美しいとき/サマータイムの作品情報・感想・評価

「美しいとき/サマータイム」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

1960年代の公民権運動、プラハの春、五月革命を経た1971年。田舎で家業の農場を手伝っていたデルフィーヌはパリでの生活を始め、女性解放運動の活動家キャロルと出逢い惹かれ合っていく。。。

自由を肌で感じ、謳歌できる都会と、常識に囚われ、狭いコミュニティーが総ての田舎、対照的な土地で2人の営みが描かれる。
長閑で雄大な自然を有するにも関わらず、そこで生きる人々が最優先するのは「生活」をすること。そこで育ったデルフィーヌにはどうしても同性愛者であることが後ろめたさに繋がってしまう。
互いに自分にはない魅力に惹かれていたのに、それらを形成したアイデンティティーとも言える故郷や家族によって歯車を狂わされてしまう皮肉。

自由と愛を獲得する過程で、または獲得後も規範や偏見が障壁となるもどかしさ。
彼女たちの愛も時代や地域性によって叶わなかったのだけれども、エピローグ的な5年後の世界では共に成長した姿に安堵した。
きっとその胸の内には、あの美しいひと夏が消えずにいたのだろう。
kirito

kiritoの感想・評価

3.5
【愛】

レズビアン映画。モザイク無し。ゲイを描いた「ゴッズ・オウン・カントリー」(2017)を彷彿とさせる野外での絡みもあり。小さな村・農場・父の病気とプロット自体はかなり重なる個所が多い。

1971年。23歳のデルフィーヌが、パリへ上京すると女性解放運動が活発に行われていた。そのさなかに出会った、キャロルにどんどん惹かれていき、恋仲になる。

都会と地方の対比がものすごくよく描かれている。
デルフィーヌ自体もキャロルの事を愛しているのに、村での周りの目線を気にしてしまうのは仕方がないこと。しかも(父が倒れた関係で)村で今後も生きていくとなるとやはり愛だけでは説明できない部分もでてくる。

本筋ではないが、女性解放運動が結構過激的で女性たちの活力・躍動感を感じた。

レズだということがわからないようにするために、幼馴染の男の子にキスする件は納得するし、それに対して俺でカモフラージュするなというデルフィーヌのことが好きな男の子の対応も切ない。

2020.5.25
mai

maiの感想・評価

3.7
レズビアンとしての恋愛を、都会・田舎という構造の中で描いているちょっと珍しい映画です。
田舎から出てきたデルフィーヌが都会の自由な雰囲気に憧れるのも分かるし、キャロルに一目ぼれのような形で恋するのも凄く理解できます。
一方で、田舎から出てきた女の子なのにどこか挑発的なところもあるデルフィーヌに惹かれるキャロルも凄く共感します。
お互いがお互いの中に、自分が触れてこなかった世界を見るからこそ、あんなにも急速に距離が縮まっていったんでしょう。反面、その関係性は多くの場で受け入れてはもらえないものでもあります。もちろん、キャロルの彼氏は激怒しますし、デルフィーヌは田舎での暮らしを考えると自分がレズビアンであることを隠して生活して結婚して…というシナリオも考えます。
そこには、田舎と都会のどうしようもない隔たりが存在していました。
都会の人からすれば、家に囚われて自分のしたいライフスタイルを送れないなんて…という感じでしょうが、それが当然だと思います。でも、田舎暮らしには田舎暮らしのセオリーやルールがあって、そこを「自分はこうしたいから」と意見を押し通すのはなかなか難しいですよね。そして、田舎あるあるだとは思うんですけど、横にも縦にも繋がりが強い分さらに難しい。

確かに、二人の関係を続けていくのは難しいものがあります。でも、誰にも干渉されずに二人でいるときの美しさ…素敵でした。
うまくいかないことが多いけど、二人でいる時間は確実に二人にとって休まる時間であり、タイトル通り「美しいとき」だったと思います。

田舎ののどかな風景もきれいでした。
s

sの感想・評価

4.4
流動的な都会で誰と恋に落ちても誰も気にしないけれど、広大な土地に反してコミュニティとマイノリティの狭い田舎ではそうもいかないのは何となく今も同じな気がしています それでも美しく見える田舎の景色、どうしてもこんな映画が好きになる。

