喜劇 爬虫類の作品情報・感想・評価

喜劇 爬虫類1968年製作の映画)

製作国:

上映時間:91分

ジャンル:

3.6

「喜劇 爬虫類」に投稿された感想・評価

グラマーな外人メリイ・ハローが目玉のストリップを経営する通称ワニ(渥美清)・ヘビ(西村晃)・カメ(大坂志郎)の仲良し3人組。
欧米コンプレックスを金髪スターに重ね、男性の欲望を刺激する。お待ちかねの"ふるさと"に、男たちの頬も弛む―。
メリイのヒモであるトカゲ(小沢昭一)も現れて、事態はトンデモな展開に。

お得意の渥美清の顔いじりが面白い。
警官「おめえの目は開いてんのか?」
渥美「これで目一杯なの!」
警官「…おう、それはごめん(神妙)」笑。
や、
ヘビに「なんだそのカバが下駄食ったような顔は」笑。

サスペンスな展開になってもシリアスな芝居に違和感がないので、やっぱ喜劇ができる役者は演技が上手いんだな。ズッコケ3人組がトカゲを毒殺や電車で轢き殺そうとするも、あっけらかんと戻ってくる展開はクドカンの「鈍獣」ぽかった。

新たなスターに目を輝かせる袖の奥の三人の姿が、男の単純さと悲しさがよく表れたショットで好き。ヤクザな商売に身を置く渥美清が新鮮、そして小沢昭一は完全に役得。
パツキンボインチャンのメリーにストリップ巡業させ、そのおこぼれにあずかる男達の珍騒動。
爬虫類より寄生虫とも言うべき男達に渥美清さんや西村晃さん等、芸達者が揃っているので見てるだけで愉しい。時代背景も興味深い。

役者さんは愉しいけど…題名に「喜劇」とか「おかしなおかしな」とかつく作品は大抵それ程でもない。これもそう。甘いチョコだとぱくついたらミント味だった「う〜ん、これじゃない感」はある。
だけど好きだからしょうがない。
HACHI1965

HACHI1965の感想・評価

4.2
今時のご時世には貴重となりつつあるストリッパーのメリーハローにすがりつく(四人のヒモ)に焦点をあてた作品、出演人の顔ぶれもさることながら劇中使われるフレンチポップな楽曲がテンポよく飽きる事なく鑑賞できる日本ならではの喜劇。
爬虫類ってタイトル、個人的には好きなセンスです

一つ、おお!ってなった伏線回収があり笑ってしまいました。さすが喜劇っす。渥美清を見てるとやっぱあのシリーズを見たくなりますね〜。自分は第1作のみ見ているのでジワジワ見ていこうかなー、とか思う感じの気分になるあの存在感は健在。もう少しクスクス笑えるといいんですが、当時のオトナの空気感を色濃く反映してるでしょうし、当時見た人には刺激的だったのかもしれませんね。
青二歳

青二歳の感想・評価

4.7

このレビューはネタバレを含みます

渥美清が好んだ渡世人稼業。今作はストリップのドサ回りを取り仕切る"自称インテリ"座長を好演。序盤は素直に喜劇だがラスト笑えない。ストリップ座の連中、彼らみんな戦争を引きずって生きている。1968年製作にして。

主題は一見すると、アメリカ女性を目玉にしたストリップ座のなんとも下衆で滑稽な珍道中。それに加え渡世人それぞれの悲哀と、爬虫類よろしく低血な、何かに麻痺した有り様…というところ。
「もしかすると人間はー爬虫類なのかもしれません…」

でもその悲哀が人情モノで済まない。よくあるシナリオでは、渡世人というのは不器用で、ひとが良いもんで他の人より要領が悪く割りを食う、そんな愛すべき奴らが出てくる人情モノになりがちですが。
キャクターが立ってるので、コメディとしては旨味があるものの、いまいち焦点がボケ気味だな…という印象が先に来るかも。

…実はこの渡世人たち、3人+1人はそれぞれ戦争を引きずったまま"戦後"に生きている。こうなると戦後というものは存在しないんですね。むしろ戦争の最中である方が救われるかもわかりません。

以下は設定。
渥美清演じる座長"自称インテリ"、通り名は先生。実はほんとに中学校の数学教師というキャリアの持ち主。
"特攻崩れの用心棒"、通り名はソロモン。なんでソロモンかと思ったら元帝国陸軍。ソロモン戦線帰還兵。復員後はヤクザ一家に足を突っ込んでいた。
"アメリカかぶれの雑用係"、通り名メリケン。なんでもアメリカがすごいと思っていて、その卑屈さと思考停止に気付いてもいない。
"欲求不満の元フーテン"通り名坊や。これは戦後世代。ベトナム戦争の戦況を追い、アメリカの欺瞞を笑う。一方"戦争"への強い歪んだ憧憬を抱く。いや、もはや歪んでるのでは無いのかもしれません。

そもそも、アメリカ女性を目玉に置いた一座というのが今見ると、いや多分当時もよっぽど滑稽。
どうも座長はこのアメリカ女性を見出す以前も、バタ臭い顔立ちの日本女性に、髪を染め青いコンタクトレンズをはめ"メリケンショー"なんぞやっていたらしい。
どうして彼は、また観客はアメリカ女性を有り難がるのか?…白人コンプレックスで済まない衝動があったんですね。アメリカ女性でなければならない動機がある。
このラストの開陳を受けて、この映画の背景が明らかになります。


1968年(男はつらいよ第1作の前年。寅さんを思わせる座長の話術秀でる口上はさすが渥美清)。
戦後20年を経て、この映画が作られたことの重みを感じます。戦後というが、戦争を終われない人がいて、戦後の変わり様に追いつけない人がいる。
そして新たなベトナム戦争がまた象徴的。
OPのボサノバなBGMを聞いて、寅さん版黄金の七人みたいなの期待してたら、こじんまりしたセコセコ話でチトがっかり。でも憎めない渥美清、西村晃、大坂 志郎のダメなおっちゃん達のグルーブ感が意外に心地良い。「女の裸は男の故郷」
ところどころは笑えるんですが、感情移入できないせいかストーリー展開についていけず... 何だか惜しいです。