ジョニー・ベリンダの作品情報・感想・評価

「ジョニー・ベリンダ」に投稿された感想・評価

またまたクラシック映画の傑作と出会いました。アカデミー賞主演女優賞獲得作品。

カナダにある海沿いの街はずれで製粉所を経営しているマクドナルド兄妹の元に、医師のリチャードソンがやって来る。兄ブラックの娘であるベリンダは耳が聴こえず話すこともできないため、愛情も与えられずまるで下女のように扱われていた。それを見かねたリチャードソンが彼女に手話を教えてみると、彼女は瞬く間に言葉を覚えていく...。

これこそいつか必ずリメイクしてほしい...!もともとブロードウェイの舞台劇だった作品を映像化したそうですが、当時としては異例とも言える、障がい者が抱える孤独、性暴力、そして閉鎖的な村社会の現実などシビアな問題に真っ向から挑んだ意欲作。実際に昔カナダであった事件を元にしているのだとか。
どこか物憂げな印象を与える、影を使った照明、アップを多用して人物の感情を色濃く炙り出すカメラワークなどが、イングマール・ベルイマンやジャン・ルノワールなど、ヨーロッパの監督の作品を彷彿とさせました。

心無い噂が町中に溢れ返り、リチャードソンとベリンダが次第に孤立していく様子はあまりにリアルだし、今の時代でも十分にあり得ること。
"Me,too"運動が盛んになってようやく自分が受けた辱めについて主張できる時代になってきましたが、この映画で描かれた時代は、今の世の中とは雲泥の差。性暴力の被害者が心と体に抱えた傷を周りに訴えるのはすごく難易度の高いことで、しかもそれが障がい者であれば、さらに状況が厳しくなることは容易に想像できます。
その意味でも、1948年という時代にそんなテーマに切り込んだ監督やスタッフの勇気には脱帽です。

とにかくベリンダ役のジェーン・ワイマンの圧倒的な演技力、これに尽きます。一切セリフは無し。とにかく表情と仕草、手話だけで表現しているのに、彼女の感情が手に取るように分かるから本当に不思議。半ば人間として扱われていなかった少女が、医師との出会いを通じて人間らしさを取り戻していく様を見事に演じきっていて、オスカー受賞も納得。よく、メソッド演技法が確立する前の古い映画ほど、演技が仰々しくなりがちだと言われますが、そんなこと微塵も感じさせない役への憑依型の演技でした。
リチャードソン役のルー・エイヤースも、「人が良すぎるのが欠点」と周りに言われてしまうほど、慈愛に満ちた医師を好演。リチャードソンとベリンダの某シーン、あまりに真に迫る素敵な場面で涙が止まりませんでした。
マクドナルド兄妹役のチャールズ・ビックフォード、アグネス・ムーアヘッド、そして町娘ステラ役のジャン・スターリングも素晴らしかったです。
Ricola

Ricolaの感想・評価

4.3
「誰かの役に立てば孤独じゃないって」

この気持ちが根底にあれば、本当に人間は人間らしく生きれる気がする。


小さな村に住むベリンダは耳が不自由で話すこともできないため、一緒に暮らす父と叔母からも疎まれ、雑用として使われていた。
しかしある日、新しくやってきた医師と出会い彼女の運命は変わっていく…。


ベリンダを演じたジェーン・ワイマンはアカデミー賞を受賞したそうだが、本当に彼女の演技に引き込まれた!
ベリンダの繊細さと賢さが心に染み入った。

映画のストーリーもテンポ良くわかりやすい。

結構ショッキングな出来事が描かれており、当時のハリウッドのヘイズ・コードを緩和させた初めての映画だそう。

そのおかげか、物語全体に深みが生まれドラマチックな展開に呑み込まれそうになる。

音楽もザ・古典的ハリウッド映画という感じで最高!

ベリンダや医師はもちろんだが、登場人物の心の機微が表情からよく伝わってきて、それぞれの気持ちの整理もつけやすかった。

途中からずっと泣きながら観ていた。

人の成長、優しさ、噂の恐ろしさ、家族の愛情などに涙が止まらなかった。

傑作だと思う。
大学図書館にて。
識読ジャンルの福祉映画だけども
プロットが非常にしっかりしていて説明の無駄なく必然でもって話が動いてる。
福祉でとても大切と云われる『傾聴』し、『場をいなして己を消す』事を両立してる実践例がとても参考になる。山場にセラピストの『人格空回り』あるあるを持ってくるなんて、説得力しかなかった。同ジャンルで『奇跡の人』みたいな格闘映画もあるけど実直なこっちもいい。私情で動くのも人だってね。
Filmarksのレビューを見て、この作品を知り、やっと観ることができました。
ありがとうございます。

