ハレルヤの作品情報・感想・評価

「ハレルヤ」に投稿された感想・評価

tukino

tukinoの感想・評価

3.3
トーキー映画誕生後間もないオール黒人キャストの映画であり、今作では黒人奴隷制度が根付く綿花農場の描写等があるものの白人による支配的描写が見られない。とは言え主人公ジークの不貞感や暴力的イメージが逆に黒人への人種差別的表現になりかねない描写が垣間見れ、当時の黒人のイメージが顕著に表れた不思議な映画。
不幸にも弟を死に至らしめた罪人ジーク。弟の死をきっかけに伝道師となった彼は神を崇め魂の導きを示し次第に民衆から神のように拝められ盛大な迎えを受ける。牧歌的な物語から一変、その神への賛美と狂信的なまでにジークを崇める民衆の宗教的な姿に狂気すら感じる。叙事的な物語と感じられぬ程の大袈裟な描写が多いいが、一応ミューズカル映画とも位置付けられるためか終始ポップな仕上がりである。
説教を歌に乗せたゴスペルやブルース、ジャズなどの多様な音楽や荘厳たる水の洗礼の光景は必見。愚かな弱き人間のどす黒い欲望と葛藤にもがき苦しみ、叫びと祈りが木霊する。チックとジークが見つめ合う一瞬のショットが美しい。
親しい者を捨ててまで欲望に抗いきれなかったジークがただひたすらに滑稽だが、罪も穢れも全て許し向かい入れてくれる家族こそが彼を救済する本当の神に見える気がしてならなかった。
abdm

abdmの感想・評価

3.5
『ブラック・パンサー』での黒人オールキャストは話題になりましたが、そんなん俺たちだってそうだもんねーミュージカル。
説明こそないがまだ奴隷制度が息づく時代の物語。
彼らは奴隷の時、重労働や過酷な現実から目を背けるため自身の悲しみや辛さを歌にして和らげた。
ハンマーソング(力仕事をより楽にするための力が入りやすい抑揚のある曲)からゴスペルと次々と味わい深い音楽がかかり続ける楽しいミュージカル映画。
『ブラックパンサー』という画期的な映画観賞を記念して、史上初のオール黒人キャストの作品にチャレンジ!1929年、つまりトーキーが始まって間もない年にこんな映画を作っていた巨匠キング・ヴィダー、すごい...!

ミシシッピー河沿いの村で、綿花を栽培し生計を立てているジョンソン家の長男ジークは次男のスパンクを連れて街に繰り出す。綿花の売り上げに浮かれ、その金をギャンブルに使ってしまう。妖艶な踊り子のチックにも誘惑され、ついつい遊びが過ぎてしまうが...。

道を踏み外した者が信仰に目覚め、周りの人も変えていくという筋書き。終始悲しいゴスペルを歌い続け、神に祈りを捧げるシーンが続きます。淀川長治さんの解説にもありましたが、歴史上初めて大衆映画の中で黒人の人々の信仰心であるとか、貧しさなどの現実的な側面にフォーカスした作品なので、なんとも言えないもの悲しさが漂っています。
本作はそんな黒人の人々が、自分たちの思いを込めたゴスペルを観客たちに聴かせるという趣旨もあって制作されたとのこと、これはトーキー映画だからなせる技ですね。
耳でも目でも、黒人の人々のあの歌と踊りを銀幕で目にすることができるということで、当時の人々はたいそう驚いただろうなと。しかしながら、本作で描かれている黒人の人々は白人がイメージするステレオタイプな彼らの姿だったのかもしれないので、当時これをもし黒人が目にする機会があったらどんな感想を抱いたのかが気になるところでもあります。

列車のシーンや川のシーンでのカメラのあのダイナミックな動き!果たしてどう撮影しているのかと不思議に思います。MGMミュージカルのノリを想定して観たのでギャップに度肝を抜かれましたが(笑)ソウルフルな歌声と軽快なダンスは圧巻!
...それにしてもチックの悪女ぶりは腹が立ちますね(笑)。
ものすごいヴァンプっぷりがおがめる。
『雨』のテイストが混じってるけど信仰と本能の在り方としてはこっちの方が好きだ。
ヴィダーの描く女性像は壮絶なのが多い。

伝説的な汽車とタップのコラボも凄まじい音楽映画だが、
湿原やら川をがむしゃらに走っていくシーンが地味にスゴい。
アルバ

アルバの感想・評価

3.4
ジークがチックに誘われるシーンはまるで悪魔に誘われているよう
ジークが再び同じ状況に陥ったら、再度欲望に負ける気がする。
戦前の『ワイルド・スタイル』か!?と思いきや徐々になんか趣がかなり違ってくる
rico

ricoの感想・評価

4.2
この映画には色々な驚きが詰まっている。
後年の黒人が出てくるような映画よりも、よっぽど黒人たちの文化表現がリアルで、お母さんが歌う子守唄すらブルースのよう。
話は道徳的な故に、多少プロットに難があれども、29年にオール黒人キャストのミュージカルを作っただけでも物凄いことだと思うし、そして見たらきっと、驚くようなショットが一つはあると思う。
(トーキーオール黒人もの同時期で少し早い「ディキシー歌舞曲」もぜひみたい)

DVDには短編2本と音声解説つき。
映画「HALLELUJAH」レンタルで鑑賞。ゴスペルの原形ということで観てみました。出演者は全て黒人で、迫害シーンはありません。ミュージカルっぽいので、演技がオーバーです(笑)何度失敗しても、神さまに立ち返ることが大事ですね。