男と女 都会と田舎 マインド 家族 反する要因が2人を強く引き寄せながら少しずつ歯車をずらしていく
家族も仕事も地に根付きそこでしか暮らしていくことを知らないデルフィーヌが生活を守ることを優先しようとしたのは当然であり、キャロルが自由と誇りを持った都会の暮らしを捨ててまで彼女に注いだ愛と同じものを求めるのもわかる 母も彼も誰しもが(世間的な)倫理や道徳的に反したことは何もしていないからこそ余計に見ていて苦しい 何を異質で悪とするか、時代と共に変わっていくね
kenta

kentaの感想・評価

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まず、自由。
68年を経験した人々にとって自由は生き生きしていた。生き生きしているものであるからこそ、獲得するべきものであり、獲得するからこそ本物であった。
しかし、現在の我々にとって、もはや自由の生命力など感じられない。不幸なことに、そのような経験を味わうこののない世代に思われる。
このみなぎる力と自由への意志、戦う気概は取り戻されなければならないものである。これは、力強い女性達の物語だ。

そしてもう一つは愛。
愛のうちにあるとき、我々はあたかも無敵のようだ。私的な無限の世界で愛は自ら広がってゆく。だが、あらゆる制度、常識、規範、道徳は無敵さなど顧みず、自由に歩く愛の広がりを妨げる。この、愛の広がりとそれを留める力の葛藤とそれによる苦しみは、普遍的な悲劇であろう。

おそらく、愛の広がりは、自由への契機となりうる。
マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルにて。

パリで出会った女性と恋に落ち、田舎に一緒に連れていくが、親や田舎の古い慣習・考え方と自分らしさの狭間で揺れる姿を描いた映画だった。

時代がもうちょい後だったら、少しは理解を得られたかもしれないけど、やはりフランスでも田舎の年配者やコミュニティの見る目は古い考えが根付いたままなんだろうね。

こんなに自分を抑制して偽っていくのこの先つらいだろうなと思ったが、彼女なりの一歩を踏み出せたようでよかった。

監督のカトリーヌ・コルシニって「黒いスーツを着た男」の監督か。

このレビューはネタバレを含みます

農家出身のデルフィーヌはパリへ上京し、偶然出会った女性解放運動の活動家キャロルと恋に落ちる。ある日デルフィーヌの父親が倒れ田舎に戻らなければいけなくなるが‪キャロルも田舎に来ることになり…
主人公がパリに出てきてからは女性解放運動のシーンが印象的だけど思想が男女平等とかじゃなく男性嫌悪に偏っていた気がする。二人が愛し合うようになってから‪は女性解放運動もそっちのけになってたのは笑った。
キャロルの田舎での振る舞いは奔放で和やかに見えるが、一方デルフィーヌは周囲の目を気にしていたり父親が倒れてからは家族の生活のためにも農場を継いで田舎を出ることは諦めているように見える。田舎の狭いコミュニティと偏った閉塞的な価値観の中で生きていくのに同性愛者だと知られるリスクは計り知れないものがあるし、農場も見捨てられない。それと自由になりたいと思う気持ちのジレンマ。母親が二人の関係に気付きキャロルだけのせいにする場面は、同性愛=悪を感じたし話すら聞かないのだなぁと悲しくなった。パリに逃げようとして途中で農場に戻ったデルフィーヌをにやにやと嬉しそうに見つめる母の顔にはゾッとした。彼女がパリに行く勇気も出なかったことにイライラしたがあの環境で育っていたらそうなるものなのかな。自由なキャロルとは違い誰もが行動できる勇気を持ってはいない。ただそれで諦めず、数年かけて少しずつでも離れる努力をしたデルフィーヌのその状況を考えると涙が出た。
キャロルが一人自転車に乗っているカットは本当に綺麗だったな…
レズビアンな女の子の恋と人生の選択を描いた成長物語。70年代フランスの保守的な農村集落が舞台の作品で、セシル・ドゥ・フランス、ノエミ・ルヴォヴスキといった有名女優が脇を固めている。画的にもストーリー的にもインディーズ感は薄目でとってもウェルメイド。観やすかった。

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喧嘩のシーンが好き

田舎と家族、同性愛、恋愛と仕事、フェミニスト、、辛いことばかりだね
yuki

yukiの感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます

農家の出であるデルフィーヌが大学のためにパリへと状況すると、熱心な女性運動を行っているパリジェンヌのキャロルと出会う。序盤はてっきりフェミニストの話なのかと思っていたが、そういう括りで説明できる映画ではなかった。自分の外側/内側にある「古い価値観」との戦いの映画であり、旧態依然とした田舎に自分の世界を持っているデルフィーヌは、決断を迫られたときにキャロルとの別れを選び穏やかな日常に戻る。しかし、最後の最後に、彼女がその世界を飛び出していたことを知る。彼女らの恋愛関係が作品にドラマ性を与えていたとは思うが、正直テーマがとっ散らかった印象。
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