ガートルード/ゲアトルーズの作品情報・感想・評価

ガートルード/ゲアトルーズ1964年製作の映画)

GERTRUD

製作国:

上映時間:112分

ジャンル:

4.2

「ガートルード/ゲアトルーズ」に投稿された感想・評価

先週2月3日は最高の映画監督の一人カール・テオドア・ドライヤーの129回目の誕生日だったということで、他の長編差し置いてこの遺作について書くのは少しどうかとも思いつつ、やはりドライヤー作品の最高傑作といえばこれなのでどうしても書きたくなってしまったからしょうがない。

ドライヤーの長編作品はどれも厳粛な映像美と抑制された演出が素晴らしいものとなっているけど、この作品は舞台のように長い1シーンや流麗な長回しの為に際立って優美な映画に仕上がっており、この極上の芸術作品の前ではベルイマンやブレッソンらの名作ですら霞んでしまう。

そんな作品の秀逸さのおかげで、定期的に何度も見返したくなる魅力が備わっていて、見る度に恍惚とさせられ時間の概念を忘れる程画面に釘付けとなるが、ここまで繰り返しその美を堪能したくなる映画はそう無いだろう。

兎に角この秀でた美しさの為、100点満点中1億点を付けてもお釣りが来るくらい満足感の味わえる作品で、文句無しのオールタイムベスト、いやむしろオールタイムベスト中のオールタイムベストとも言える最高級の映画だ。

しかしモノクロでこれだけ美しい作品を手がけたドライヤーが結局カラー作品を世に遺さなかったというのはジャン=マリー・ストローブが言ったようにあまりに残念なことで、おそらくタルコフスキー的な映像芸術になっていたであろうことは容易に想像がつくが、それだけにその美しさを味わえないというのは重ね重ね残念至極に思う。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.0
‪「ガートルード」

‪冒頭、室内に男女の姿。囀り聞こえる山水の中、接吻し愛し合う2人。ピアノを弾き、歌を唄う。愛は不幸、渇望、愛人、今、深い愛を知らない若きピアニストに傷つく1人の女の人生が映し出される…

本作はC.T.ドライヤーの遺作にしてヴェネチア国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞した1964年デンマークの作品で、セーダーベルイの原作を独自にアレンジして、彼が撮り続けてきた女性の偉大さを本作でも存分に発揮している。

前作の奇跡以来9年ぶりの作品の本作は彼が得意とする長回しやフレーム内に収まる役者や小道具を限定的な空間で表現している…がやはり前作の奇跡が余りにも素晴らし過ぎた為、個人的にはもっと奇跡に見られた神秘性や蠱惑的な映像表現が欲しかったが、

無論ガートルードも初期作からのドライヤーの変貌を強く出してる一作で良い。

作品ごとにスタイルが変わる彼の拘りやその題材における必要不可欠な素材で撮る姿勢は古典的な作品には多く見受けられて来た。

そんな中、本作は演出もさながら役者の芝居にも注目していきたい。

まず最後の晩餐の名画の様な俳優の佇まい、言わば登場人物らが向き合う事を拒否し、只管我々観客に姿を曝け出している。

それは想定線を交わらせる事が無く、会話の不全状態を表してる点は評価できるポイントだ。

更に60年代の吉田喜重作品に多く見られる鏡を扱った効果をドライヤーもここで用いられてる。

そして今思えば彼の作品の主人公には女性が多い事にも気付かされる。

いや〜久々に見返すもやはり画面が光による白さが際立つ回想シーンや野外でのこれまた夏の光の自然光が活かされた画作りは凄く、

こんなほぼ室内劇で幕閉じる作品で演出に力を入れてるのは流石はドライヤーだ。

それにまたしても室内の最低限の家具や美術、部屋の構造を固定ショットで映し出すこの素晴らしい画は最高である。

にしても撮影当時ドライヤーは75歳との事…こんな歳を重ねてもこの映画を撮る姿勢、まだまだ冒険心を求めていく彼の作家性には感服する。

だが毎度ながらにドライヤーだけでは無く、一流のスタッフの貢献もきちんと称賛すべきである。

例えば前にも話したが撮影のH.ベンツェンが作り出す室内の特性を利用した演劇的効果を上げる撮影技術やリアリティを追求する長回しからの固定ショットの数々、役者を見詰めるカメラの位置、絵画の様な一面を作るフレーム等、兎に角凄いのである。

