サムソンの作品情報・感想・評価

サムソン1961年製作の映画)

Samson

製作国:

上映時間:117分

3.5

「サムソン」に投稿された感想・評価

Hero

Heroの感想・評価

3.8
死を纏った死神が自らの死によって仲間と自分を救う話。

《アンジェイ・ワイダ追悼特集》

2017-
nagashing

nagashingの感想・評価

3.0
虐げられたユダヤ人の不能感を象徴するかのような抑圧された運命をたどる青年の物語に、どうして怪力の代名詞たる旧約聖書の英雄の名が冠されているのか最後まで解せなかった。怪力どころか主体性すらろくに発揮されず、状況に流されるまま身を処すうちに、同胞と運命をともにする機会を決定的に失ってしまう凡庸な男の悲劇であり、英雄譚にはほど遠い。ゲットーをひそかに抜けだしたユダヤ人がすれちがう他人の視線に怯えるという描写が、ユダヤ人を直感的に判別できない日本人の自分には絶望的に真に迫らないのも致命的な気がする。しかしこの映画、ほとんど倒されるためだけに出てくるドイツ兵より、主人公の身を案じるあまり彼を幽閉しようとする処女のほうがよっぽど怖いんですけど。
のん

のんの感想・評価

3.5

主人公は、ユダヤ系の青年ヤコブ。
大学で行われていた親ナチ集会に出くわし、そこで侮辱を受けたことから誤って殺人を犯してしまい投獄され、その後、第二次大戦勃発により釈放されるものの、今度はワルシャワのゲットーに送られるーーー。


大戦下におけるユダヤ人とポーランド人の関係がえぐられていた。
匿う者と匿われる者。どちらも危険でどちらもストレスフルな環境下。
そんな中でも男と女の関係もあるわけで…。
10代半ばにして反ナチ・レジスタンス活動に従事したという監督ならではの映画のひとつ。

正直、主人公の行動がなかなか定まらない様が見ていて不満だったのだけれど、そんな在りかたこそリアルなんだろうな。

ちなみに「サムソン」には旧約聖書に登場するいすらえるの伝説的英雄が重ねられているとのこと。
いち麦

いち麦の感想・評価

4.0
ポーランド映画祭2016にて鑑賞。
一度はゲットーを抜け出したヤクプだが身を隠し彼方此方を転々とする生活に安住できる場所は見つからぬ。虐げられた姿にも屈強な表情が印象的。ジェゴタとの接触から蜂起へと繋がる山場…英雄誕生譚と見た。
noriko

norikoの感想・評価

2.9

このレビューはネタバレを含みます

日本初公開の映画です。
そのため事前に十分な情報を得られず、手探りの鑑賞になりました。
1939年から1943年のポーランド、ワルシャワのユダヤ人自治区の話です。
正確には主役の男がユダヤ人自治区内の刑務所に無実の罪で投獄されますが、戦争により逃げ出します。
墓堀人に手助けされ、自治区の外に出るため壁を超えます。
しかし、ユダヤ人であることから居場所はありません。
それどころか捕らえられたら、絶滅収容所に送られます。

男は刑務所で知り合った老人に地下部屋で匿ってもらいます。
いつ外に出られるか分からない苛立ちと、ともにユダヤ人の仲間と戦いたい思いで、徐々に精神を病んでいきます。
ようやく街が明るくなってきたと思ったら、ドイツ軍によりゲットーは一掃されます。
ワルシャワ・ゲットー蜂起の失敗です。

男は地下部屋から飛び出し、再び塀の中に帰ります。
そこは草木もはえない荒れた土地になっています。
男は刑務所内で出会ったレジスタンスの男と再会します。
しかしその隠れ家もドイツ兵によって発見されます。
男は仲間を逃がすため、決死の覚悟でドイツ兵を巻き込み自爆します。
という話です。

悲劇的な話でしょう?
でもまったく泣けなかったのです。
ブレッソン並に冷徹なカメラワークだったため、感情移入などできませんでした。

しかもナレーションが男の心情を解説してくれたので、より一層登場人物と観客との間に壁を感じました。
地下部屋で追い詰められていく悲壮感などは見事なのですから、もう少し観客の心情を煽ってもらいたいものです。
きっとワイダと言えば「地下水道」のイメージが強く、自然とそこまでハードルを上げていました。
日本初公開でポーランド国内でも知っている人が少ないってことは、それなりの理由があるんですね。
「地下水道」のようなインパクトはなく、作品自体も散漫とした印象を受けました。

不条理な男の人生を描きたかったのでしょうか?
ブレッソンの「ラルジャン」並に淡々とした不条理さです。
もう少しストーリーに起伏を持たせて、見せるところ引くところを明確にすれば、スマートな映画になっていたと思います。
もしくは男の苦悩を一切排したドキュメンタリータッチにするか。

総じて、期待値が高すぎたのだと思います。
けれど、見られたことに感謝です。
因みに若い時のポランスキーが出演しているようですが、どこにいるのかさっぱり分かりませんでした。
第二次大戦下、ユダヤ人青年の運命を旧約聖書のサムソンと対比させることで浮かび上がらせていた。主人公の迷いが丁寧に描かれていて、地下室という舞台も彼が無意識の中に埋没し虚無や無力さと向き合って自分の中のサムソンを呼び覚ますのに格好の舞台だった。またカメラワークが上手いと思った。
inuatsu

inuatsuの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

旧約聖書に登場する、怪力持ちのイスラエル民族の英雄サムソンをモチーフに、第二次世界大戦下のポーランドにおいてあるユダヤ人が辿る運命を描く。

元々敬虔なカトリックの国であるポーランドでは、非カトリックであるユダヤ人とポーランド人の間で摩擦が存在した。ナチスが侵攻してくる以前にも、思いもせぬ濡れ衣を着せられて牢屋送りになってしまう、主人公のようなユダヤ人はいたようだ。それに加えて、ナチス占領下のポーランドでのゲットーでの過酷な生活。ポーランドのユダヤ人が置かれた運命は、絶えず苦しいものだった。

しかし、過酷な運命の中でこそ、ユダヤ人の強固な結束は育まれた。どんなに挫かれようとも、耐えていればいつか訪れる奮起の時。その一瞬のために、どんな苦難も受け容れるという強い気持ちを持つことができた。

ゲットーの外へ脱出することができ、見つかればまたゲットー送りになる危険と隣り合わせになりながらも、そこでは人間らしい生活を送ることができる。ユダヤ人の同胞の協力でそんな環境を手に入れたにもかかわらず、同胞に迫る受難を共有せずにぬくぬくと生活している自分に罪の意識を感じ、敢えて苦しいゲットーへ戻ろうとする主人公の気持ちは、持たざる民族でなければなかなか理解できないものかもしれない。

しかし、すでに虐殺の標的となってしまった同胞はどんなに願ってももう戻って来ない。「生きのびたユダヤ人」として背負った宿命は、もはやユダヤ人の土地でもポーランド人の土地でもなくなったポーランドという国で、一人でも多くのユダヤ人がナチスの暴虐の手を掻い潜って生きのびることができるように力を尽くすことである。

その宿命に気付いた主人公は、神の恩寵を受けたサムソンのように怪力を持っていたわけではないが、命を落としていった同胞たちの遺志を継いで、どんなことをも怖れない強靭な心を手に入れ、命懸けで自分の背負った宿命を全うすることかできたのだ。