哀しみの行方
二組の夫婦が丸テーブルで向かいあう。
学校で起きた銃乱射事件の被害者の両親と加害の末自殺した犯人の両親。
「なぜ」息子たちは死ななければならなかったのかのか?
二組の両親たちは互いに向き合うとともに、父と母として夫婦でも向き合うことになる。
夫と妻としても。そして自分とも。
結末は「よかったね」ととらえる人もいるだろうし、よく分からないと思う人もいるだろう。「何のために赦すのか」は頭で理解はできても、私の心でできるのかはわからない。
しかし、原題の「Mass」を考えてみると息子たちへの愛を認め合えたことと、結果はどうあれ全力で息子に愛を注ぎ込もうとした父母への祈り確かに存在した息子への愛への祝福
を再び感じられた場だったのかもしれない。
正直、私には「赦す」ことで何が変わるのかよく分からない。想像することしかできない。互いに亡くした息子たちの短い人生を思い返す時に「哀しみ」で覆われた人生とするよりも、確かに存在した「喜びの存在」としての息子の人生を思い出せる方がいいのかもしれない。
会話劇なので、動きが少ない分キャストたちのボディランゲージもセリフ以上に語りがある計算された演出がよい。
もうちょっと宗教色が薄くてもよかったかなぁ。
58