また本作の主人公を演じたN.P.ローデの演技は凄まじかった、それは苦悩や葛藤、愛への渇望を見事に演じきっていた。

他にも出演してる作品を知りたくてフィルモグラフィー覗いてもどうやら情報は無く、本作が唯一の主演かつ最後の映画出演になっている様だ。

不倫相手のB.オーウェのハンサムにも驚いた。

他に何でてるか知らないが…

さて、物語は政治に野心を燃やす夫に飽き飽きした妻が若きピアニストと恋仲になるも、若気の至りか、愛をそこまで分かっていない彼に対して彼女は傷つく…

話は愛へと展開していくが…とネタバレ防止で話すとこんな感じだが、かなりお勧めできる彼の最後の一本だ。‬
意味がわからない、頭で納得することができないが、いまさらになって涙がポロポロでててきた。

才能の有無に基づく価値判断は相対的であるから、どうあがいても凡庸からは逃れられないとは蓮實の言葉だ。

じじつ、カールドライヤーは上手いに決まっている。元彼の詩人がいる前で、旦那がゲアトールズにキスをする残酷な場面や、老いたゲアトールズと幼馴染の男の別れを内側からの切り返しだけで描いてしまうのは凄いことだ。

祝賀会のカット割りもまた、移動撮影で全体像が把握できるもののイマジナリーラインはカットが変わる毎にずらされる。

ゲアトールズは徹底蛇尾、男たちから見られる存在としてスクリーンに現れる。彼女がプレゼントされたという鏡はその印象をより強める。それが我々の視線を導いているのは明らかだろう。

マイクシャドーが3回ほど映る。画面の奥の湖畔や暖炉の炎の揺らめきも美しい。まだ、カールドライヤーは早かった。
lag

lagの感想・評価

4.9
我が魂に手向ける。
yadakor

yadakorの感想・評価

2.0
ただの熟年離婚の話
女心の名のもとに住む世界が違うとか言ってさも意味ありげに語るが、その実理性が性欲に負けただけのことである
中年のおばさんが「私は他の唇を求める唇よ」とか言ってんの相当キツい

自分と目の前にいるだれかで行われる会話って退屈しないけど、知らない人同士の会話ってどうしてこうも退屈なんだろうね、不思議

演出や構図はとくに響かなかったが、好きな人は好きだと思う
AS

ASの感想・評価

4.4
積みDVD消化。

「愛は苦しみ。愛は不幸。」一人の女性を取り巻く愛の終焉。断絶される視線。扉を閉めることで孤独を選択した女。
それでも尚ドライヤーは声高に宣言する。「愛こそが全て」であると
大野

大野の感想・評価

5.0
女性観がしっかりしている監督はやはり信頼できる。
Qbrick

Qbrickの感想・評価

5.0
人生の一本。

たった1つの鏡のショットでその後の世界を全てゲアトルーズの内面と同化させる。
簡潔かつ厳格なドライヤーの完璧な構成力。ドア、窓、絵画、タバコの煙からピアノの音色まで全てがゲアトルーズの夢に繋がっていく。愛への渇望と情念の結晶。
Seba

Sebaの感想・評価

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すんげえ芸術的っていう言葉が似合うと思う。
もしくは、Unlovedの原型、みたいな
嫌いじゃない、好きだけど、入り込んだりしないやつ
たまに目が合うとき本当にビクッとする、恐っって
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