やがて来たる者への作品情報・感想・評価

「やがて来たる者へ」に投稿された感想・評価

いち麦

いち麦の感想・評価

5.0
話せなくなったマルティーナだが賢く勘どころが鋭い。戦時下の大人たちの世界は、垣間見る彼女の視点で生々しく切り取られ興味を引く。終盤の残虐シーンが特異な音響演出と相まって凄まじい臨場感。彼女の顔が時々母の顔のように見え逞しいほど。ロルバケルの役処も印象深い。
小さな山村の大家族。
ブドウを育て、ワインを作り、牛を飼い、つつましく暮らしていた。
戦火がそこまで来ている。気配はだれもが感じていた。

     北イタリアの山間部。
     1943年7月 連合軍がシチリアに上陸、北上開始。
     ムッソリーニ逮捕、休戦協定の後、イタリア軍は解体される。
     イタリアは南部王国と社会共和国に分裂。  
     以後、イタリアは連合国側とドイツ側に分かれて、内戦状態になった。

マルティーナの暮らす村でも多くの若者がパルチザン部隊に身を投じていた。
彼等のレジスタンス運動に手を焼くドイツ軍。度々村に臨検にやってくる。
その都度、若者は山中に身を隠し、女子供は教会に逃れていた。

8歳のマルティーナには状況が理解できない。
ドイツ兵は優しく、パンを恵んでくれる。
そのドイツ兵がパルチザンに処刑される現場を目撃してしまうマルティーナ
  
    北伊アベニン山脈付近“ゴート・ライン”を防衛線とした社会共和国+ドイツ。
    防衛線を死守すべく、後方をかく乱するパルチザンの掃討作戦は決行へ。

1944年9月29日。
弟が産まれた。
ドイツ兵がやって来た。
いつもと違う気配。
教会に避難したマルティーナは一人家に戻ってしまう。
そして悲劇は始まった。

   “マルザボットの虐殺”
    1944年9月未明から7日間。
    北イタリア・ボローニャ近郊の山村にて、ドイツ・ナチスが行った住民虐殺事件。
    パルチザン掃討が目的だったが、殺害されたパルチザンは50名程。
    子供・女性・老人700名程が虐殺された。(一説には総数1800名とも。)

教会にやってきたドイツ兵のシーンから、凄く嫌な気持ちになりました。
からくも助かったマルティーナ。
同じく死を免れた父と姉。その後の末路。
マルティーナの行動に安堵し、切なく居た堪れなくなる。
そしてラストシーン。
その歌声は未来を光射しているかの様です。

やがて来る者へ・・・・・・
それは未来を生きる者、私たちの事。
そのメッセージ、私たちはどれ程理解しているのだろうか。
愚行は繰り返され、決意の言葉は四半世紀も持ちはしない。
mh

mhの感想・評価

-
犠牲者1800人にのぼったイタリア北部、マルザボットの虐殺を題材にした映画。
美しい農村に美しい子役を配置してホロコーストを描くという野心作。
序盤から中盤にかけては絵画のような画面が続いて、いっけん「みつばちのささやき」っぽいけど、終盤はがっつり虐殺を描くというかなり悪趣味な構成。
子ども視点だからかドイツ兵がとにかく極悪。
史実ではパルチザンをあぶりだすためという大義名分があった上での虐殺だけど、そのあたりが強調されないので自然災害みたいな扱いになってる。
スパイクリー「セントアンナの奇跡(2008)」は虐殺のメカニズムもわかりやすかった。比べると個人的に好もしいのは「セントアンナの奇跡」のほうだった。
作中、ファシストとの字幕があったので、ムッソリーニ失脚後の黒シャツ隊のみなさんのことだとおもうんだけど、黒いシャツは見当たらなかった。着てるわけないか。そりゃそうか。
生活感の希薄な美しい農村、清潔そうな廃墟みたいな絵作りって、作品のテーマに沿ってないんじゃないかなぁみたいなことを考えながら鑑賞していた。タルコフスキーみたく湿気がありそうな風景ではなく、こちらはすげー乾燥してそうだった。
しゃべれない少女という設定からある程度予想のつく終わり方はベタだった。
好みではないけど面白かった。
おぐり

おぐりの感想・評価

4.5
2020-11-1/7 ぽすれん
北イタリア、モンテ・ソーレ村の虐殺
主人公役の少女がすごい
birichina

birichinaの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

第二次大戦末期にドイツ軍に皆殺し(strage)にされた村の実話から発想を得た物語。大戦末期までイタリアの友好国だったドイツの軍隊はイタリア国内あちこちに駐屯していた。しかしイタリアが連合軍と手を結んだ日、急に敵国になってしまう。南から進攻してくる連合軍に対し、ドイツ軍はジリジリと後退。物語の舞台となっているエミリアロマーニャ州やトスカーナ州の山地が、ドイツ軍&ファシストvs.パルチザン(partigiani)の攻防の激戦地と化していた。(イタリアのパルチザンとは、各地で生まれた民間組織で、ゲリラ的に出没してドイツ軍&ファシストと戦った。) パルチザンのアジトは山の中、村人たちは自分たちの救世主であるパルチザンを支えていたし、パルチザンの活動に参加する村の若者も多かった。村人たちの結束は固く、ドイツ軍にパルチザンの居所を聞かれても決して答えなかったという。それが村人たちが総虐殺された理由と聞いたことがある。主人公マルティーナの母親も、牛小屋で脅されても口を割らなかった。おそらく最期の時も口を割らなかったのだと思う。

