失くした体の作品情報・感想・評価

失くした体2019年製作の映画)

J'ai perdu mon corps/I Lost My Body

上映日:2019年11月22日

製作国:

上映時間:81分

ジャンル:

3.7

あらすじ

「失くした体」に投稿された感想・評価

mOjako

mOjakoの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます


切断された手首がなくした体を求めて彷徨い歩く。尋常じゃない発想と静かな映像詩の世界が共存する突き抜けた魅力のある作品です。


 製作はフランスのアニメーション作品。決して日本製アニメのような流麗な動きではないところも含めてバンドデシネ的な芸術性の高い作品ではあります。真っ先に連想したのはシルヴァン・ショメの作品を観ているようなシュールで美しい感覚でしょうか。
 しかしながら、意味不明な独りよがりな芸術作品という訳でもないところが凄い。何故切断された手はこれほどまでに持ち主を求めて彷徨うのか、また何故手は持ち主から切断されるに至ったのか。今作はジャンルで言うならミステリーに当てはまる。強力なフックがあるから全く飽きることはありません。

 物語は切断された手首が街を彷徨う過程と手首の持ち主の生い立ちをフラッシュバックしていくのが交互に示されます。
 彷徨う手が思い出すのは、脳ではなく手に宿る記憶。おもちゃで遊んだこと、自転車に乗ったこと、ピアノを弾いたこと、綺麗な空と眩しい太陽にかざしたこと、そして掴めないハエを追いかけたこと。
 大人になった主人公ナウフェルはかつて夢見た人生とは程遠いピザ屋の配達人として暮らしています。ある日、配達に来たマンションで運命を変える女に出逢い、彼の人生を変えていく。2人の会話の中でナウフェルは「何か異常な事をしない限り人生は変わらない。既定路線を変え、後悔しない方向へ進みたい」と言います。そして「運命から逸れた後は成功を信じてまっすぐ進むんだ」と。
 異常な事というのはもちろん切断された手が主人を求めて彷徨うことであり、ビルの屋上からクレーンに飛び乗ることであり、顔も知らない女性に恋をして追いかけることでもある。しかし、その異常な行動には常に死の影が付き纏います。手の視点で進むストーリーでは普段だったら何でもない光景が異常なものに見え、鳩、鼠、蟻、蝿なんかが凄く悍しいものに感じられます。特に蝿は物語上非常に重要な意味を帯びており、”死”そのものを象徴するような存在です。ナウフェルは幼い頃から何度も蝿を素手で捕まえようとしますが、それは彼に決定的な喪失をもたらすのです。
 しかし、この作品はさらにその先の景色を最後に見せて終わります。死を覚悟してナウフェルが手を伸ばさなければ決して見ることの出来なかった景色。普通だったら動かないものが動き出す。普通だったら見れないような景色が見える。アニメーションでなければ表現出来ないものが、この作品にはあったと思います。

 Netflixで公開される作品のクオリティが最近とんでもないことになっていて、見過ごされがちかもしれないですが個人的には今年ベスト級の作品だったと思います。
 
 
 
罪を握った「右手」の罪滅ぼし。

三つの時間軸を行き来する構成と、状況の作り方が優れていて飽きさせない。
実写でやると気になる諸問題(腐敗しないの?すごくグロい)もアニメならそれほど気にならないし、むしろユニークさが際立つ。

アニメの質感は3Dプラス手描きの質感。
フレームレートはわざと落としているのかな?

マイクを振った音は、手を振った時の音。
罪の意識にとらわれて、どうにもできなかった人生は、跳躍によって上書きされる。
面白かった。
yuk

yukの感想・評価

-
切断された手が居場所である体を探すように主人公も自身の居場所を探して彷徨う。孤独を感じて切なくなる。
好きか嫌いかで言ったらあんまり好きではない…けどサントラ検索するくらい音楽はきになった laura cahenもっと聴こう
神映画。
静かで、美しくて、哀愁漂う映画。今まで見たアニメーション映画の中で1番エモい。自分的にはジブリと肩を並べる程の超大作だと思う。見終わって数時間経ってるがまだ余韻が続く。近いうちに家族と一緒に2回目を見たいと思う。
初めはサムネを見て絵柄が苦手だと敬遠してたがすぐ気にならなくなった。
フランスの映画ってなんでこう毎回BGMが素晴らしいんだろうか…即サントラ登録してしまった。なんでもないシーンでもBGMのおかげで物凄く胸が締め付けられる。

手が可愛い。あと1歩という所でいつも踏み出せずにいるナウフェルがどことなく自分と似ている部分があってつい感情移入してしまった。
頑張れよナウフェル。強く生きろよナウフェル。
Water

Waterの感想・評価

3.4
映像の見せ方が、現在の手の視点と過去本人の目の視点で展開されていくところが面白かった。

サイレント映画のように、表情や動きで心情を伝えるところもいい感じ。

ただ1時間半とは思えない程長く感じたので、ちょっとテンポが微妙だったかも。
あと苦悩している少年が、失くしたことでなんかスッキリして前向きになったのはいいんだけど……実際やられた女の子の気持ちを考えると。。
あんまり好きじゃない主人公だから、心に響かなかった。
Ryo

Ryoの感想・評価

3.8
詩的。なくすことによって得た勇気。
過去との決別であり、大人になることでもある。
Takashi

Takashiの感想・評価

2.9
序盤は
「あー、こういうシュールで実験的なアニメね。やりたいことはわかるけど結局観客置き去りで製作者のマスターベーションで終わることが多いよね」
と斜に構えて見てましたが、途中からちゃんとストーリー性のある内容になってきてホッとした。
が、さすがに男性の目から見てもそりゃキモいだろという主人公には感情移入出来ないし、色々と痛い。
手のみが動き回るっていうアイデアも我々のような古谷三敏の「手っちゃん」を知ってる世代にとっては目新しさは何もなく、むしろ「手っちゃん」のほうがコミカルでハートウォーミングで尚且つシュールという名作だったことを再認識させられた。
坦々麺

坦々麺の感想・評価

3.7
手だけで本来の身体で表現するものを表現されてて、恐怖や悲しみ、切なさも手だけでどう感じているのかも分かった。

ただやっぱりアダムスファミリーのハンドにしか思えないな、、、
アダムスファミリーのハンドくんみたいに動く手が旅していくところもそうだけど、人間場面も緻密でリアルな描写がすごい
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