Billie ビリーの作品情報・感想・評価・動画配信

「Billie ビリー」に投稿された感想・評価

ビリー・ホリディの単なるバイオグラフィーではない。ビリーの伝記を書き進める途上で不可解な死を遂げた女性記者リンダ・リプナック・キュールの残したテープを元に構成されていて、二人の人間の生涯を巡るミステリーとなっている。
作品構成と声の隠微な絡み合い。ビリー・ホリディの歌は、ストーリーテリングを時に補完し、時に物語と対立する。柔らかさとしゃがれが多層的に響く声が全てを貫きながら、どこまでも闇は消えない。その暗く虚しき祝福にグッときてしまう。

スウィング時代の帝王、カウント・ベイシーと記者は喧嘩しつつ関係を深めていったらしい。歳の差のある二人の曖昧な関係は、もしかしたらリンダの死より近寄りがたいかもしれない。
odyss

odyssの感想・評価

3.0
【黒人女性歌手の困難】

ドキュメンタリー。
著名な歌手ビリー・ホリデイの生涯を追っています。

ただし、構成は二重になっており、ビリーの生涯を明らかにしようとして関係者にインタビューを重ねていた女性ジャーナリストと、途中で死去した彼女の残したカセット・テープの内容が、この映画の核心を成しています。つまり、ビリー自身と、ビリーの死後にその生涯を追っていったジャーナリストの生涯が、二重写しになっている。

黒人差別が露骨に行われていた時代のアメリカ。
音楽ではそれでも黒人の能力はそれなりに認められていたのですが、ビリーのような黒人ン歌手が活動して行くには、困難が多かった。

それは音楽界自体も差別的な体質を持っていたということと、世間の黒人差別の中で活動していかなければならないということとの、二重性。

と同時に、ビリー自身黒人の貧民街に育ち、カネ稼ぎのためには売春も当然という環境で育ったことも大きい。これが、彼女が成長してからの行き方にも、影響を与えたと思われるのです。

ビリーにはむろん歌手としての才能があった。
でも、人間は才能だけでは生きられない。日常をどう生きるか、それが歌手という天性を活かすか活かさないかの基盤になるはず。

歌違いですけど、日本の和歌の巨匠とされる藤原定家は、「歌の極意は身養生にあり」と言ったといいます。つまり、優れた和歌を生み出すには、日頃から規則正しい生活をして、健康に留意することが大事、と言っているのです。

ビリーのような歌手にとってもそれは同じだったはず。
それを許さなかったのは、彼女が育った環境と、差別に満ちたアメリカ音楽界だったのでしょう。

この映画はそのような実態を、暗示的にではありますが、明らかにしています。
しかし、それを超えた洞察を示し得なかったのが、ちょっと残念です。

劇場 No 125
 
72点
北九州の名画座・昭和館で🎬
“不世出のジャズシンガー”ビリー・ホリデイ 2本立て🎥
‘The United States vs. Billie Holiday”(No 124, 2回目)と併映🤗
 
希代のジャズシンガー、ビリー・ホリデイ🎙
過酷な人種差別と闘いながらも
ステージに立ち観客を魅了し続けた彼女に迫ろうと
一人の女性が死力を尽くし集めた記録があった🎥
長年の間、葬られていたその記録をもとに
ビリーの知られざる素顔が明らかになっていく...🤭
 
真実しか唄わない...
己の心に忠実に唄ったビリーの壮絶な人生😰
 
酒とドラッグ、そして男(女にも)に翻弄され
刹那的な生き方に溺れていた彼女に
さらに重くのしかかったのは人種差別の壁😰
 
人種差別の実体を舞台で披露した
‘奇妙な果実’を歌う映像には心が震えた😢
‘葉は血にまみれ、根にも血が残る...’
ワンコーラス初めて聴いた歌詞は
あまりにも衝撃的で生々しかった😱
 
頂点に立つと悲劇が襲う...そんなジンクスが
彼女にも当てはまっていたのかと思うとツラい😢
だが、44歳の生涯を通して彼女が残した足跡は
‘奇妙な果実’と共にいつまでも残るだろう🎙

他の方のレビューで知ったのですが
ダイアナ・ロスがビリーを演じた作品があるそうです😲
出来ればそちらも観てみたい🎙
ビリーホリデイ、すごく歌がうまい!本当にほれぼれする。ジャズシンガーだからこそ、自分の魂を歌って、自己表現していたのかもしれない。人種差別が壮絶な時代に生きた彼女のすごさが、歌を通して、彼女の人生を通して、伝わってくる。まさに、天才だからこそ、ファンは熱狂したんだろう。彼女の音楽を、聞きたくなった。
デニロ

デニロの感想・評価

3.5
1973年。シドニー・J・フューリー監督『ビリー・ホリディ物語~奇妙な果実~』という作品を観た。ビリー・ホリディを演じたのはダイアナ・ロス。わたしは高校生で、まだジャズやブルーズを知らなかった頃の事。ビリーの歌を耳にしたことはあったろうが興味もなかったはずだ。物語などほとんど覚えていないけれど、麻薬中毒のダイアナ・ロスが病院の治療の一環で禁断症状に陥る姿が不気味だったのを覚えている。大橋巨泉の「11P.M」で新作映画を紹介するコーナーがあり、巨泉が、ダイアナ・ロスはビリーじゃないよ。これじゃビリーがかわいそうだ。ビリーはあんなに黒くない云々。そうなのかと思うと同時にどういうつもりなんだろうと思った。