ボローニャの商人(最初からいかがわし奴に見えた)が連れてきた変な顔の男(「自分は勝つ方につく」と言っていた)が、村に疎開してきた時 パルチザンに入ったのに、後半でSS(ナチスの野戦部隊)の制服を着て村人を殺していた。こいつが裏切者だったわけだ。

印象的だったシーン:
*パンを分けてくれた優しいドイツ兵がパルチザンに銃殺されるのをマルティーナが見てしまうシーン
*爆音で耳が遠くなった主人公の父親が妻の死を知って、せっかくSSの手から逃れたのに、自らSSへ向かっていき殺されるシーン(娘と生まれたばかりの息子が生きていることを知っていたら、死ななかったかもしれない)
*マルティーナが誰もいなくなった自宅の中を見て回り(どの部屋にもまだ家族が生活をしていた痕跡が残っている)、弟を抱えて屋外の木に座り、かつて母が歌ってくれた子守唄を弟に歌うラストシーン(前半の心の声を除き、彼女が声を発するのはここだけ)。
*突然ドイツ兵がやってきて、パルチザンをかくまう時間稼ぎのためにドイツ兵に塩を持っていくアルバ・ロルヴァケルが、ワンピースの胸のボタンを一つ外す繊細な演出はよかった。

緊迫する殺戮シーンが後半30分くらい続き、凄惨さに唖然となり涙も出なかった。もともと弟の死で心が凍りついているマルティーナが両親、祖父母、叔母たちすべてを奪われ、さらにつらい人生を背負わされることに心が締めつけられた。生まれたばかりの次の弟が生き延びたのがせめてもの救いか。
犬

犬の感想・評価

3.5


貧しい農家の一人娘である8歳のマルティナは、弟を生まれたばかりに亡くし、それ以来誰とも話さなくなる
1943年の冬、母親が再び妊娠しマルティナは新しい家族の誕生を待ちわびる
しかし、村の周囲ではパルチザンとドイツ軍の戦いは激化していた……

第2次世界大戦末期にイタリア・ボローニャ近郊のある山村で起こった虐殺事件を描いた戦争ドラマ

少女の目線
重たい話でした

恐怖

ドイツ軍兵士との関係

村の様子がなんとも言えません
のんchan

のんchanの感想・評価

4.0
こ、これは...あまりにも惨過ぎる。
後半、息を呑み薄目で観ている自分がいた。
この作品を敢えて製作したスタッフ陣、76年前に起こった事実をしっかりと後世に伝えるべく、強い意志を感じずにはいられない。

【マルザボットの虐殺】
1944年9月29日、ヴァルター・レーデル少佐率いるSS(ナチスの親衛隊)は、エミリア州のマルザボット、グリッザーナ、ヴァド・モンツーノで住民を虐殺した。
死者は1830人。虐殺された16歳以下の子供は96人。大人が1734人。


第二次世界大戦中の1943年12月。
イタリア北部ボローニャにほど近い小さな村でも戦争の影が迫っていた。
ドイツ軍とパルチザンの攻防が激化する中、両親や親せきと暮らす8歳の少女マルティーナは、生まれたばかりの弟を亡くして以来、口をきけなくなっていた。
戦況はさらに悪化、村にはドイツ軍が出入りするようになるが、村の若者たちはパルチザンとして抵抗を続ける。

幼いマルティーナには、どちらが敵か味方かもよくわからない...
ただつましく質素ながらも平和にすごしていた村の生活が脅かされ、言いようのない不安感に押しつぶされようとしている空気が言葉を失ったマルティーナの表情から強く痛く伝わって来た。



マルティーナ役の子役は凄い美少女です。演技も素晴らしかった✨

酷過ぎる描写だらけだけど、平和ボケしている私達はしっかりと観るべき作品だと思って覚悟して鑑賞しました。


今日は父の日、我が父の20回目の祥月命日🙏
改めて命の大切さを考えさせられました。
ichita

ichitaの感想・評価

3.9
むごい。
惨たらしい。

子供目線の戦争はことさら理不尽だ。

何のために命を脅かされているのかもわからないまま惨劇を目の当たりにし、それでも主人公の8歳の女の子は生まれたばかりの弟を守るために逃げ隠れ走る。

"やがて来たる者"とは。

語り手のないストーリーなので補足情報必須です。
子供視点の戦争映画の良作だった。ずっしり重く、心が痛くなる映画。

イタリアの小さな村で起こった歴史的事件「マルサボットの虐殺」を1人の子供視点で描いてる。

序盤の心の中を表現する朗読部分以外マルティーナのセリフがない。にもかかわらず、彼女の「視点」で語るこの映画、ものすごく不条理・恐怖が伝わる。

反面、子供ならではの視点もピュアなゆえ心が痛む。たとえば、怖いはずであるドイツ人でも
彼女にはフツーの大人にしか見えない。なのに、なんで銃をもってるの?とか。

戦争映画にもかかわらず映像がすごく詩的な感じがしたり、美しい風景画のような感じがするのは、もしかしたら単にファンタジックな映像を差し込んだのではなくこの少女の視点の映像だから、少女の想像と共に美化された、少女の思い出の中にある美しい村の風景を投影してるんじゃないかな?と思ったりもした。

それくらい、戦争映画とは思えない美しい風景が広がっていた。虐殺の描写があるにもかかわらず。
ラストは感動というか…心が痛みます。

悲劇にはかわりないが、どちらを善としてどちらを悪とするような描き方はされていない。

少女目線の「なぜ!?こんなことをするの?」的な悲痛な心の叫びが胸に突き刺さるような映画。

重たいけど、おススメ。
akemi

akemiの感想・評価

3.5
戦争は人をおかしくしてしまう。
戦争モノはちょっと苦手・・・
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