肉体の悪魔の作品情報・感想・評価

「肉体の悪魔」に投稿された感想・評価

「肉体の悪魔」

映画はジュリアの部屋とアンドレアの高校の教室の間の屋根でアフリカ系黒人の狂女が泣き喚き、自殺しようとする場面から始まり、その出来事によりアンドレアがジュリアの存在に気づくきっかけを与えるが、ジュリアとアンドレアと黒人の狂女のクローズアップはそれぞれ孤立していて、交わることがない。まず、ジュリアとアンドレアの間に介在し、二人へと逆照射するのは、黒人の狂女が見つめている虚空であり、狂気であり、死である。クローズアップとは人物が画面外=虚空、狂気、死を見つめることなのだ。当然、ジュリアとアンドレアの恋が進展していくにしたがって、クローズアップは多用されることになる。なぜなら、ジュリアとアンドレアがお互いを見つめ合っているかのように見えても、実は黒人の狂女が画面外の虚空、狂気、死へと眼差しを向けていたのと同じ構図、同じショットに二人は収まり、結局のところそれは黒人の狂女の眼差し=虚空、狂気、死に見つめられていることを意味するからだ。ジュリアは狂っているのではないし、狂気を欲しているわけでもない。狂っているのはジュリアを見つめている世界(その中には革命のためのテロに加担しながら、改心して易々と同志を裏切ったジュリアの婚約者を、改心をしただけでこれも易々と釈放して受け入れる世界も含まれるだろう)の方なのだ。
区

区の感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

以下コピペ

「ただ論理的なだけの、形骸化した心無き伝統」と「理屈を超越したところにある心」=感情を本能的に理解する心、その2者の対比であり、ベロッキオ作品のキーワードである「抑圧対自由」「権威対反抗」「伝統対無秩序」

主人公の父に代表されるような古い価値観と、アナーキズムから保守へと後退してしまう人々、一方でジュリアのような、型にはまらない自由奔放な狂気=本能の解放者、そして、知性と冷静さを保ちながら、本能的思考を受け入れる主人公アンドレア=新世代との価値観のぶつかり合い。
そこには、「イタリア映画界の悪童」ベロッキオの、イタリアの保守的な社会への皮肉と、新しい時代への希望が込められているのだと思う。
「これは凡庸さや正常な意識といったものに対抗する、狂気と性本能が入り交じった愛の物語なのです」− マルコ・ベロッキオ

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dude

dudeの感想・評価

3.6
やっぱりドアより窓なのかベロッキオ。窓を出入りするのは社会規範からの逸脱?そうなると“精神異常者”からしたら最後の卒業試験は間接的な別れってこと?
最初の教室、屋根、テラスが密集した空間良い。義母から愛人を隠す場面も家の中をカメラが回りながら写していておおっとなる。
buccimane

buccimaneの感想・評価

4.0
こないだ見た肉体の森っていうのの隣に置いてあって気になって借りたけどこっちのほうが面白かった。
というかこのマルーシュカさんまじ素敵でたまらんな。
しかし心の通いあう様子が丁寧に描かれ肉体というよりスピリチュアルな感じだし少年の腰つきも若さの割にはゆっくりねっとりとしてる。
宗教のテーマぽいのは単に抑圧するものってだけでもなさそうでよく分からなくて歯がゆいけど。
Lilly

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2.8
TUTAYAで発掘良作となってたから借りてみたけど、クレイジー過ぎて逆にぼーっと集中して観た
中庭

中庭の感想・評価

4.3
赤い屋根の上で泣き叫ぶ精神不調の黒人女と、ただ視線を交えるだけで情動を交感してしまう下着姿のマルーシュカ・デートメルス。それを窓際で見つめる青年フェデリコ・ピッツァリスの前髪が風の凪ぎに合わせてふわりと浮かんでは自然と元に戻る瞬間の良さをどう言い表すことができるか。ファースト・シークエンスの終わりに演出されるこの静謐さは、あらゆる予感に満ちているにも関わらず透明で、二人の行末に予想されるメロドラマ的な不吉さを無効化してしまうような矛盾する力も兼ね備えているといえる。
原作の本が好きで、映画も見たけど、ちょっとしっくりこなかった。
タイトルに惹かれレンタルにて鑑賞
病んだ女性の狂気的なものとか
純粋な青年の揺れ動く感情みたいなものを
残念ながら自分には感じ取る事ができず…
肉体の印象しか残らなかった。
主人公のジュリアなる女、男なら色々と妄想してしまうような美人だが、笑い方といい序盤から異常さが際立っていた。しかし目覚めたアンドレアに対してかけた言葉…なんだか哀しい…
白いベッドに赤いバスローブがコントラスト。音楽も印象に残る。距離を保った定点カメラも悪くない。
MegmiTanak

MegmiTanakの感想・評価

3.7
マルーシュカ、色彩、生活感のないアパート、原作、ダンスシーン、全てが最高。

これは決してラブストーリーではない。
お互いが運命の人でないことは誰もが分かる。
刹那的な恋愛に、自分自身を見出す物語。

原作ではラディゲの、人妻の年上女性に抱いた恋に葛藤する姿を書いている。愛を語るには幼稚すぎる10代ならでは残酷さが魅力的。
映画では、学生の全力な愛情を受け入れつつ、自身の生き方を見直す女の姿を、女性特有の複雑な感情の変化と共に描いている。

ベロッキオは、女性の感情の起伏を非常に上手く表現している。

特にラストのダンスシーン。
髪を振り乱し、倒れそうになりながらも一心不乱に踊る姿は、彼女の生き方そのもの。

人は言う、彼女は精神を病んでいる、と。

それを言ったら女性は皆、病んでいる。
説明のつかない複雑な生き物なんです。

彼女はただ、必死に生きている。