容赦がない。
無垢な女を運命と時代と男が、際限なく下へ運び続ける。
次第に、若さ故の美貌も無垢も剥がれ落ちて、そうなってしまったら居場所はもうない。
現代のルッキズムへのアンチテーゼになってる。
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ひとりの女性の受難史。悲劇的な物語やカタルシスとして包摂することのできない感情を排した冷徹さと慈悲の同居、全編を貫く圧倒的な無常観
カメラは説明することも救うこともせず、ただ流転する生を見続ける、そ…
これまでは、年齢のいった田中絹代を無理やりお姫さまに仕立て上げる作品が多かったゴテ健であるが、本作品では絹代にはじめて汚れ役を演じさせている。溝口健二と田中絹代が単なる映画監督と女優を超えた関係であ…
>>続きを読む溝口健二は「女」を描く映画作家だといわれるが、この表現では不十分だ。彼は「気高い女」の映画を作った。本作にあっては、その「気高い女」とは田中絹代のことである。
上流階級に生まれながら、不幸の連続で街…
溝口健二の魅力の一つとして分かったことは、人(特に女性)を悲劇の中に位置づけ、その悲劇性を真正面から描き出すと同時に、その中でも気高く、絶望を跳ね除けようとする人間讃歌を、それがはっきりと表れるショ…
>>続きを読むお春さんのとんでもなく不幸な物語
不幸すぎてありえなさすぎる展開ではあるけど古典劇ということでさほど違和感なく受容
映像がちょっと乱れてたり常にノイズがあったりしたのでデジタルリマスターしていただき…
封建制度下の江戸時代を舞台に、運命に翻弄され悲劇的流転の人生を歩んだ女性の一生を描く。
宮仕えからの洛外追放に始まり、松平家への嫁入りと放逐、遊郭の太夫、呉服屋の女中、扇屋への嫁入り、寺の尼、物乞…
街娼となった女が過去に想いを馳せるという構成から、少なくとも死ぬようなことがないことは保障されているけれども、それにしても凄惨に過ぎる。自らの本意を果たすためならまだしも、ただ流され、嬲られていく女…
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