タルロの作品情報・感想・評価

タルロ2015年製作の映画)

Tharlo/塔路

上映日:2021年03月13日

製作国:

上映時間:123分

3.9

あらすじ

「タルロ」に投稿された感想・評価

よく言えば伝統的、この映画の設定的に言えば前時代的な環境で育ち暮らしてきた男性が、勧められて身分証明書を取るためにまちに出ただけでそこから人生が崩れていく、なかなかシビアな話だった、キーアイテムで必ず出てくるお酒はチベットだけに限らないという比喩なのかなとも思った
まさかチベットの地にもストローブ=ユイレのように肉体労働を極めてミニマム且つタイトにフレームに収めてみせる映画作家がいることに興奮する。室内空間はやや冗長だが、絶えず画面のどこかに見られる煙の存在が、ここぞと外へロケーションを移したときにも画面を豊かに煙らせていて素晴らしい。中々刺激的な映画体験だった。
あさの

あさのの感想・評価

3.8
信仰深い人が、些細なことからその道を踏み外した末路の話にも思えた。自らのアイデンティティーは身分証明書なんかでは得られない。三編みの髪型を失うことの意味よ。にしても、モノクロは煙や湯気を映えさせる。
okome

okomeの感想・評価

2.9
鏡越し、窓ガラス越しの絵が美しい

チベットの歌かと思いきや毛沢東の言葉
中国教育の根深さよ

善良なものこそ救われるべきなんじゃないかと叫びたいが、資本主義を前にするとそうはならない。

救われない、救われない
ペマ・ツェテン監督、恐るべし
ペマ・ツェテン監督作品。
家族のいない羊飼いのタルロは、身分証明書の写真を撮るために町まで訪れるが・・・という話。

白黒の映像の美しさが印象に残る。冒頭の子やぎの授乳や、羊の解体シーンとか面白かった。
タルロの顔立ちも良かった。
写真館での夫婦の撮影シーンは笑えた。

チベット遊牧民のアイデンティティについての話。
静かな映画。
白黒で動きの少ない場面が多いのに、面白い。現代チベットの牧畜民の陥る悲劇的状況を、ギリギリ政治性を回避しながら描いている。と同時に、普遍的な人間の孤独や民族的アイデンティティへの問いでもあり、深く感動した。直接見る町と鏡に映った町とが暗示的。歌の扱いも(へたくそなカラオケや、歌うような朗読も含めて)すごくいい。広く劇場公開してほしい作品。
nariko

narikoの感想・評価

4.0
真面目なのか笑っていいのかよくわからない独特の世界観がクセになる映画
もう一回観たい
メラ

メラの感想・評価

4.5
【個性を殺してしまった不器用な男の物語】
身分証の発行のために写真撮影しに行く羊飼いの男を描いたヒューマンドラマ映画。

チベット映画特集にて鑑賞しました。
モノクロ調のヒューマンドラマ映画で、ストーリー展開的に「IDA」「COLD WAR」などのパヴェウ・パヴリコフスキ監督に近いものを感じました。

人物を映えるならば出来るだけ中央に寄せれば良いものをそこを敢えて外して隅に置く画面配置や時代/変化に取り残される様を強調するアートディレクションも含めて、哀愁を感じる1作かな。
そんな社会のシステムに置いてきぼりな男であっても一抹の幸福は確かに存在し、カラオケで歌う場面は本作の白眉でした。
夢物語のような光の使い方から善意で向き合う姿が逆にタルロの個性を追い詰めてしまう所に本作の良さである「尊厳たる個性と世俗のシステム・感情への衝突」が詰まっていると感じました。

それでも無理に社会のシステムや現代の世俗的な幸福に無理に適応しようとするあまり、個人の個人たる個性を結果的に殺してしまう「不器用さ」が一貫として描かれていて、そこをしっかり描くところが素晴らしい映画でした。
同時に素晴らしい映画ゆえに見ていて心が痛みました…こうゆう映画こそ、より多くの人にじっくり見て欲しい映画だなと思いました。かなり限定的に上映されていますが、DVDでも配信でも良いからもっと広めて欲しいです。
sci

sciの感想・評価

3.9
三つ編みで髪の毛はぼさぼさのタルロ。どの羊が何匹いるか正確に覚えており毛沢東語録をすらすらと読みあげ警察官所長からも一目置かれる。恋歌しか知らないけど歌声は朗々としていて聞いてほれぼれする。だれも彼を本名では呼んでくれず子供の頃から「みつあみ」として知られている。ボサボサ三つ編み頭は彼のアイデンティティ。何も不足しているようには見えないが、ある日、入った美容院の美しい娘と知り合ったことで徐々に即物的なものに染まり、自分を見失い破滅に向かっていく。

そもそも娘は素朴なタルロに憧れたのではないか。なのになぜ自分が彼を変えてしまうことに気付かなったのか。タルロのことよりも自分が満足すればよかったという身勝手さ。でもそれが人間だ。

写真屋でラサの寺院、天安門広場、ニューヨークと行ったことさえない場所の変な画像をバックに硬直した顔の夫婦たち、あげくのはてにはいまいち決まらないからとアメリカ人の服装に着替えさせられ、自分たちが大事に思っている羊さえも降ろせと言われる。タルロも髪を始めとして大切な子羊を入れたカバン、帽子、イヤリングを外されてIDカード用の写真を撮られる。それは果たして彼自身なのか別人物なのか、警察もこれじゃあんただと分からないから取り直せという皮肉。

反射して映り込んでいるカットが数回出てきて、タルロと美容師のやり取りも鏡を通して見せられるが、それは偽りの世界だと暗示しているようだった。
ausnichts

ausnichtsの感想・評価

3.0
「羊飼いと風船」と「オールド・ドッグ」を見た上で見ますとその過渡期の映画ということがよくわかります。

物語性が心地よく(ちょっと違う)見やすい映画と、退屈なんだけれども最後まで見るとおー!となる映画の、その両方を狙い、結局観念的になってしまった映画だと思います。

リアルタイムで見ていればまた違った印象で受け止めていたと思いますが、ときは常に流れています。

「ネタバレレビュー・あらすじ:「羊飼いと風船」にいたるペマ・ツェテン監督の過渡期の映画」
https://www.movieimpressions.com/entry/tharlo
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