サム・ペキンパー 情熱と美学の作品情報・感想・評価

「サム・ペキンパー 情熱と美学」に投稿された感想・評価

2019.9.8
熱心にみるほどペキンパーファンではないのですが、「戦争のはらわた」と「ゲッタウェイ」が好きなので、これらの作品はこの監督から生まれてきたのだと思うと不思議な感じがした。
サムペキンパー監督の関わりのある人たちのインタビューを中心に作品順に取り上げるドキュメンタリー

「どうなってる?まさか監督が眠っちまったのか、すると突然"カット"と声がしたが涙声なんだ」
夫が一番好きな映画が戦争のはらわただと言う。ペキンパーの映画のビデオが家に沢山あるが、暴力映画は苦手なのであまり見ていない。彼の生涯を知るのに役立つドキュメンタリーだった。
70年代にはもうほとんどアル中とコカイン中毒でまともに仕事ができていたような状態でなかったペキンパー。このドキュメンタリーはリアルにその実態をあらわにする。西部劇を復活させ血みどろのアクションシーンやスローモーションで一世を風靡したときのペキンパーは最高だった。「ダンディー少佐」のチャールトン・ヘストンの男前な行為は、「ボーリングフォーコロンバイン」で台無しにしてしまった。
思ったよりアッサリさらっとだが、コバーン、ボーグナイン、クリス・クリストファーソンら錚々たる兄貴たちが肉声でペキンパーを語ってくれるのが嬉しい。マックイーンのインタビューまであったのはビックリ。いかに破天荒でも生前から世間に認めさせたその才能の輝きは素晴らしい。「poor man」という一言が切なかった。しかし我らがアーニーの豪快さ。好き!「ワイルドバンチ」のエピソードよかった。
一本の作品としては面白くないが、ペキンパー作品の特典映像として捉えたら最高。

ワイルドバンチの銃撃シーンが、最初のカットだけミスで、実弾が使われてるっての腹抱えて笑った。俳優、たまったもんじょねえよ笑
びーち

びーちの感想・評価

3.5
lハリウッドに抗い続けたバイオレンスの巨匠の生涯を、様々な人々の証言で描いたドキュメンタリー。職人気質で、対人関係がうまくこなせず、酒とクスリに救いを求める姿は、何やら破滅型の昭和の文士を彷彿させる。もう後20年遅く生まれていれば。その悲運を嘆かずにはいられない。
50年代から撮ってるけど、でもペキンパーといえば主に70年代を代表する映画作家という印象が強い。即ち、負け犬たちのヤケクソな情熱と美学のバイオレンス。このドキュメンタリーで関係者が語るのは、そんな反骨と闘争心そのままの雄々しい監督像と、アルコールやドラック漬けな素顔。そこにマチズモな理想とタフになれなかった現実の矛盾を見る。そして、それが70年代アメリカのイメージでもある。
登場するのはリー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、オーレン・ウォーツ、マックイーンと男臭い顔ばかり(アリ・マッグローも結構男臭い)。彼らも映画自体も好きだが撮影裏話は今じゃアウトな案件だし、ペキンパー美学に憧れたであろう映画青年への影響もあんまり手放しで共感できないものがある(監督のバンダナ姿ってペキンパーが元祖?)。結局マチズモなロマンは敗北してしまったからこそ、美しくノスタルジックな幻想として残るのだ。
映画づくりにいっさいの妥協を見せず、気に入らないものには容赦なく罵声を、そしてスープ(笑)を投げつける…。激しさの中には他者に理解されない孤独感。
『バイオレンスの帝王』『血まみれサム』等の異名を持つ鬼才サム・ペキンパーが何者かを知るにはとっておきの一本。彼の作品をまた見返したくなった。
dude

dudeの感想・評価

4.0
ペキンパーはアメリカの神話の時代に生きた最後の世代という感じだ。彼を語るときに当時抱いた不快感を隠さない者もいれば、過ぎ去った時代そのものを懐かしむような者もいる。しかし彼の映画には誰もが圧倒された。
まるでペキンパーの映画を一本観終えたような満足感。私生活と映画が地続きのよう。人生を映画に捧げるとはこういうことなのか。
とりあえず『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』と『キラー・エリート』のDVD再販を求む。
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