ひかりのたびの作品情報・感想・評価

ひかりのたび2017年製作の映画)

上映日:2017年09月16日

製作国:

上映時間:91分

あらすじ

とある地方都市に冷酷非情なやり方で成り上がった不動産ブローカーの男がいた。高校三年生の娘は父親が荒らしたこの町に愛着を持っている。表立たずに暗躍し町にとって異分子である男と、男の裏の顔に気付きながらも共に暮らす娘。父娘の交差する思いは紆余曲折しながら結びついていく。

「ひかりのたび」に投稿された感想・評価

ひかりのたび

とある田舎町
不動産業を営む植田(高川裕也)は、住人を立ち退かせた土地を外国人へ売り捌き一部の町民から反感を買っている。
幼い頃から転校続きであった高校3年生の娘 奈々(志田彩良)は、父に恨みを持つ者からの嫌がらせを受けながらも 4年間住み続けた土地に卒業後も留まることを希望している。
東京への進学を勧めるも頑なに拒み続ける娘に、父は3年前に起きたある出来事を打ち明けるのであった。
異なる想いを抱く父娘の葛藤を通し、自らの居場所を求め彷徨う者達の姿を描いた作品だ。

全編モノクロで描かれるストーリー
モノクロであることが暗く澱んだ空気を増幅させる
憎まれながら 蔑まれながらも飄々と仕事をこなす父
進路問題で揺れ動く娘
田舎の閉塞感
モノクロームいう名の暗雲が常に光を遮り、彼らが光を求める旅人であることを強く認識させてくれる
光を得ようともがいていることが伝わってくる。

だが、冒頭から違和感があった
劇場の音響設備がおかしいのか アフレコしたシーンの調整がズレているのか
発している言葉に奥行きが無く、何なら口の動きとズレている場面もチラホラ
あまりに不自然だったので観終えてから調べたら、全編オールアフレコとのことであった
しかし、その意図がぼくには良く分からなかった
リアリティは損なわれ、作品世界へ没入することを妨げているようにしか思えなかった

この作品は多くを語らない
起きていることの断片しか描かれず、散りばめられたキーワードに関連する直接的な描写も少なめ
だけど、そんな描き方だからこそ生まれる魅力がたくさん宿っていた
それ故に、アフレコによる違和感だけが余計に思えた
他の不鮮明さは終局へと至る際に活きてくるが、ズレたアフレコは物語と無縁の現実へ観客を引き戻すだけ
頭痛が痛い 必ず必要 馬から落馬といった二重表現の如く、不要なものにしか感じられなかった。

過疎化していく町
都市開発されれば町も潤うが、潤すためには手放さなければならないモノもたくさんある
古くからのしきたりや思い出など、目に見えないモノに人は価値を見出し重んじる
ただ、それらの想いは流れ行く時代の変化に適応できないことが殆ど
どれだけ強い想いを抱いていても、振りかざされた権力・知力・財力の前では無力
想いだけでは何も守れない
高速道路が敷かれ他県からの客が増えれば、町は賑わい離れる者が減るのも事実
過去を重んじるか 未来を見据えるか
どちらも町を想ってのことだが、辿り着く末路は大きく異なる
町に思い入れを抱く者達が追いやられ、町に何の思い入れも無い植田が町の未来に手を貸す矛盾

多くの理不尽がまかり通ってしまうのがこの現実
誰かが光を得れば、誰かが光を失う
誰かが光を失えば、誰かが光を得る
そのスイッチする際の一瞬に焦点を絞って描いていた
瞬きしたら見逃してしまいそうな刹那に宿る感情・葛藤・揺らぎを鮮明に映し出していた。

土地を手放す父と 土地を手放すまいとする娘
手段を選ばぬ父と 手段を選べぬ娘
最も身近な存在と分かり合えない二人
これもまた矛盾した一つのカタチ

選ばなかった未来と選べなかった未来
そこに付随する失意や無念を抱えながらも、人は光を求めて彷徨い続ける
今いる場所で生きていく
留まりたいのなら強くなるしかない
意地を貫き通したいのなら勝ち取るしかない
陥れ 憎まれ 恨まれ 娘まで危険に晒して
父は一体何のために 誰のために働いているのか
多くの矛盾を孕みながらも突き進む理由が、終盤になって明らかになる。

