マイ・シネマトグラファーの作品情報・感想・評価

「マイ・シネマトグラファー」に投稿された感想・評価

「アメリカングラフティ」「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」「カッコーの巣の上で」(←この作品は途中降板させられている)
など、数々の名作映画のカメラマンを担当していて、アカデミー賞を二度も受賞した伝説的カメラマンのハスケルウェクスラーのドキュメンタリー作品。
面白いのが、このドキュメンタリー作品を撮影しているのはハスケルの息子ってこと。
なので親子喧嘩(ケンカというか息子が一方的に怒られてるだけ)が撮影中も耐えない。
オープニングシーンから、被写体である父親にめちゃめちゃダメだしされているカメラマンの息子がなんだか不憫(笑)

映画途中で息子はお父さんに撮影方法について何回もダメ出しをされてるんだけど、やはり伝説的な撮影監督なだけあってほとんどハスケルが言ってることが正しいので、「息子よ、頑張れ!」って応援したくなってしまった。


そして、この作品でインタビューする相手は豪華メンバーばかり。
インタビュアーが有名カメラマンの息子なので、やはり普通のインタビューと違って返ってくる答えが面白い。
これにはダメ出しばかりの父親も褒めたのではなかろうか笑。


映画関連のお話ばかりじゃなくて、政治の問題もたくさん絡んできて、「カッコーの巣の上で」を降板させられた理由なども判明して(まぁこれは真実かどうかは不明なんだけど)、映画ファンとしては十分に楽しめた。


やはり天才は癖があって、大変なんだなぁと。
私が監督なら、ハスケルは使いたくないなぁ。
監督業務に口出してきて役者との関係がギクシャクなるなんて地獄絵図すぎるもん!


天才は不器用な人が多い、父親になっても不器用なまま。
不思議な親子の絆を感じた作品だった
オールド・ムービー・ファンであれば一度は聞いたことのある名カメラマン、ハスケル・ウェクスラーのドキュメンタリーです。

“Tell Them Who You Are” という原題の通り、“あんた、どんな人なのか、ちょっと話してよ” というコンセプトで、息子であるドキュメンタリー作家のマーク・ウェクスラーが監督しております。 何が凄いかって、インタヴューを受けている人たちの豪華なこと! いちいち名前は列記しませんが、これだけ錚々たるメンバーがマーク・ウェクスラーを語っているということは、彼の業績がどれだけ映画界に影響を与えているかの証明だろうと思います。

良いカメラマンだったってのは知っていましたが、この人のキャラクターが本当に面白い。 ある意味、メチャクチャです。 本来であればどこにでも居るカメラ小僧だったんでしょうが、幸か不幸か親が大資産家です。 普通であれば下積みからスタートする筈なんですが、碌なキャリアもない内にエクレールのカメフレックスなんか買ってもらっちゃったもんで、若い時に既にいっぱしのドキュメンタリー作家気分。 こんな贅沢が出来たからこそ 「シネマ・ヴェリテ」 も自分の撮影スタイルに出来たんでしょうが、よせば良いのに撮影スタジオまで親掛かりで作ってしまい、そして見事に倒産。 カメラマンとしての実績を作る前に、人の一生分以上のお金を使い倒してしまいました。

資産家のバカ息子で贅沢三昧の青春期を過ごした人に良くあることですが、この人も見事にサウスポー。 バリバリのコミュニストで御座います。 このドキュメンタリーが面白いのは親子の立ち位置の違いというか、関係がちょっと微妙で、それが妙にこのドキュメンタリーの味になっている所でしょうか。 親子の確執もあるようで、親父の方は息子が如何にヒドい親父かってのを映画にしようと思ってんだろうと構えていますし、息子は息子で親父と同じ仕事に付いてしまった自分のアイデンティティー探しという安易なアプローチでドキュメンタリーを作ろうとしたもんで、親父からは見事に見透かされています。

“お前が俺をこき下ろす映画になるかも知れないのに、完成する前にサインなんか出来るか” と最後まで契約書にサインしません。 息子の方は作り始めた映画なんで、どうすりゃいいんだ、って逡巡のしっぱなし。 ジェーン・フォンダには“有名人の家系に生まれた者はその事実に苦しむわ。 親の名も自分の一部と理解することが大切ね。 許してあげなきゃ、親を”なんて諌められています。 (ヘンリー・フォンダとの確執を考えると、彼の比じゃないですからね)

とにかくこの親父は名カメラマンだけあって撮影している最中もうるさいうるさい。

“お前はインタヴューしてからアングルを3度変えた。お前は天才か? それともただのヘボか?”

“彼らのコメントで、安易に私の人物伝なんか作るんじゃないよ”

“お前にとってはその程度なのか。画が必要なのか?、内容を求めてるのか? こんな映画を撮って何か意味があるのか?”

