どらどらさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

マイ・バック・ページ(2011年製作の映画)

4.8

- まあ、生きてりゃいいよ

ある熱に動かされた時代があった
それが正しいのか間違っていたのかはわからない
でも、それを遠くから見ているだけなのが悔しかった
ただ「本物」になりたかった

その一点での
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ノイズ(2022年製作の映画)

4.6

- お前は一体なにを守ろうとしてるんだ?

大切なものを守りたくて
嘘に嘘を重ねて
罪に罪を重ねて
小さな島から見えてくる日本という国の不気味さ

嘘を塗りたくったうえに表出してきたのは小さな真実
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よだかの片想い(2022年製作の映画)

4.5

- 別に全部曝け出して受け入れてもらうことないんじゃない?

自己否定から他者による受容を経て自己愛へ
「ありのままでいい」強さも
「努力して自分を変えていく」強さも
脱ぎ捨てて、その先へ

「ありの
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百花(2022年製作の映画)

4.2

- なんで忘れてんだよ、こっちは忘れらんねえんだよ

記憶と人生の非対称性について
「忘れる」という罪と「忘れない」という贖罪について

我々はたとえ人生の一部を共有していても
それぞれの角度でしか見
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

5.0

Sandie) I didn’t want any of this.
Eloise) I know. I saw.
Sandie) They deserved it.
Eloise) I know.
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いのちの停車場(2021年製作の映画)

4.2

- 死ぬのって、痛い?

いのちには必ず終わりが来る
のぞみ通りの終わりを迎えられる人もいれば
あまりに早い死も
あまりに理不尽な死も
あまりに苦しい死もある
死を、生を、人にはその全てをコントロール
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

5.0

「痛かった。全部。」

我々は誰しも「最低」である
死を前にあるものは次の子のことを考え
また別のものは思い出が「汚される」のを恐れ
はたまたまた別のものは他人の不幸を願い
そしてあるものは妻を捨てあ
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草の響き(2021年製作の映画)

4.8

- 他人の気持ちなんて、触れられん

走り続けている
何かから逃れるように
何かを絞り出すように
走っている時だけは、からっぽでいられるから

現実はそれを許してくれない
暮らしはどこまでも続いていく
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かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

4.3

- わたしもね、できないことだらけ

わからないことだらけだ
自分の気持ちも
他人の気持ちも

それは水彩画のように淡くて
同じ気持ちにだってなれないかもしれない

他人の本当の気持ちなんてわからな
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いとみち(2020年製作の映画)

4.6

- なーんで人生って簡単じゃないんばね

世界との距離に悩んでいた少女が
自分自身を受け入れたとき
自分自身を解放したとき
やっと気づくことができた

世界は残酷で不条理で
人間はどこまでも多面的でわ
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コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

4.8

- 皆が黙っていたことが国家の嘘を許したんです

ひとつの事故から炙り出されたのは
一企業の不正でも
単なる医療体制の腐敗でもなく
嘘まみれの国家の正体だった

掘れば掘るほど深まる闇は
ジャーナリス
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そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)

3.6

卒業式の石原さとみのシーンはとても素晴らしい
その分、それ以降の展開はなんの悪夢なのかと思った

バトンが、「田中圭まで繋がれてきた」というところまではいい
でも彼女はもう自立し、自分で人生のパートナ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.6

- 何を待ってるんだ?

何者かになれると信じていたけれど
何者にもなれずに歳ばかりとり
何を待ってるのかと訊かれても
何になりたいのかと訊かれても
どうしてその選択をしたんだと問われても
何も答えら
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

5.0

- この街はもうとっくに死んでいる!死んでしまっているものを殺して何の罪になるっていうんだ!

なんて自由な映画なんだろう
1人のしがない中学教師が
原爆をつくり
国家を相手取り
あらゆる要求を- 極
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.2

-This is only the beginning.

欲望、文化、搾取、陰謀
まるでこの世界の縮図のようなことがこの映画でも起こっている
スパイスでもなく、富でもなく、人を選んだその先に
道は続
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.7

“Never, Really, Sometimes, Always”

言葉では何も語られない
何が起きたか、何が起きているか
しかしこの映画の沈黙は、なによりも雄弁だ

勇敢な旅路を終えた2人の目に
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

5.0

- 残るものってそんなに偉いんですか?

