ハナ子さんの作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「ハナ子さん」に投稿された感想・評価

mingo

mingoの感想・評価

4.2
人間万華鏡を用いた天井からのショットなど、バズビーバークレーの影響をひたすら濃厚に受けた戦後和製ミュージカルの傑作。贅沢は敵だ!とかの戦時プロパガンダ的内容も吹き飛ばすほどくらいには愉快。轟夕起子が歌う「お使いは自転車に乗って」に元気づけられたひとは多かったのではないか。出征兵士の家族は兵士を明るく送り出すべきだ!とか説教臭いメッセージではなく、サザエさんのような生きていく過程で生活の笑いに満ちたのどかな物語を通して、一貫して明るく楽しい調子で伝えられるのが本作の強みである。そして前述のバークレーの人間万華鏡演出は人間を機械部品のように扱っているせいかファシズム的な不気味さも持っていて、楽しさと不気味さが相反したとき謎の高揚が生まれるのも人間だからなのかと新しい発見を体験。検問でカットされた映像はどんな演出が詰め込まれていたか考えるのも楽しみな反面コントロールされた不気味を抱かざるを得ない。
T字の広小路に人々が集まることで、そこが舞台と化す。

アニメ『白雪姫』のアップルパイ作るシーンや『ピノキオ』を思い出させる炊事の場面。映画全体を通し過剰な陽気さの中に暗さがあるという点で、この場面の類似は見当外れではないのかもしれない。
G

Gの感想・評価

4.6
戦時中にヒットした戦意高揚映画。オープニングの長回しがすごい。登場人物を書き割りを使って紹介していくシーンはちゃんとミュージカルの違和感みたいなのをうまく使ってると思うしとても良い。
とにかく全体が不気味な陽気さで包まれてる。中でも衝撃的なのが戦地から帰ってきて足が不自由になった男の人を迎えるシーン。彼らは不安を剥奪されたかのように明るく笑顔いっぱいで傷痍軍人を迎える。結婚の時も傷痍軍人と妻を笑顔で讃え、そしてそこに日独伊三国同盟の号外、万歳三唱…彼らは不安でいることを許されない。
ラジオ体操をとらえたカメラが左から右へ移動すると、轟夕起子が体操を途中でやめて大きく走り出す。カメラはそのまま轟を追う。轟が走り着くと、そこには婚約者の灰田勝彦が立っている。増村『親不孝通り』を思い出す美しいすすきの群れだけでなく、戦時中に撮影されたという事実とはまったく無関係の決して忘れてはならないこのショットが『ハナ子さん』にはある。登戸駅で小田急線から南武線に乗り換えようとするときに誰もが通るあの通路を晴れた日に歩くときにしか感じたことのなかった素晴らしい心のうねりをもたらしてくれたこのショットを、僕は宝箱に閉じ込めてしまいたいと思う。
いつも明るく陽気なハナ子さん(轟夕起子)の娘時代の恋と結婚、そして子供が生まれ夫(灰田勝彦)は戦争へ、といった物語をとにかく明るく描くミュージカル!

戦時下のよくあるお話、それをその当時に、明るい雰囲気で作られてる、つまりは国策映画に当たるんでしょう

作品紹介のコメントで
『その度を超えたはしゃぎっぷりが異様な印象を与える怪作』
ってあるように普通の感覚で見たらかなり異様な雰囲気、テンションな映画だと思う
洗脳系?みたいなカオスな感すらある
変な踊りを踊り、でんぐり返しまでする轟夕起子
レアなもの見た感はあるけど、特に面白いってこともなく、個人的にはビミョーだった

この映画の轟夕起子か度々原節子に見えた、似てるよね?顔立ちとか髪型とか喋り方も
高峰秀子はアイドル!って感じ、とにかくかわいらしい

見たあとこの映画について軽く調べた知識
ラストが唐突?へんな終わり方だなーって思ったけど
ここだけじゃなく所々検閲でカットされているらしい
特にラストのカットはかなりヒドイ、オカメのお面でおどける轟夕起子なんだけど、それに隠れて涙が、、、とかあったらしい

