ミカエルの作品情報・感想・評価

「ミカエル」に投稿された感想・評価

甲冑

甲冑の感想・評価

5.0
これはキャリア前半の到達点であろう。蓮實センセは素晴らしすぎて一気に見れず味わいながら見たら丸一晩かかってしまい朝日の中で「ドライヤーこそ至高の映画監督」と実感したみたいな事を何かで書かれていたが(うろおぼえ)わたしも見終わった頃には激しく同意し目が見えたり耳が聞こえたりする事に普通に感謝した。
lemmon

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4.6
ミカエルの放つ色気に惑わされ、彼の行動から周りが、特にミカエルを溺愛する富豪の巨匠画家ゾレの命が少しずつ剥がされていく様。


物語はこれまでも観たことのあるものではあったが、削ぎ落とされた演出と音楽、それに間接的なシーンが想像力を掻き立たせられ、観ている間、ずっとゾクゾクしていた。

凄味を見せたゾレ役の俳優も良いが、やはりタイトルロールのミカエルが凄かった。女優ばりに美しく撮られ、上目遣いの色っぽさったらない。自分男なんだけどね😅。
(この美少年が20年後の「救命艇」の汚ねえドイツ人なんだから驚く🥴)

ドライヤー2作目だが「ガートルード」とは違い怒涛のカット割がこれまた効いていて、複雑に交差する登場人物たちの想いがこちらに迫る。


絵画の対比も面白い。
灯火となるラストのゾレに悲涙。が、これまた美しく感じる。


需要と供給。
バランスが崩れると一方的になるもの。
富豪に可愛がられていたミカエル。
満足は果てない。
ラストは現実的。そんなもん。
怒涛の切り返し映画。
執拗な速度/回数の高速切り返しで示される、超絶美青年ミカエルによる"ゴゴゴゴ…"と擬音が鳴りそうなほどの女性凝視にビビる一方で、病床に伏した老画家が、自らを孤独の果てに追いやった── 地理的には遠く離れているはずの──若き男女を死の間際に千里眼的に見据える…というタガの外れたラストの切り返し演出に泣く。

2020/08/02
ドライヤー監督作@ドイツ。脚本はテア・フォン・ハルボウとの共作。ベンヤミン・クリステンセンが美少年ミカエルを溺愛する画家に扮する。作り込まれたセットと人物の表情を捉えたショットがドライヤーっぽい。
『裁かるゝジャンヌ』ほどの緊迫感は無いし、『奇跡』ほどの崇高さは無いし、『ゲアトルーズ』ほどの厳密さは無いけど、この時代の映画として最高峰の出来なんじゃないか。
ミカエルの行動はマジでやばいと思う。
zhenli13

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3.7
柳下美恵さんのピアノ伴奏で。

一方通行の愛は相手を偶像化・聖人化する。実際は狡猾で通俗的な相手であっても、愛にしがみつきたくて清らかで神聖な像に仕立ててしまう。
やっぱり長生きしたくないなと思った。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.0
‪「ミカエル」‬

‪冒頭、巨匠と知られる画家クロード・ゾレ。
若き画家ミカエル、自分の絵のモデル、ザミコフ伯爵夫人、肖像画、目を描く事ができない、孤独、大作の完成。今、芸術家の愛と死を映す…本作はデンマークの印象主義、自然主義文学を代表する作家ヘアマン・バングの自伝的な小説を映画化した作品で、ドライヤーが1924年に監督し、この度初鑑賞したが素晴らしい。

まず、遺作である「ゲアトルーズ」の終わり方にすごく似ているような気がするのは自分だけだろうか…

まさか北欧の作品で埋葬方法に畑を選ぶなんて想像もつかなかった。

先程言ったタイトルと同様に人間の存在を我々に見せつける言わば"記憶に残らす方法"を映し出している。そこに美的世界が垣間見れる。なのでミカエルを好きな人はきっとゲアトルーズも評価すると思う。