ラスト
気の緩みからか、仮面を付けていた父の真の表情がこぼれ落ちた
旅の終わりであり、また新たな始まりでもあったのだと思う。

ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★
恋 ★★
エロ★
サスペンス★★★
ファンタジー★★
総合評価:C
凄かった。傑作である。

用地買収が進む過疎地を舞台に、不動産業を営む父子とその周囲の人間たちの運命を描く。
大抵、劇映画や社会派ドキュメンタリーに出てくる開発反対派や地域住民の姿というのは、拳を突き上げつつも敗北していくような「美しき殉教者像」として描かれがちだが、この映画はそんなステレオタイプには決して落としこまない。

冒頭、自らが保有する山の清流を水筒にすくい、「盃事」のまねごとを交わす元町長の行動に象徴されるように、はっきりとは見えづらい地方特有の問題点がじょじょに浮き彫りになっていく。本音と建前、姿の見えない陰湿な嫌がらせ、個人や社会に不平を漏らしつつも自助努力を怠る町民たち。
個人悪に収束されない事が却って問題の根深さをどんどん露呈してしまうような、なんとも不穏な怖さを持った映画だ。

極限まで抑えた演出とモノトーン画面も、敵か味方か判断つかぬ不動産ブローカー・植田とその周囲の人間たちの抱く虚無感をとても的確に表しているように思う。
510

510の感想・評価

5.0

面白い。

ナイス白黒。
モノトーンてこんなに
引き込まれるんだ。

田舎のこと。
自分のこと。
子供のこと。

色々あるな。

「映画っていいな」と思える映画。
モノクロ映像がすごく良かった。人間の目は目に心地良いもの、自然豊かな緑やみずみずしい女優さんを良いものとして捉えてしまいがちだけれど、そのようなバイアスがかからない状態で物語が進んでいく。
誰かにとっては極悪人、誰かにとっては救世主、故郷とお金、過去と未来、正義と悪、と、人によって表と裏があるモノをフラットな視点で淡々と描いている。
個人的に、これら人間の営みは宇宙から見たらどうなのだろうとか『火の鳥未来編』のナメクジ文明を思い出したりとか、いろんな記憶や思考を呼び起こす作品だった。
AngeMeow

AngeMeowの感想・評価

5.0
胸の奥に、正体不明の感情の渦が巻き起こるような感覚がした。
そして、その渦が一体何者なのか、答えが見つからないまま、物語が収束していった。
こんな映画は今まで見たことがない。強いて言うなら、ヴィム・ヴェンダースの「パリ、テキサス」を初めて観た時の感覚に近い。

とても感動した。

澤田サンダーというこの監督、そう遠くない将来、日本を代表する名匠となる予感がする。
ron

ronの感想・評価

5.0
最初は謎だらけだった。
だが、最後はすごい。。

いったいどうしてこんな話を思いつくのだろうか。今まで見たことがないタイプの映画の構造で、こんな作品はこの人しか作れないのではないかと思うような感じの映画でした。

ケーズシネマの音響が非常によかったせいか、時々、背景音とセリフの食い違いのようなものが生まれそれがノイズとして耳障りな部分もあったのが、技術的に残念。でも、それにしても信じられない映画だった。
何故タイトルが「ひかりのたび」なのかついにわからなかった・・・
かよこ

かよこの感想・評価

3.2
主人公の子がとても美しい。
夏セーラー服に白いハイソックス姿が、3次元とは思えぬくらいに。

モノクロなのだけど、田舎の緑や光をカラー映像で観たかったなぁ
と思う。
田舎の閉塞感がリアルで、息苦しほど。

命はお金に換えられる。
換えられ……る?
ううーん。それを認めてしまったら、ひととしてどうなのよって思われそうで言えないけど。
突きつけられたような映画でした。

たまたま観に行った上映が、監督とお父さん役の俳優さんの舞台挨拶があった回でした。
あのラストは偽善じゃないと思います、私は。
ヨラ

ヨラの感想・評価

3.2
さびれた地方都市で生きるということ、もしくは都会と地方について。ひたすらもやもやしました(地味によかったです)
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