尊く厳かな死の作品情報・感想・評価

尊く厳かな死2015年製作の映画)

上映日:2017年07月15日

製作国:

上映時間:60分

3.6

あらすじ

「尊く厳かな死」に投稿された感想・評価

karin

karinの感想・評価

4.1
去年、旦那くんと入籍をしました。

もし私が寝たきりの植物人間になってしまったり
はたまた私が死んでしまったら、
旦那くんには早くわたしのことは忘れて
自分の幸せを見つけてほしいと思う。

旦那くんにはずっと幸せでいてほしいし
私への想いに苦しんでほしくないと思う。

こちらの作品は中川監督の自身の経験を元に生まれた作品。

尊厳死とは、治癒の見込みがない人たちが
自身の命を終わらせらる権利。
スイスでは自殺ほう助が合法化されていますね。

人は皆、選択の余地などなく
生まれきてしまったら生きることを余儀なくされます。
それに対して死を選べる権利はあって然るべきと思う反面、

死ぬ権利は存在するのに、生きる権利がないが存在するのは平等ではないので
なかなか一筋縄ではいかないな。。。

(※生まれてこれない、余命が限られている人、殺されてしまった人など生きる権利を与えられない人もいるので)
誰がどう見ても内容が推測のついてしまうタイトルがすべてを物語っている。

映画というかあまりフィクションである必要性が感じられない作品。

同監督の後発作品「カランコエの花」に比べてぎこちなさがだいぶ強い。
カット配分が寄り寄り寄りと寄りばかりな上に、ショットはタイトすぎ
深度は浅すぎで手持ち撮影のブレがあまりに大きく見ているだけで疲れてしまう。

また脳死状態になった母親に尊厳死を認めるかどうか家族の葛藤だけで60分持たせるのはきつい。
30分ぐらいにして登場人物を母親と息子夫婦だけにすればもっと見やすくなったしドラマも締まって見えたはず。
ついでに言うと「尊厳死」そのものをあまりにもストレートに描きすぎたためにフィクションで作る必要性が薄くなってしまったというのも問題。
社会問題を取り上げるのは大いに結構だが劇映画として落とし込むのであればストーリー性なりドラマ性なりに包んでほしかった。

ただやろうとしてるしていることは伝わってくるし
冒頭と最後に関しては実際上手くいっていると思う。

監督が同い年なので常に嫉妬しながら見るしかないという。

というのも今年見た映画でも最高クラスの傑作カランコエの花の監督ですから、やはり映画作りめちゃめちゃうまいです。

そして母親の尊厳死をテーマに監督が27歳の年齢でどんな結末を脚本に書いたのか、きになっていたけど、まぁこうあるべしなんて答えなんてないし、委ねられるのは人間としの気持ちなんだっていうまぁ当たり前な部分でもあるからこそ、
「辛いままの記憶で残っていたくない」っていうセリフはグサリですね。

主人公が母の病室から医師のところまで行く長いストロークをノーカットの長回しで見せる辺りが、本当に監督の人間力の高さがひしひしと出てますね。

非常によき映画でございました。
先日観に行った『カランコエの花』が非常に良かったので中川駿監督の前作を鑑賞。
こちらは尊厳死をテーマに家族の葛藤を描いた作品だ。
『カメラを止めるな!』にも出ているイワゴウサトシを主演に迎え、この監督らしく静かに重いテーマを丁寧に描いていた。

脳死した母親が「尊厳死」を望んでいたとしても、実際に家族はどんな選択をするだろうか?
母親を生かしておくにしても、息子は働かないといけないので負担は義理の娘にかかってくる。
その娘が延命を望まない気持ちもわかるし、その気持ちを夫にぶつけるシーンはなかなかの決断力だと思った。

