クリーン、シェーブンのネタバレレビュー・内容・結末

「クリーン、シェーブン」に投稿されたネタバレ・内容・結末

妻が他界し精神病院に入院していたピーター。
愛娘との再会を願い
母の待つ故郷へと戻るが娘は里子にされてしまい行方知らず
養女にだされてしまった娘の探す旅に出るピーターだったが
彼のゆく先々では幼女の殺害事件が起こっていた。




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        ネタバレになるので
↓  作品が気になる方は閲覧しない方がいいです。 ↓





鬱々とした淀んだ雰囲気
情緒不安、幻覚や幻聴に苛まれ
妄想に憑りつかれる精神を病んだ男
新聞紙で窓を塞いだり
頭に埋められた電波を取り除くためハサミで頭をえぐる様や
爪を剥がす描写が痛みを感じるぐらいリアル。
見ているこっちまで
痛たたたたーーーーーーっ!!!叫びそうになる。
切ないお話なんだろうけど
心がそこに到達しないぐらい痛みの残像が凄かった。
精神病院から出たばかりの重度の精神分裂病(今の名称は統合失調症)の男が、引き離された娘を写真だけを頼りに探しに行く。
そして同時期に幼女連続殺人事件が起きる。

何者からか罵倒され、暴言を吐かれ、絶え間なく複数の声が聞こえる。何者かに見張られてる。外には自分を狙う人殺しがいる。頭に何か埋め込まれている。視線が怖い。鏡が怖い。

そんな症状を第三者目線で観る映画は数知れずあるが本作はあくまで主人公視点ゆえに、現実なのか、幻覚あるいは幻聴かがわからず、観る者の精神も抉ってくる。
プレッシャーに耐えきれず、図書館で棚を永遠と揺さぶり続けたり、車のガラスや鏡に新聞紙を貼り付けたり、突然爪を剥がして指を抉ったり、そんな奇異な行動のせいで近隣の人たちに怪しまれる。
連続殺人事件について追いかける刑事と同時進行していくのだが、もちろん主人公は疑われ実家で彼の母から生い立ちを聞き出す。(ちなみにこの刑事はかなりクズ)
主人公は船で暮らしていたらしく、元々痩せているのに突然急激に減量し出した時のビフォーアフター写真の表情の変化がかなりやばい。演技と思えぬほど狂気じみてる。

娘は若い女性の養子として育つがかなり捻くれていて全く笑顔のなく、義母を本当の母ではないからと甘えたりしない冷めた子供。
やっとの思いで娘の元へ辿り着いてからクライマックスまでが特にお気に入り。
一人でブランコで遊ぶ娘に、本人なりには身なりを整えたヨレヨレの格好で「パパだよ」と声をかける。明らかに怪しいのに何かを察したのか警戒をせず耳を傾ける娘。
「一緒に遊ぼう」「いいよ」「今からビーチに行こう」
そう言ってシートベルトすら壊れて使えない新聞紙まみれのボロ車に乗ってビーチへ向かう。車内では今は亡き妻の話を娘にしどろもどろで話す。
次のシーンでは娘は見たことのない笑顔で主人公と戯れている。もう完全に娘は心を許している様子。
娘に「病院で頭の中に受信機を入れられ、爪の中に送信機を埋め込まれた。まだ頭の中に受信機があるけどじっくり考えたら取り方がわかる。知ってる?」はかなりのインパクト。いやそんなん知りませんわ…。
しかし娘は若干引きつつ「ラジオかな?」と話を続ける。ツワモノや。

なんだかんだしてると刑事が現れ、状況を確認せず主人公を撃ち殺してしまう。もがき苦しみながら「パパは大丈夫だよ…、奥に行ってて…」と…。
あああ辛い…。
刑事は車を物色すると証拠などは一切なく、ただ娘の写真や剥がした爪が出てきただけ。つまり主人公は犯人ではなかった。
ここがモヤモヤする部分なんだけど結局真犯人は見つからず物語は終わってしまう。

船の無線に向かって「もしもし?パパいる?ねえパパ?」と問いかけ続ける娘のラストカットで号泣してしまった。
どんなけ気が狂っててもあの子にとっては唯一の肉親であり父親なのだから。



電波系というジャンルはよくわからないのですが、精神病院で働いていた母曰く、重度の統合失調症の大半は『電波』『電磁波』『レーザー光線』を出されていると言うらしい。ここまで来ると何らかの陰謀が絡んでるとしか思えないレベルで不思議。
普段は普通に会話も出来るし変わった部分はないのに、突然スイッチが入ったかのように「!!包丁持った奴らが追いかけてきた!見えるでしょ!?奴らがきた!殺される!」と騒ぎ出し、そいつらを振り払おうとして凶器を振り回したりするらしい。それ所以、周りはそんなもの見えてないから気が狂ってる怖い人に見えて通報するとのこと。(ほとんどの人が通報歴あるとも母が言っていた)
本作の主人公もヤバイ暴言を振り払おうと棚を揺さぶっていて通報されていたから、かなりリアルにこの疾患を描けていると思う。
【精神分裂症を疑似体験させる】という宣伝のフレーズはあながち間違いではない。そのフレーズも多分現代社会ではギリギリアウトな気がしないでもないが。(そもそも統合失調症に名称変更したのも差別的だからとかそんな理由ははず)
“眼球を突き刺し、神経を掻きむしるサディスティックシネマ”というキャッチフレーズは過剰な気がするけど、この映画が円盤化されないのもわかる気がする。
現に感想を見ていると「これが本物のサイコパス映画」とか「気分が悪い」とか散々言われてるのをみるけど個人的には面白くはないが、深く心に残る映画だった。病気を理解しろとは言わないが、許容してあげてほしい。誰がいつなるかわからない。世の中にたくさんいる病気の症状を「不快」の一言で終わらせてほしくないなぁと思う。


あとなんとなくですが、この主人公の俳優がエディ・レッドメインとガエル・ガルシア・ベルナルを足した顔をしててとても好みでした。
ロッジ・ケリガン監督による異色作。独房のような精神病院を出た、パラノイアに憑かれた青年ピーターの静謐な狂気を描いていくのだが、悲鳴や会話などの音声が唐突に挿入されるため、まるで狂気の人の頭の中を覗き観ているような感覚がある。
 ピーターには、亡くなった妻との間に一人の娘がいるのだが、祖母が養女として出してしまったがために、今は彼女を引き取った若い女に育てられている。ピーターは彼女を求めて新聞紙を窓に大量に張り付けたボロ車でさまようが、どうやら彼は道行く先々で少女を惨殺しているのだということが、明らかになってくる。
 非常に印象的なシーンなのは、図書館で各国の子どもたち載った画集を閲覧するところである。子どもの声がピーターの頭に鳴り響くのだが、彼の中では「子ども」への以上な執着がオブセッションになっているのだとわかってくる。
 特に目を背けたくなるのは、VHSのパッケージにもなっているバスルームで自分の頭皮をハサミで傷つけるシーンと、ナイフで自分の爪を抉りとって、突き刺すシーンである。このヒリヒリとした痛さが台詞の少ない静けさの中で際だって見える。彼は病院で、頭には小型の受信機、指には送信機を知らぬ間に取り付けられたのだと思いこんでいるのだ。
 やがて、ピーターは実の娘ニコルと再会を果たすが、その頃には、少女連続殺人事件を担当しピーターを追う刑事の手が迫っているのだった……。

 主演のピーター・グリーンの狂気、接写、幻聴の演出が冴える。静かな静かなあやうさ。