義理人情の世界のルールと
「いいね」というわかりやすい数字で決まる承認欲求の世界のルール
うまくいっていないが故に調和していた歪な歯車は
「成功」という蜜をき
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.8

「お年寄りは寂しいから」

なんと居心地の悪い映画だろう
その居心地の悪さは
この制度の不気味さゆえなのか
はたまたその杜撰さゆえなのか
この制度をフィクションとは言い切れないこの社会なのか
そして、
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チェ 39歳 別れの手紙(2008年製作の映画)

4.7

- 私は人間を信じている

革命家、チェ•ゲバラ
これほどに数奇な人生があるだろうか
国連で演説をうった彼が
ジャングルの中で死ぬ
それも失脚などではなく
自らの選択で
革命に生き、革命に死んだ、真の
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チェ 28歳の革命(2008年製作の映画)

4.4

「我々は未だ救われていない中南米諸国の希望を代弁している」

泥に塗れた革命戦争はカラーで
NYでの政争は白黒で
まるで、チェの行く末を示唆するかのようである

「祖国か、死か!」
生真面目すぎた稀代
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オールド(2021年製作の映画)

4.6

- We do what nature wants us to do!

彼らの閉じ込められたビーチでは
1日で一生が終わる
時間との不和に恐怖を感じて発狂するものもあれば
そこに穏やかさを見いだすも
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犬王(2021年製作の映画)

4.7

- ここから始まるんだ俺たちは!

奪われしもの
阻害されしもの
どこにも居場所のないもの

彼らの武器はいつの時代も変わらない
音楽、舞い、そして生き様
彼らは自分の運命の過酷さを嘲笑うかのように駆
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グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

- 家に帰りたい、、!

居場所なきものたちの咆哮が時代を撃つ
奪われたものたちから奪うものたちへ
コケにされたものたちからコケにしたものたちへ
銃口は、こちらを向いている

この狂った世界で踊れ
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東京リベンジャーズ(2021年製作の映画)

4.3

- タケミチくんは、タケミチくんだよ

強さとはなにか?

ふんぞりかえっているヤンキーに立ち向かう
暴力という強さでもなく
武器を使う卑怯さでもなく
1人の人間として
己の弱さも全て含めて、立ち向か
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.6

- 更紗は、更紗だけのものだ。誰の好きにもさせちゃいけない。

正しさはときに、人を殺す
誰かにとっての正しさが
誰かにとっての切実さを、殺す

それぞれがそれぞれの切実な生を生きている
それはときに
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.7

- もう、頑張っています

彼女たち家族は、明らかに不正義の被害者だ
彼女たちがどれだけ努力しようとも
周りの人がどのような善意の手を差し伸べようとも
決して乗り越えられないほどの、あまりに大きな不正
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.8

- 映画ってさ、スクリーンを通して今と過去を繋いでくれるんだと思う。私も、私の映画で、未来に繋ぎたい。

なぜ物語は、映画は、存在し
なぜ私たちはその物語を、映画を、見るのか
「他人の話」でしかなく長
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

5.0

- You Should Be The One With Her Name All Over You.

彼女をイカれているとみなは言う
たしかに、彼女はイカれている
この腐りきった社会の常識では
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ホットギミック ガールミーツボーイ(2019年製作の映画)

5.0

- そう”見える”んじゃなくて、そう”見てる”んじゃないの?

“選ばれる”のではない
“選ぶ”のだ
恋も、人生も、その全てを

だって
わたしの顔も
わたしの体も
わたしの声も
わたしのものだから!
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.5

企画、そしてそれを実現できるキャストと撮影スタッフの勝利!
これ以上ない完璧な傑作

キレ味抜群のアクションをガチでやってやり切るという企画に目が行きがちだが、頭悪すぎるヤクザ=男社会を、ラフな女性殺
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アネット(2021年製作の映画)

5.0

- Now you have nothing to love.

愛は共犯行為だ
一方通行でそれは成立しない
しかし、我々は異なる人間である以上、同じ思いを抱くことなど不可能である
したがって選択肢は
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.6

- What about me? Um… Who… exactly am I?

何かがおかしい
何かがおかしいのだけれど
自分がおかしいのか
周りがおかしいのか
それがわからない

家族に限界がきて
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街の上で(2019年製作の映画)

4.5

“ エンドロールに名前がなかった
 名前がなかった
 だからぼくら
 旅をつづけなくちゃ
 旅をつづけなくちゃ”

誰も見ることはない
どれだけ「練習」してきたとしても
どのような人生を歩んできたとし
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

- こっち側に来たらもう戻れないからね

選択肢が奪われたなかで
選択させられるという暴力
背負わなくていい罪悪感を負わされ
人生は、破壊される

選択肢を奪うのも
そのなかで選択させるのも
実際に人
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大河への道(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

- 忠敬さんのように一歩ずつ、一歩ずつ

伊能忠敬の偉業
その裏にある名もなきものたちの物語
そしていまを生きる名もなきものたちの物語
名もなきものたちが、歴史を、そしていまを作るのだ

______
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モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)

4.5

- 死を悲しむ権利もない
- 女の権利は限られている

喪失を悲しむ権利をも奪われ、峻厳に、それも峻厳すぎるほどにしか生きられなかった
「未婚」であるという、たったその一点だけで、この世界では心を閉ざ
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