1948年 アメリカ 同名舞台の映画化。
調べたら、カナダで起こった実際の事件を基にしているそうで。

片田舎の漁村が舞台。
ロバート・リチャードソンは町で唯一の医師。
ある日、彼は農場主の娘ベリンダと知り合うが、彼女は聾唖者だった。
彼女は、ロバートから手話と読唇術を学ぶことで、孤独から解放されていく。
しかし、ある事件が彼女の運命を変えていく。

この作品でアカデミー主演女優賞を獲得した、ジェーン・ワイマンの演技の素晴らしさ。
口がきけない役で喋らないのに、その表現力の凄さ。
難しい役だったでしょうが、見事に演じきっています。

モノクロの質感もいいですね。
モノクロ画面だからこそ、人の世の冷たさが直接伝わる感じがして、ベリンダや身内に起こる悲劇を一層際立たせたように思えました。

また、よそ者を受け入れずに排除しようとする村の閉鎖性と独善性には腹立たしく感じました。どこにでも起こりうる事ですね。

終盤の展開まで目が離せず、ラストには静かな感動を覚えました。

本当に良い作品に巡り会えました。
全てのレビュアーの方に感謝します。
犬

犬の感想・評価

3.8


カナダのケープブレトン島
そこへ新しくやって来た医者のリチャードソンは、島で暮らす聾唖の女性ベリンダと出会う
彼女と交流をしていた矢先、ある事件が起こり....

ブロードウェイでヒットした同名舞台劇の映画化

聾唖者を演じたジェーン・ワイマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞

ストーリーは切なく何とも言えない感じ
重たいドラマでした

後半は特に見応えあった

リチャードソンとメリンダの関係性が良い
文字や言葉、手話を教えたり色んな経験をさせます

島の感じも好きでした
ピーター・イエーツの「容疑者」を鑑賞しリーアム・ニーソンの境遇で思い出し

ド傑作☆

聾啞者であるべリンダとその町にやってきた中年の医者との涙なしでは見られない珠玉のヒューマンストーリー。
コミュニケーションをとれるようにと一生懸命べリンダに手話を教える医師は、先日書いた「コーマ」でリチャード・ウィドマークが演じた外科部長とは真反対の正に医師の鏡ともいうべき人格者。
他人は勿論、実父と叔母にさえ蔑まれる生活を送っていたべリンダは純真無垢で心優しき働き者。
この二人の微笑ましいやり取りが、とある残酷無比な事件によって暗い影に包まれてしまう…
しかし、二人はめげないんですね~(´ー`)
時折挿入されるノワール調の画が全体を引き締め、グイグイと引き込まれること間違いなしです。
何か所かに分けて泣かせて貰いました。
久し振りに再見したい!
お薦めです☆彡
「私はひどい叔母だったわ...
うちは、元々血の気が多い家系なの
身内争いだって絶えなかった
それでも、外敵に対しては団結して戦ってきたのに...」



カナダの小さな島に新しく赴任してきた医師のロバート
排他的な住民達の視線も気にすることなく、医者の仕事を担っている

ある日、農家の一人娘ベリンダと出会う
彼女は聴覚障害を持っており、島民たちからは"バカ"と呼ばれ両親からも愛されてはいなかった

そんなベリンダにロバート医師は手話を教え、他人との意思の疎通ができるように手助けをする
娘をただの"バカ"と考え、ぞんざいな扱いをしてきたベリンダの父は、手話で自分に語りかける彼女に「初めて話しかけてくれたな...」と感激し、愛情を持って接するようになる

しかし、思わぬ事件にベリンダとロバート医師は巻き込まれていく...



実話を元にした戯曲の映画化
この年のアカデミー賞で、最多12部門ノミネートされた傑作
『障害者への性的虐待と偏見』という、大変難しいテーマ

主演のジェーン・ワイマンは『失われた週末』の激しい印象が強かった
今作では一言のセリフも無い役ながら、説得力のある圧巻の演技でオスカーを受賞

一方で他の役者達も芸達者で、陰湿なコミュニティで生きる人たちを好演していた
フラン

フランの感想・評価

4.8
日本では隠れすぎてる名作
安売りDVDボックスに収録されているのは画質悪いので2006年に販売されたのを購入すること推奨
聾唖を扱った映画としては一番古いが今なお色褪せないパンチ力がある映画になっている
ほのぼのした展開から胸糞悪い展開の強弱が絶妙で巧い

実生活、ジェーンワイマンはロナルドレーガンと離婚までに至り完璧に役を演じて主演女優賞を手にしている。
手話や仕草は感服するくらい素晴らしい演技だが演技に見えないレベルだ


Dr.コトーの診療所見たいな群像劇が起こると思わせておいて村八分されるという最近中々この手で上質な物がないのでシネフィルの方は見ておきましょう
フェデリコフェリーニの道のような感じだと思っていたら全然違った。最近見た中で一番。