春婦伝の作品情報・感想・評価

春婦伝1965年製作の映画)

製作国:

上映時間:98分

ジャンル:

3.9

「春婦伝」に投稿された感想・評価

半兵衛

半兵衛の感想・評価

4.3
鈴木清順としては真面目に戦争映画を撮っている印象(かぶいているショットはある)だが、それ以上に狂おしいまでに愛する男への想いを貫き通す野川由美子の熱演に圧倒される。野川の演技も素晴らしいけれど、それ以上に美しくまるで女神のようで、彼女の一挙手一投足に眼が釘付けになる。そして彼女の暴走が戦争の虚構をつぎつぎと暴く。一方で相手役の川地民夫は終始おどおどしていて、割りを食っている感じに。むしろ野川を愛人にしている川地の上司役を演じている玉川伊佐男のサディスティックな悪役ぶりが素晴らしく、野川と玉川の絡みが鈴木清順が好む異常性愛の世界を見事に体現している。

みんな言ってるけど、野川由美子が砲弾飛び交う戦場を走り抜けるシーンは映画史に残る名シーン。
感情が破裂してキチガイのような女が戦火に飛び出し無数の爆発のなか一心不乱に走っていく、戦争映画というジャンル、メロドラマという枠組みからどれだけ抜け出せるか、戦争での男と女の悲劇を「映画」なんぞで簡単に消化させてたまるかという鉄の意志、感動させてたまるかおめおめと泣かせてたまるか、終盤の暴力的なまでの砂嵐、野川由美子の歓びと共にある強い顔。戦争で死ぬのは男だけではない、女も覚悟をもって死ぬ。素晴らしいね。
花子

花子の感想・評価

2.0
日中戦争の恋愛映画。当時代の他の戦争映画より現実的に軍人生活が見られるが、現実的なことが鈴木清順監督の得意点ではないので少し詰まらなく感じた。
ENDO

ENDOの感想・評価

4.2
慰安婦、つまり春を鬻ぐ女の家業。愛する男に裏切られ『コロス』から始まるオープニングの壮絶さ。諦観から死ぬ事はなく生きる選択をした女の人情の深さ。川地民夫演じる三上の純朴さは洗脳により死への悦楽に充ち巻き込まれて死ぬ女の辛さ。折角生きようとしてもクソくだらない権威の為に死ぬる。一人でなら何処まででも逞しく生き延びる事ができたはずなのに。最前線で恋人を救出し、全てのしがらみを捨て亡命した宇野との対比。消された状況と倫理観。戦争については決して当事者にはなれないのだからこそ戦争の愚かさについて語る経験者に傾聴すべきなのだ。解体し尽くして得た答え。唯生きるのではなく、切実に生きよう。ズラウスキー『ポゼッション』ばりの阿鼻叫喚。
堊

堊の感想・評価

4.3
マジで噂の横移動が凄まじすぎるがその後の捕虜川地民夫にパン→ドリーズームみたいなのもヤバイし、ラストの方の砂漠切り返し本当にすごい。こんなにかっこいいスローモーションもはじめてみた。鈴木清順の女性視点(悲秋物語、ピストルオペラ)はいつだってかっこよくて壮絶だがスマート。スプリットスクリーンにアニメーションまでやってる。雨の場面が多くて岡本喜八の『肉弾』を思い出した。
notitle

notitleの感想・評価

4.2
戦時中、中国にて従軍していたある慰安婦と、彼女を贔屓していた副官の、生真面目な当番兵の激しき愛やら命の話。真面目が故の、激しき葛藤の連続。全てを投げ捨て走る姿が、ハッとする程に凛々しく力強い。それでもやはり、人の命は儚くちっぽけなもの。
これ観た人にアンケート取って 「一番印象に残ったシーンは何ですか?」 って聞いたら多分全員 「戦火を駆け抜ける野川由美子」って答えると思う
アノ

アノの感想・評価

4.7
この野川由美子演ずる春美という女は映画史上最高の女と言っても過言ではないだろう。
閃光と轟音のほとばしる戦場を駆けていく姿はどうかしてるほど美しい。
川地民夫に殴られて泣く、洞窟で歌い出す、最後のストップモーション、あらゆる術で形作られていく愚直な美しさに感動した。
閃光と砲撃のなか戦場を走り抜けて行く野川由美子を捉えた、横移動撮影で泣かない人がいるのだろうか。傑作

@神保町シアター 35mm
マ

マの感想・評価

5.0
花火みたいな戦火の中を走り抜ける野川由美子!一生忘れられないシーンの気がする
>|