本作は、ビリー44年の生涯を書くために10年にわたって関係者にインタヴューを重ねていたリンダ・リプナック・キュールの死から始まる。彼女の録り溜めたテープを紹介しながらビリーの人生をつなぎ合わせていく。が、テープを聞いていると夫々がもはや勝手なことを話していて全体として辻褄が合わないというのか、一体全体ビリー・ホリディとは何者であったのかというミステリー。死して60年もはや真実よりも伝説の方が尊いのだ。

ビリーと同じ年に生まれたエディット・ピアフの享年が47歳と知ったとき、え、そんな若かったの、晩年の写真を観ていたら泣けてくるくらいに衰えていて悲しく思った。モルヒネ、アルコール依存で歌えない。ジャニス・ジョプリン、エイミー・ワインハウスは共に27歳でドラッグとアルコールで死んでしまった。本作の中で誰かが、女性歌手が天辺に行くと死んでしまう、というようなことを言っていた。そう言えば、若き沢木耕太郎が28歳の藤圭子をインタヴューした際の会話を構成した「流星ひとつ」というノンフィクションが彼女の死の直後上梓されたが、その中で彼女が天辺に立ったらつらいのだ、それは天辺に立ったものにしか分からない、というようなことを話している。

さて、わたしはジャズを聴き始め、彼女の歌に触れていったのだが、“Don't Explain”“Strange Fruit”“God Bless' the Child”等々代表曲を聴いては何かつらいものを感じて彼女の歌に若きわたしが共鳴することはなかった。幾星霜、1930年代のテディ。ウィルソンとの録音を聞く機会があり、そこでは楽しそうにスウィングしている彼女がいて、ますますわからなくなったのでした。今やいろいろな愛の形を知るに至り彼女の非凡なLOVE SONGにこころ打たれます。

そしてリンダ・リプナック・キュールの死なのだが、彼女も自ら企てたインタヴューで様々な人物に接し、本作で紹介された録音を聴いていると対象との距離が危ういのではないかと思われるものもあった。紹介された録音部分でそう感じるのだから実際の距離はいかばかりであったのか。警察は自殺として処理したが、彼女の妹は、インタヴューの対象の周辺の人間から脅されていたし、就寝前の化粧用フェイスマスクをしたままでホテルから投身自殺するなんて考えられないという。さて。

ビリー最後のアルバム「Lady In Satin」に収められているラブソング“You Don't Know What Love Is”。彼女を敬愛していたエリック・ドルフィーもその最後のアルバム「Last Date」で奇しくも演奏している。そのアルバムの最後に彼の言葉がどこからか降りてきます。

When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again.

Peter Barakan's Music Film Festival にて
ともや

ともやの感想・評価

4.0
きれいなビリーをかつてないほどきれいに観れた、それだけで良いやと思っちゃう

ジャーナリストさんのお話には悪いけど、ビリー・ホリデイめあてで観た身としては、その構成の良し悪しなんか知らんよ

これには勝てんよ
kuma

kumaの感想・評価

3.6
時間ができたのでシネマイクスピアリへ。今週に公開される映画の予習がてらに観に行きました。流石キネマイクスピアリ、ビジネスがお上手で。

「『女王蜂』のようだった」との友人が語るように、独自のスタイルを伝えるべく魂の叫び声で心を突き刺してくれるビリー・ホリデイ。蝶のように舞い蜂のように刺す彼女の歌、そして生き様をこのドキュメンタリーを通して観て、存在を初めて知りましたが一瞬で虜になりました。(SOUL SCREAM「蜂と蝶」より引用)

また映画のタイトル自体は「ビリー」だけども「リンダ」でもいいんじゃないかってくらい取材を続けていたリンダ・リプナック・キュールについてもフォーカスされていました。(実際、彼女のお話から始まるし。)

「死」で始まり「死」で終わる。全編通して「暗くて黒い「闇の中」」で行われている映画だなと思いました。

追伸
・映画中で「ジャズを演ってる人は人生が短い」的なことを言ってて、心の中で「ホントそれ!!」と激しく同意しました。
過去一回鑑賞

20代初期にビリーの声を誰かのアパートで聴かされ一発で墜ちた憶えが。
CDの棚には(あまりベストアルバムは買わないのに)彼女のはある。
アップリンク吉祥寺の特別上映作品

座席がわずか三列しかないシアター5にて
お馴染みの緊迫感のなか、
新年一発目の映画館での鑑賞でした

極度のマゾヒストで
我を忘れ、
身を削るほどの破滅的な恋を繰り返し
それらを加速させた酒と薬…

15(14だったかな…)の時分から
少女たちの売春を手配していたそう

当然自らも…

彼女は生きたいように、生きれたのかしら

44歳の若さで心不全によりこの世を去った
ジャズ界の”女王バチ”・ビリー・ホリデイ

こちらを不安にさせるほどに
彼女の人生の要所要所の苦痛や喜びを
直に映すような歌詞ばかり

以下、記憶の限りの台詞ですが
私がひどく共感した、
周囲が語ったビリーの性質です…

『愛してると言われたいのに
罰されることを望んでた』

『でも彼女は
不幸じゃないと幸せではなかった』
ビリーホリデイの歌う姿は不思議な色気があって魅力的ですね。リスペクトで観たアレサと同じように、黒人差別と女性であることでの生きづらさの中での歌手人生だったのですね。
シンプルにもっと歌っているところを見たかったです。
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