何それ!めっちゃ重要シーンじゃん!見たかったわー、それが見れたら評価もまた違ったろうなー
あちゃ

あちゃの感想・評価

5.0
ススキの原が二回出てきて、恐ろしいショットを作り上げてる。馬!互い違いに懸垂ブランコ!
カーペンターや成瀬のような2人を収めた移動ショット、自転車が走る様子を捉えたトラックバック、アクションつなぎ、どれも上手い。
子供や町人がバスビーバークレー的に撮られていて、みな同じ行動を反復する。万歳三唱やら、バケツリレーやら左へずっと歩くのやら。東宝ガールズの踊りより躍動感がある
陰惨な物語を底抜けに陽気に歌い上げるマキノ節がたまらない
yoichiro

yoichiroの感想・評価

3.8
11月4日 シネマヴェーラ渋谷 「ミュージカル映画特集」
戦時下に作られたミュージカルであり、原作はマンガ。主役の轟夕起子は元々マンガのキャラのモデルでもあったというから、アテ書きみたいなもんである。とにかく、戦時下である事を余り感じさせず、歌って踊って、みんな笑顔で明る過ぎるぐらい明るい。有名な劇中歌「買ひ物は自転車に乗って」は、ハナ子さんが自転車(今ならオシャレな軽というところでしょうか)に乗ってショッピングに出かけるリズミカルな名曲。
ところどころ「適齢期の女性は傷痍軍人と結婚して、子供を作りましょう!」とか「空襲なんか怖くない!みんなでバケツリレーだ!」とかプロパガンダ臭もあるが、不自然なぐらい強い明朗さでカオスな作風になっている。それでも、完成したフィルムは当局の検閲でカットされ、特にラストが唐突なものになっている。出征する夫を明るく見送るハナ子さんがおかめのお面を被ってでんぐり返りをする異常なテンションなまま終わるが、実はお面の下で涙を流すハナ子さん、というシーンがあったとか。
三四郎

三四郎の感想・評価

3.0
かなり期待して見たので、期待ハズレだった…。
戦時中最大のヒット作品と言われている『ハナ子さん』。『ハワイ・マレー沖海戦』は、チケットをばら撒いたりして映画館に観客を動員したので、おそらくこの『ハナ子さん』が国民が「自主的に」観に行った娯楽映画と言えるだろう。
しかし、この作品がヒットし観客を集めたということは…いかにその他の戦時中の映画が退屈だったか…ということを思わずにはいられない。

自転車に乗るヒロインの移動撮影は、吉村公三郎監督の『南の風』(1942)を思わせる。1930年代ハリウッドのミュージカル映画のような演出で、一糸乱れぬ行進や踊り、新婚夫婦である轟夕起子と灰田勝彦のお惚気(のろけ)シーン(何を着て行こうか会社に電話するハナ子さん等)には楽しませてもらったが、同じ監督同じミュージカル映画で戦前の平時に作られた『鴛鴦歌合戦』と比べると、やはり面白さ楽しさに欠ける。しかしまあ、検閲が厳しくなり、笑ってばかりもいられない戦時中に作られたと思えば、この出来で納得しなければならないのかしら。

『三百六十五夜』の時は、デコちゃんにばかり目が行き、山根寿子を薄幸そうな細面の女優さんとしか思わなかったが、いや〜『ハナ子さん』を観てビックリ。綺麗な女優さんだなぁ。こんなに美人だとは思わなかった。桑野通子に似ている気がする。
mmm

mmmの感想・評価

4.2
歌を交えての家族紹介でパネルが回転するとことか、隣組の歌アレンジとかが大好き。デブの旦那と妻のやり取りが微笑ましい。
轟夕起子の開けた口に向かって、赤ちゃんに語りかけるジョークとかも笑える。

戦場へ行く旦那に対して、おかめをつけて笑顔で踊る轟夕起子に泣く。完全にプロパガンダを装った反戦映画だった。

冒頭のバークレーショットには驚いたが、いかんせん踊りにばらつきがあるのが唯一のマイナス。
イシ

イシの感想・評価

3.0
同時代の楽しいハリウッド映画をいまこの時にやってみたいなあ、って感じで撮ったんかな。藤田嗣治が戦争画でしかドラクロワみたいなことを試せなかった的なことかなあ。
結果、なんか可愛いミュージカルになってる。最後まで盛り上がりもあるし。

プロパガンダっていうけどさー、受け取る側の問題でもあるからねえってこと忘れがちになるよな。
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