望まない延命を尊重するか?
自分がこの立場だったらどのように考えるだろうか?
「死」と「家族」についていろいろ考えさせられる作品でした。
AS

ASの感想・評価

4.0
一母親として現実に即した考えを夫に宣言しなければならない妻、またそれを言わせてしまった妻に対し無言で応える夫。窓が閉め切られた車内という空間で、行き場のない感情を吐露し、葛藤する二人の姿に心を掻き乱された。
それとは全く対照的なひらけた浜辺でのシークエンスも印象的で、チョイスする台詞がいちいち繊細。「叫ばなくていいの?」は反則
dita

ditaの感想・評価

3.0
@シアターセブン
そろそろ向き合わなければいけない問題なので、観てよかった。息子役の方の演技が自然やったから、なおさら他の人のがっつり芝居がアレ。死に方を選ぶということは人間の究極のエゴやと思うから、他人(家族)が介入しても納得出来る答えはないよね。
いちばんグッときたシーンは、母の手を拭くところで、やっぱり体温を感じるというのはとても大切で直接的に生を感じるから、本人の意思を尊重したくても感情が追い付かない。実家で飼ってた猫が死んだ時に身体触って冷たくて、やっぱりそれで死を実感したもんなぁ。
転んで頭を強打し植物人間になった母が尊厳死カードを持っていた。
いきなり冒頭から病院のシーンでシリアスな始まりだ。

母の明確な意思を前にし、ふたりの子ども、兄、妹と兄の妻たちは悩み苦悩する。

ストーリーじたいは予想通りの展開であったが、兄視点、妹視点、嫁視点と視点を切り替えるたびにそれぞれの事情もあり心が掻き乱された。

尊厳死カードを持ってたからと言って、残され、母の死を実行する家族の気持ちはそう簡単に割り切れないし、とても難しい問題だと感じた。

あと、尊厳死とか延命治療とか言葉は浸透してるけど、言葉だけが独り歩きして、その意味するところは正確には認識されてはいないのだろうと思った。

延命治療を中止すると言うことは、どういうことなのか。
どういう死に方になるのか。
それを家族は見ていられるのか。

反対に、延命治療を継続すると言うことは、誰が母のそばに付き添うのか。
それぞれ、仕事や育児がある中でそれらが可能なのか。

ストーリーじたいに驚きはないものの、とても頭と感情をフル回転させた60分だった。

考えるきっかけを与えて頂いてありがとうございました。
iMaki

iMakiの感想・評価

3.6
「尊厳死」。耳にした事はあっても、日常の中で考えること、ましてや誰かと話題にすることは中々ない。本作はシンプルに、けれど真っ直ぐに、「どう生き、どう死ぬか」について問いかけています。最後の選択がどうであれ、大切なのは愛する人や自分のために決断することなのかもしれません。「死」は人生の一部なのだから。本作が「尊厳死」について考えるきっかけになれば、という監督の思いが伝わってきます。
尊厳死を主題にしているということで関心が深い内容であった。
僕自身、尊厳死の協会から資料を貰い、検討している。そのタイミングでの鑑賞。さて、話だが、実母か突然倒れて脳死状態になってしまう。母は尊厳死を望むことを意思表明していた。そこで延命か、処置を止めるか、判断に苦しむ息子夫婦と娘。僅か60分という尺で自主映画(監督や主演者が、そう表現していたので、そう書きますが…)として描き、それゆえの自由さはあった、と思うが、少々、内容に薄いことが…まず以前から延命処置を望まない尊厳死を表明しているなら、子供たちに伝えているだろうと思う。その点では母親の責任感もあるような気がした。更にもう一点、全く入院費や延命治療に関しての医療費が語られないこと。ここが一番大事なのではないか、母親の看護に関する問題は出てくるが、お金に対しての問題は全くない。なんか死をあつかうドラマだからと言って、費用のことを少しも描かないのはどうか、と思う。リアリティを出すのなら、その点にも触れてほしかった。
お涙頂戴では終わらない作品で好感は持てるものの、いかにも舞台してます!みたいな大げさな芝居を全員がしているので、映像としての見映えが薄く思えた。舞台劇ならば、かなり良い線をいくドラマだと思うのだが…
特殊造形で土肥さんの名前があったのは、ちょっとした驚きであった。

このレビューはネタバレを含みます

すごく誠実な映画だと思った。
何を大切にして、どんな選択をすれば良いのか自分と照らし合わせながら観ていた。
あぁ。息子が母親の身体を拭くシーン。
母親の作ったお茶ってうまいよなー。
最近、涙もろくなってきたなー。
最良の選択なんてないんだろうな。
登場人物の取り巻く環境、思いもそれぞれで見応えのある映画。
たまにはこういう重い題材を家族で観に行ってもいいかも。
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