身をかわしての作品情報・感想・評価

身をかわして2003年製作の映画)

L'Esquive

製作国:

上映時間:123分

4.0

「身をかわして」に投稿された感想・評価

cinefils

cinefilsの感想・評価

4.0
不安定なビデオ撮りと聞いて身構えていたのだが、そんなに苦痛に感じなかった。何を映したいのかの意図がわりと明確でストレスを感じない(よくある不安定なビデオ撮り作品って、不安定さそのものを目的化しているところがあって見ていてしんどいのだ)。

劇の上演というモチーフが反復される。たどたどしく棒読みで演技しているのを教師に叱責され中断されるというシーンが、友人たちに見られながら車の中で無理矢理に告白の答えを聞かされるところを警官たちの暴力によって中断されるという形での反復は結構心をえぐる。
Kazuma

Kazumaの感想・評価

-
相変わらずサラ・フォレスティエは画面に映るだけで魅力的な女優ではあるが、それ以上がないあたり、ケシシュは想像以上に女優に興味がないのではという気も。(アデルでもそうだったが)

ずっと喋り続ける映画だから、リズムが肝心。
こういう手持ちで臨場感出す為か顔のアップばかり映すような映画って、どうしてこうも軽薄に見えるのだろうか。(ビデオ的な画質で更に安っぽいものになってるし)

カットも無駄に多いし手ブレも激しいしで全く好みとかけ離れた映画であるけど、セザール賞で監督賞とか脚本賞受賞したってことはこういうわちゃわちゃして雑な印象の映画でも好ましく思う人間が一定数いるということか。

最後まで見たら良さがわかるのかもしれないけど、こんな自分の忌避する画面を見続ける苦痛を思うと10分程度でリタイアせざるを得なかった。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.3
【闇のエル・ファニング?】
L'esquive(誤魔化し、忌避)に対し『身をかわして』という邦題をつける凄まじさが特徴的なアブデラティフ・ケシシュ初期作をMUBIで観た。

これが、大傑作だった。

フランス郊外の低所得者向け住宅街に住む子ども達が学校の演劇コースで次回公演に向け頑張る。その中で生まれる恋、友情を描いた作品。

まるで、日本のスポ根漫画ものか!と思う程熱く、そして《親》の存在が希薄だ。大根演技でナルシストなのだが、外見がエル・ファニングの少女に男子が惚れ、彼も演劇に挑戦する。しかし、ストイック過ぎるレッスン、そして自主練で巻き起こる激しい議論、てやんでい口調が激しいエル・ファニングさんに心が折れていく。

この台詞台詞台詞のパワープレイ。これが説明的ではなく、思春期ならではの葛藤、国籍・貧困によるコンプレックスの爆発として上手く機能している。漫画原作ものを扱う映画関係者は是非観てほしい。

それにしても、本作を観ると、フランスは貧しき者にも文化を楽しむ、文化と本気で接する場所が提供されていて素晴らしいなと思った。

日本の場合は、どうも芸術を軽視している気がする。貧しき者に芸術と接する機会が設けられていない気がするだけに、フランスの懐の深さには感銘を受けた。
秋日和

秋日和の感想・評価

4.0
女の子に告白をしたらすぐにでも返事が欲しいのは分かるけど、「返事は家に帰って電話でするわ」と答える彼女に「いま返事くれよ。電話代が……」だなんて口を滑らすのは絶対に駄目。幼馴染みのあの子と二人っきりでお芝居の練習が出来たこと自体に感謝しろと言いたいのに、そのチャンスを自ら潰すとは何事か。感情を言葉に当てはめるのが下手なだけでなく、既に作られた言葉に感情を当てはめることも下手だから、スクリーンの中の彼に凄くやきもきしてしまう。
5秒前と今とで言うことがコロコロ変わっちゃうのは、彼/彼女たちの感情だってコロコロ変わっちゃうからで、怒鳴っている最中もなんで自分が怒鳴っているのか忘れているんだと思う。確かに人を殴るのは絶対やっちゃいけないことだけど、大して痣も傷も見当たらない人から「危うく殺されそうになった!」と鼻息荒く言われても困ってしまうな。
ただこのときこの瞬間の感情をアップの連続で切り取っていくケシシュの力業に唖然。隠しておきたい思春期のお節介を見せつけられたときは、顔から火が吹き出るかと思いました。リアルに。ロミジュリな位置関係がくるっと変わっちゃうあの感じはとても好き。
ムチコ

ムチコの感想・評価

3.2
アップアップアップ、画面ゆれゆれ、でとにかく疲れた。
すぐ喚き立てる人も、もだもだした恋愛と嫉妬も、自分の欲求を他人におっかぶせるのも、他人の恋に口を出す友達も、全部きらい。これがみずみずしい思春期ならばわたしは絶対に戻りたくない。

(おそらくあまり裕福ではなく、移民が多い)郊外団地の若人の話し言葉はクレオールみたいに聞き取りにくく、そのリアルはこちらを余計にやきもきさせる。また車での一件は、若人たちをそうさせているのは大人だ、と見せているし、その後の発表会ではそういった大人たちのありようも全てではないことが示される。

先生に「自分を解放して」と言われた直後の一瞬の横顔はグッときた。
たなぴ

たなぴの感想・評価

4.2
ル・シネマの「すべて恋しき若者たちへ」の企画で鑑賞。
企画自体がたまらなくタイプなのですが、まあ、この映画も素晴らしいほどの青さで。

隙だらけで、不器用さ爆発で、過剰反応で、感情さらけ出して。
演劇を通して繰り広げられる青春映画なのですが、ド寄りのアングルで演劇など頭に入ってこないのに、ちゃんと台詞に耳を傾けるといい演出になっているなんて!

リディアの瞳が引き込まれそうなほどきれいで、
彼女を弁解する気はないが、罰すべきはこの瞳だなと思った。
なやら

なやらの感想・評価

5.0
どうかしてるほど面白い。今後も上映される度に観に行くと心に決めた。

途中降板した劇の本番を会場外から覗くクリモに、ぎこちなく手持ちで寄っていくショットが大好き。基本的に肌色以外に色がない映画だが、あそこの群青色はマジでやばい。
のら

のらの感想・評価

4.7
演劇の練習ってよい。『愛の記念に』と並ぶ、最高峰の思春期映画。
ghostboat

ghostboatの感想・評価

5.0
念願の再見。ヤバすぎる。超傑作。飛び散る唾、こぼれる涙がこちらの感情を最後まで揺さぶってくる。同級生の恋愛に対しておせっかいを焼く友人たちをみてると中高生の恋愛なんて万国共通かと思ってしまった。「お前らふたりの子供と一緒に船に乗るのが夢だった」と語る不良仲間の先が見えてない純情さね。笑っちゃうけど好きです。キザな台詞やセンチメンタルな展開で魅せることのない飾り気のない青春。ここに惹かれるわけですよ。いじけて顔出さない主人公に呆れて帰る幼馴染みの後ろ姿は思い出すだけでウルッとくる。

会話場面では話を聴く側の顔がうつされるのだが、これが傍観者の視点として機能されておりまるで自分たちがその場にいるかのような感覚をおぼえる。主人公が告白してからの教室練習のシーンがお気に入り。あれだけ強気だった幼馴染みの目の動きから戸惑い様子が読み取れる。ふたりの距離感が明らかに狂ってることを不安定な切り返しにリンクさせて表現してくるのがいい。こっちまで戸惑っちゃいますね。
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