などなど、本人はドキュメンタリー作家としての自覚がありますから、指摘は半端ありません。

名カメラマン故か、どうしても演出に口を出す癖が直らなかったようで、『カッコーの巣の上で』 ではミロシュ・フォアマンとことごとく衝突してクビになってますし、“腕は確かだけど、我が強すぎて好きになれない。 もう二度と使わないよ”(エリア・カザン)、 “最悪だよ、彼は作品を自分の支配下に置きたがる。 カメラマンなのに監督の意識が強過ぎる”(ノーマン・ジェイソン) といった批判も何のその、 “関わった仕事はすべて自分の作品だと思ってる。 むしろ私が監督すべきだったと思ってるよ” と屁にも思っていません。

嫌われ者同士のいちゃもん付けという感じもして見ていて微笑まし限りですが、こういった業界の鼻つまみっぷりが見事です。(笑) アルツハイマーになった元妻を見舞う泣けるシーンがあったり、本人はなんと色盲であることもバラしてますし、それに、撮影時81歳の高齢であっても仕事を貰う努力もしていて“面接で、予算が少ないなら安くやるよ、なんて言いたいけど、そんな事は実際は無理。あなたに服従しますよ、って言うだけで精一杯だよ”なんて殊勝なことも言ってます。

カメラマンのドキュメンタリーなんてただの自慢話にしかならないだろうと想像していたのですが、いやいやどうしてどうして、なかなか魅せてくれます。 映画のバックステージものに興味のある方には必見のドキュメンタリーじゃないでしょうか。
かなり隠れた名作ドキュメンタリーを見ました。

ハリウッド映画の名カメラマン、ハスケル・ウェクスラーのドキュメンタリー。と言いたい所だが、完全なる親子のセルフドキュメンタリー!!

監督は息子がやってる訳だが…開始5秒で親子ケンカというか親父が息子の演出にイチャモン付けるという。。

そりゃハスケルは『夜の大捜査線』や『アメリカン・グラフィティ 』途中降板したが『カッコーの巣の上で』などとにかく百戦錬磨のカメラマンなのだ、ほぼほぼ素人に近い息子の撮影に痺れを切らす。

そこからだんだん見えてくる2つの事。
1つ目。ハスケル・ウェクスラーは若い時から80歳になる現在まで常にイケイケで反骨精神をもってアメリカ政治や映画のトップである監督に噛み付いたりと 取っ付きにくい人間。小さい頃から息子ともあまり上手くいってないようだ。

2つ目。とにかく息子の撮影技術がどうしようもない。ピントが合ってないのはしょっちゅうで、音声がとれてなかったりもする。極めつけが、父の仕事っぷりを邪魔しないように撮影する訳だが…父が撮影するジュリア・ロバーツの後ろで息子見切れてる!!!どうやら天然も入ってるようだ。。

ちょいちょい親父は息子にイチャモンに近いアドバイスを送り続ける訳だが、それが本当に的確で勉強になります。ついには親父が息子を撮ったりと立場逆転する始末。

まさか『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』よりずっと先にこんな逆転ドキュメンタリーが存在したとは…!!

しかし、今作の編集は最後まで息子本人がした訳だから自虐的編集と言えるだろう。。

そして2人でアルツハイマーの母親の所に会いに行ったりと、親子の距離がだんだん縮んでいくのが分かります。。

そして最後は・・・感動でした。。

ちなみに2003年の当時で80歳。でも発言もハキハキしてて運動のシーン元気いっぱいでしたが…さすがに今は亡くなってるのかな…と思いきやまだご健在でした!!!スゴイ!!
yaaa

yaaaの感想・評価

4.0
いゃーぁおもしろい。映画ファン限定かもしれんが。
伝説の名カメラマン(夜の大捜査線、バージニア・ウルフなんかこわくない、とかとか) ハスケル・ウェクスラーに迫ったドキュメンタリー。

大昔、「マスターズ・オブ・ライト」を読んでその存在を知ったわけですが、作品についてはあんまり書かれてなくてその人の生き方が書かれてたような記憶が。勝手に知性的で物静かな紳士かなと思っておりました。が、が、があ。

反体制のおっさんは死ぬまで反体制。
ふんぞり返って撮影裏話でなくて面白すぎる。
この作品の監督が彼の息子ですが、父と子がレンズを通して魂のぶつかり合いをする。その普遍的なところに集約していくのがいい感じ。
途中はハスケルに振り回されてなんの話かわからなくなりますが。
無駄に出てくる人が豪華でジョージ・ルーカスとか三木のり平チックなアーヴィン・カーシュナーとか、おならネタだけのジュリア・ロバーツとかとか。

それにしてもハスケル・ウェクスラー監督作『アメリカを斬る』と地獄の黙示録のカオスの匂いがする『ラティノ』はぜひ観たい。