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第一の敵
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『第一の敵』に投稿された感想・評価

菩薩
3.5
牛を盗んだ地主に対し直談判に行った農民が首を刎ねられ殺されたもんで、怒った農民達がこの地主を吊し上げるも、地主に買収された判事の手により逆に罪に問われる事になり…とクソみたいなお話が展開される。そこに反政府ゲリラが運良く到着し、彼等は地域の農民と親密な関係を築き共闘関係を結び、遂に憎き地主に対し復讐を果たす事になるが、この反政府ゲリラの壊滅を目論む憎き米帝がこの地に侵入して来る結果を招いてしまう。搾取の根源たる「第一の敵」とはこの帝国主義なのだ!となかなか強めの思想、チリのアジェンデなんかとは対照的なあくまで闘争による社会主義革命実現の路線、反政府ゲリラは明確に誰々と明示される訳ではないが、おそらくチェ・ゲバラ的な誰か…ボリビア映画だしね。思想ばかり前面に出てかなり荒々しい映画になってはいるが、ゲリラ闘争の敗北に対しての冷静かつ内省的な視点も併せ持つ。正直自分でもなんでボリビア映画観てるのかはよく分かっていない。
ホルヘ・サンヒネス監督。
南米のボリビアの映画。亡命中のウカマウ集団が制作を行っている。
「ウカマウ」は、ホルヘ・サンヒネス監督の初長編作のタイトルでもあるのだが、アイマラ語で「そんなことよ」を意味するとのこと。

「映画創りに特有のヒエラルキー構造を排し、集団的創造を志す彼らは、自らを『ウカマウ集団』と呼ぶようになった」(DVDブックレットより)。

昨年行われた「現代アートハウス入門」でホルヘ・サンヒネス監督の『鳥の歌』が上映され、それが気になっていたのだが観れず。だったらウカマウDVDコレクションの1からみようと本作を鑑賞。

農園主の不当な搾取や暴力を被る農民たち。一人の農民が殺されたことを契機に彼らは農園主を捕まえる。そして当局に身柄を差し出し、公正に裁かれることを望む。しかし当局は買収されており、農園主は解放され逆に農民が不当に収監される。そこにやってくるゲリラの民。彼らは農民に団結し、革命を起こすことを呼びかける。再び農園主を捕まえ、人民裁判を行い、彼を処刑する。彼らは敵を倒したと喜ぶ。
しかしゲリラ兵は次の戦いのために農民を仲間にしようとするが、数人しか集まらない。そして当局はアメリカ軍に協力を求め、ゲリラ兵を殲滅しようとする。彼らの苦しみは終わらない。第一の敵は、アメリカ=帝国主義なのである。

極めて左翼的な映画なのだが、ゲリラ兵が仲間を募ることができなかったシーンを描くことで、実際のラテンアメリカの抵抗運動にあった「負」の側面を表していることが印象的。
そしてアメリカ=帝国主義で標ぼうされる民主主義や多数決の原理、法による公正さが、アメリカに擁護される当局や農園主ではなく、農民の行動に描かれていることも示唆的である。最初に農園主を捕まえた時、当局に差し出すか、殺すかは、民主的に多数決で決定されるし、法による公正さは当局による裁判ではなく、人民裁判で実現される。それがとても面白い。

私たちは、日本という地理的、社会経済的な構造に置かれているため、アメリカ=帝国主義的な価値観を無前提に肯定している。しかし「真の」民主主義的な価値観は、すでに人々の間にある/あったし、それを暴力的に奪っている歴史にも目を向けなくてはいけない。

この映画は、実際の村人の創造的参加によってつくられた。
「真実」や「敵」を示すことに危うさがある現代ではあるが、それでも私たちが映画に創造的参加をし、社会の公正さを取り戻す必要がある。
南米ボリビアを拠点に革命映画を撮り続けたウカマウ集団の代表作(長編第4作)。ボリビアで銃殺されたチェ・ゲバラ(~1967)へのオマージュが込められた反米帝国主義劇映画。当時の亡命先ペルーで制作。

天空都市マチュピチュ遺跡。このアンデスの地でいま何が起こっているか?老人が語り始める・・・。農園主から牛を盗まれた農民夫婦が返してほしいと頼みに行った。ところが、農園主たちは話に応じないどころか夫を斬首する。首を持ち帰り泣き続ける妻を見た農民たちは激怒し判事に訴えるが、農園主と談合している判事は逆に農民たちを投獄する。その村へゲリラ部隊が隊員を募るためやってくる。事情を知ったゲリラは農民たちと共に農場主を捕え人民裁判を開く。しかし、背後にある真の敵はアメリカ帝国主義だった。。。

これほど明確な武装闘争プロパガンダ映画は初めて観た。ウカマウ集団の名はゴダール監督絡みで知っていて“難解そうな映画”という勝手な先入観があったのだが、まったく真逆の勧善懲悪的な劇映画だった。農民たちが演じ、農民たちのルサンチマンを武装蜂起に繋げようとする啓蒙映画と言える。

撮影は荒々しく記録映画風にも見える。グループショットが多用され集団の力を捉えようとする意志も汲み取れる。自主映画ならではの手作り感も感じるが、戦闘シーンなどは巧みに編集されて迫力があり、広く農民大衆に観てもらおうとしているのが伝わってきた。

物語の構図は、革命映画の先駆であるエイゼンシュタイン監督の長編デビュー作「ストライキ」(1925)を彷彿とさせる。しかし同作で描かれた都市部での闘争と、本作の南米農村部での武装闘争では、状況も絵面も大きく異なる。農園主による農民の斬首という非人道的行為に対し、ゲリラと農民は人民裁判による銃殺刑という非常手段で対抗する。即座に共感できる報復行為ではないが、処刑された農園主たちは農民への虐待と女性たちへの暴行強姦を日常的に続けていて、いかにのっぴきならない状況だったかが語られる。

最終的に物語は、農民が加入したゲリラ部隊と“第一の敵”米軍との戦闘に突入する。米軍本部はナパーム弾の使用と農民たち全員抹殺の指令を出す・・・。

平和な日本に暮らしていると本作の人民裁判による処刑シーンには、まずテロ行為への拒否感が先立ってしまう。しかしその前に、持たざる罪なき農民たちの虐殺は絶対にくい止める必要がある。ならばどうしたら良かったか?

本作はプロパガンダ映画として作られているが、結果的に武装闘争の正と負の両側面を描き出し、普遍的な問題提起を投げかけている。平和を願っていても、降りかかる火の粉に対応しなければ自らも家族も命を落とすのだ。

「今年は中国による台湾侵攻の可能性がますます高まる」との説が根強く流れている。有事の際に日本に及ぶ影響は大きく、トランプ政権からも何らかの決断を求められるだろう。用心し自分の意見を固めておきたいと、本作を観ながらあらためて考えさせられた。

※本作は日本で初めて上映(1980)されたウカマウ集団の作品で、上映会に参加した故・佐藤満夫監督は後に「山谷─やられたらやりかえせ」(1986)を撮ることになる。

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