルの違いがあったため、海面高さと天気を気にしながらの難しい撮影であったこと。(2月頃の真冬の寒い時、夜シーン中心、45日の撮影期間)
○この映画を作るにあたって、船が浮かび上がるシーンはCGを使わずに、本当の木製の船を一旦沈めて浮かび上がらせたところを撮影したもの。
○カメラマンと照明係から、「生者には影を付けて、死者の影は無くしてしまおう」という提案があったが、監督は「同じ時間を生きる人達…という意味にしたいので、影は生者も死者も有りにしたい」との意向で影を無くす処理はしなかったこと。
……など

<映倫No.114600>
昔、夏休みになると金曜ロードショー(水曜ロードショーだったかも)で、転校生がよく放映されていた。 階段を2人の男女が転がり落ち中身が入れ替わる。 何回見ても面白い映画だった。 その映画を作った大林宣彦監督が先日亡くなった😢。 数々の名作を世に遺し天国へと旅立たれた。  その大林宣彦監督の映画の中でも1番好きなのが、この映画だ。ネタバレになるので内容は言えないが、とても感動した事を覚えている。 植木等がとても良い役で出てなあ。 また、観てみようかな。
合掌🙏。
もろた

もろたの感想・評価

4.2
大林宣彦監督で1番好きな作品なのに、チェックし忘れてたぁ〜。

涙無くして語れない、尾道群像ファンタジー❣️
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