廃市の作品情報・感想・評価

「廃市」に投稿された感想・評価

tori

toriの感想・評価

3.5
水郷の柳川を愛でる映画

卒論を書くため一夏を柳川で過ごした大学生に
安子は言う
「私は廃止柳川と朽ち果てる
あなたは卒業し東京で就職、結婚し二度とここに戻って来ないで」
アルフレッドはトトに言う「絶対にここに戻って来るな」

人生決して留まってはいけない
大林監督ってこういうのも撮るんだ~

どこか特定の「場所」は大林映画の重要なモチーフらしい
淡々としすぎていて眠くなってくるが、雰囲気は相変わらずの大林感。
山

山の感想・評価

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BGMと効果音が意味わからんすぎたのもあって、大林ワールドに引きづりこまれた
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.5
「廃市」
‪冒頭、駅を通る列車。下車する男。聞こえる水の音、啜り泣き、大家に姉妹、叔母。川に反射する木。水辺に細長い枝をしなやかに垂れる柳、兄の死…本作は大林宣彦が福永武彦の原作を16ミリで撮ったATG映画で俺がこの映画を好きな理由の一つに古き良き日本の夏を感じるからだ。例えば夏の風物詩‬花火、すれ違う浴衣の人々、川で手持ち花火、屋台のアイスを食べ歩きする男女。夏は涼しげに繁る様々な町の描写、ノスタルジックな雰囲気に包まれ、古里を感じる。最早本来の主役かの如く象徴的に映される柳川の山紫水明。彼の尾道三部作のヒットに隠れ、いわゆる小作品とされてきた廃市は正に今の時代‬ ‪ ‪、隠れた傑作と言える。物語は大学生が卒論を書き上げようと死んだ町へ訪れる。そこで旧家の姉妹、義兄と出逢う。そして死にかけている町、退屈な日々を過ごすだけと聞かされる男のミステリー的な日常が始まる…今回三度目の鑑賞をしたが見れば見る程に好きになる。川を渡る小舟、古びた佇まいの景観、‬運河での歌舞伎舞台を舟から見る男女、悲痛な気持を吐く義兄、心中の下り、風前の灯への哀惜…数々の印象的な台詞など素晴らしく美しい。そして列車の描写で始まり列車の後ろ姿で終わる本作は多分声的に監督自身がナレーターしているんだが、川の流れる音、花火の音、妹の笑い声が響く中での原風景、時‬既に遅く互いの気持ちに気付く人の感情…‬
‪人の心を惹きつけ惑わす言わば蠱惑的な姿態は観る者に静かな感動を与える。全編静寂で川音、夏音を強調した廃市は頗る日本的、和を感じる傑作だ。多くの人に観て欲しい日本映画だ。余談だが江口役(学生)の山下規介が今の若手俳優、菅田将暉に似ていると感じた‬。
数年前にYTで観た本作を改めてBDで鑑賞したが傑作。この映画には日本の美や文化、夏の風物詩である花火や味覚、物売など様々な日本特有の美しさを兼ね備えてる。風前の灯火である歴史ある町を訪れた男と街にいる姉妹の一夏を壮大な柳川を背景に瑞々しく描いた大林宜彦監督の永遠の名作。
櫻

櫻の感想・評価

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ねえ、聞こえるでしょう。あなたが言った。それは、しずかに生き絶えていく町の音だった。さらさらと水は流れて、晴れている時なんか、それはそれはうつくしい鏡のように、いろんなものを映してはゆらめく。ひと夏のここでの思い出は、私の中で同じように、ゆれては光り、流れては鮮明な色を持って浮かび上がる。

形をもって生まれたものも、そうでないものも、淡々と表情もないままで滅んでいく。この町は何も変わらないように見える。時だけがまわっただけで、昔のままの暮らしから抜け出すことができずに、ただ死んだようにして生きている。息をして変わっていくことが生きていることなら、動かぬものは死と等しい。淀んだ空気の中で、しずかに動いていたものは、いつも目に見えないものだった。思いは彷徨うばかりで、向かうべき場所を見失っている。冷たくなった亡骸にまで、熱をもった声でその在処を問うほどに不安なのに、隠してばかりだからだ。

あなたの未来では、もうわたしのことなど忘れてしまっているわ。あなたが微笑んで、そう言い残した別れの時。私は町を去りゆく列車の中で、やっと過ぎていく時の無残さを身をもって知ったのだった。あの水の音が今も聞こえてくる。それはあの町と私とあなたの、この世から消えていく音でもあったのだった。
川の水に反射した揺らめく光が、クロースアップの顔や室内の壁に当たっている演出が多用され、16mmフィルムの粗くぼやけるような質感が相まって、ノスタルジックで退廃的な空気を一層際立たせている。
大林作品で見よう見ようと思い見逃していた作品。大林ワールドに堪能いたしました。福岡の柳川の場所が退廃的というか、尾道とは違うノスタルジックな場所で引き込まれる。この作品にはその柳川の水の流れる音が映画のほぼ全編BGMのように流れているのが心地よい。
大林組のスタッフが脇を固め、その当時の新人山下規助を支えている。
作品的には暗い感じだけど、柳川の情景や花火の場面等が忘れさせてくれた。
小林聡美がとってもキュートでした。
lemmon

lemmonの感想・評価

2.5
自分の好きな小林聡美ではなかったなあ。でも、なんだか貴重でした。

根岸季衣もやかましいおばちゃん役のイメージだったが、とても綺麗でした。もともとお顔立ちは端整ですしね!


撮り方が独特で、あえてなのはわかるが、何かこう粋さが自分には強すぎて、賢い人のための賢い映画に思えてしまった。
まあ、鼻に付くわけです。

ただ、空気感は決して嫌いではなく、もうちょっと年齢を重ねたら楽しめるのかもしれません。今は真ん中にしときます。
水郷柳川
この町のとある旧家を卒論作成のため訪れた学生のひと夏の思い出
傍目にはのどかな町
確かに静かです、それはそこに渦巻く情念、愛にもがき苦しむ人々さえ飲み込んでしまうかのようです
そう、これは廃市というより、やがて崩壊するであろう廃”家“の物語だったのですね