本作は冒頭から引き込まれる。
美しい家具に囲まれた部屋が映る。そこで食卓を楽しむ人々たち。突然死の話になる。クローズアップが目立つようになり、建築家のフーゴー・ヘーリングによる視覚的側面やモダニズム建築が際立ち始め、美術世界を黒の基調で作り上げた上で、白い対象を際立たす画期的な手法はあっぱれである。

野外撮影を減らして室内を映す形式的特徴は誰が観ても分かる事。

本作は兎に角、絵画展に出品された絵を観ているかの様にワンシーンワンカットが美的で、フレーム内の全ての物(彫刻、家具、人、自然など)が美しく映る…ゾレ役の監督クリステンセンがドライヤーと幾たび衝突した話を聞き、後にクリステンセンがミカエルを評価した意味が分かる…と言うか評価さぜるを得ないクオリティである。

スタジオ撮影なのにこうも美しいと人工美も嫌いになれなくなる…。

あまり言うとネタバレになるが、本作にはシンボリックな物がある…それを是非確認して欲しい。孤独、愛と死…あぁ素晴らしい映画だ。

やはりこの時代ではムルナウ、ラング、ドライヤーの3人は極めて素晴らしい作品を作ってきたが、本作はムルナウの「最後の人」と見比べてしまう…きっと皆んなもそうすると思う。

取り分けロングショットとフレームが美しく印象的な映画だ。

さて、物語は巨匠として名の知れた画家ゾレは養子となった若き画家ミカエルを我がもとに置く。ゾレはザミコフ公爵夫人の肖像画を丹念に描くも、どうしても瞳を上手く描く事ができないでいる。

公爵夫人に魅せられたミカエルはゾレの代わりに公爵夫人の瞳を描き上げるのだったが…と簡単に説明するとこんな感じで孤独な作風である。

これは是非見て欲しいドライヤーの初期作品だ。

余談だが原作者のバングは炎の剣を持つ聖ミカエルからとって小説の題名にしたそうだ。炎の剣は全てに打ち克つ愛を意味するとの事…それとすでにドライヤー自身が本作を監督する前に1916年に「翼」と言う作品でスティルレルが監督しているそうだ。

因みにゾレ役はデンマーク人監督のベンヤミン・クリステンセンが演じてる。‬

‪とりあえずこれで残すとこ彼の作品は長編映画3本と短編集のみを鑑賞すれば制覇だ。何れも素晴らしい作品たちだった。‬
eiaieiaie

eiaieiaieの感想・評価

5.0
●ドライヤー3本目に観たけど傑作
●自分の知ってる美を越えた
●眼フェチは絶対観るべき
●話もいいけど、画もよすぎて号泣
●肌触りや温かみがどうして、こんな綺麗なものの中にしっかりあるのか意味わかんない
ryosuke

ryosukeの感想・評価

3.6
やはりピアノ生演奏(@アップリンク)は迫力があってよい。
モノクロの画面に煙管の煙が映え、強い照明を当てられた人物が神秘的に映る。煙管は感情表現の上でも重要なアイテムとなる。(ミカエルの火を受け取らず自分でマッチを擦る、真っ二つに折る)
夫人の眼を描くシーンの切り返しはやはり印象的。作中でただ一度ズームが用いられ劇的な効果を出している。
ラストカットの夫人の目も印象的。
画家役の俳優ベンヤミン・クリステンセンは、容姿も含めて孤独で頑なな老人の役に見事にハマっていた。
nagashing

nagashingの感想・評価

4.0
『裁かるるジャンヌ』へと結実する、役者の表情をつぶさにとらえたクローズアップが至高。デカすぎる邸宅のセットをすみずみまで収めたロングショットもヤバい。話は二組の三角関係という以上に、男×男×男×女の四角関係という感じで、男性間の愛情は同性愛であり親子愛であり友情であり、さらには才能や美そのものへの愛。その複層的な愛が、異性間の肉体的・即物的なな恋情のまえにあっさりと敗れ去っていく。そこに、ハイコンテクストであるがゆえに脆弱な芸術との相似を見た。
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