サリヴァンの旅の作品情報・感想・評価

「サリヴァンの旅」に投稿された感想・評価

Wakana

Wakanaの感想・評価

3.8
MGMもワーナー・ブラザーズも真っ青なコテコテの古典的スラップスティック。
わかめちゃん顔負けのまる見えドワローズを生み出す時速120マイル(キロではない)の勢いに乗せて文字通りドタバタしている。ただ次第にムードが変わってギアチェンジしているけれど。
未亡人がマッチョを囲おうとするやり方に何かを思い出しそうでむずむずしていたら、後々ヘビーでソウルフルな「ゴー・ダウン・モーゼズ」唱歌が始まってすっきり。意外なところで再会したけど歌のほうは初めてちゃんと聴いた。思いのほか泣ける。
これは一応コメディというジャンルで括られてはいるけど、どちらかというとプレストン・スタージェス監督の「私映画」みたいな趣の深淵で美しい話。

世間知らずでボンボンの映画監督サリヴァンはどう考えてもスタージェスの分身であり、深刻で重苦しい社会派映画を撮ろうと夢見るのだが、最終的にドジを踏んで牢獄へ入ってしまう。

後半、囚人となったサリヴァンが黒人牧師の営む南部の教会で偶然観たディズニーアニメで「これこそが俺の求めていたものだ」と気付くまでのプロセスがまさにタイトルでもある「サリヴァンの旅」であって、苦しんでる労働者や囚人ほど「笑い」に飢えているという真実。その真実に行き着くまでの一人の男のビルドゥングス・ロマンとも思える内容は今観てもかなり斬新なもの。

コーエン兄弟に影響を与えたのもよく分かる哲学的コメディの大傑作。
Ricola

Ricolaの感想・評価

3.8
映画が老若男女問わず大衆にとって楽しめる娯楽なのは、今も多少変わらないはずだ。

いつの時代でも、特に辛い時代にはどんな映画が求められているのだろうか?
そんなことを問う映画である。


映画監督のサリバン(ジョエル・マクリー)はコメディ映画の監督として成功を収めていたが、社会派の映画を撮ることを熱望し始める。
彼は現実社会を知るために、ホームレスに変装して旅に出る…。


正直最初の方は少し退屈だったが、後半からテンポが良くなっていった。

起承転結の「転」が来るのが遅かったけど、そこからが「これからどうなるんだろう?」とドキドキするようなストーリー展開だった。

そして物語に華を添える美女がヴェロニカ・レイクという女優さんで、この映画で初めて拝見したのだが思ったより親しみのある雰囲気だった。(役柄がそうだったのかもしれないが)
彼女の役が、ルビッチ監督の作品に出たかった女優志望の女性というのがなんかわかる気がする。

辛い時代だとどうしても厭世的になるけれど、そればかりでは生きていけない。そんな時救いの存在になりうるのが娯楽なのではないか。

これから先の未来も、映画という娯楽産業が人々を楽しませていることを切に願いたくなる。
Megoma

Megomaの感想・評価

3.8
授業で鑑賞。
the girlとってもチャーミングだった髪型素敵すぎるし男装してるのめっちゃ可愛かった…サリヴァンがミッキーマウス見て、今自分笑えてる…⁇ってなって、
笑いが貧困や苦境にいる人にどれだけの希望を与えるのかに気づくシーン、感動した!!やっぱり自分はコメディを作るんだー
ゴマ

ゴマの感想・評価

4.3
1941年制作のコメディ映画。プレストン・スタージェス監督のアメリカ映画。ジョン・サリヴァンはコメディ映画の監督として成功を収めていたが、最近自分の仕事に不満を感じ、社会派映画の撮影を熱望し始め、現実社会の底辺にあえぐ人々を知りたいと自らホームレスの格好をして旅に出るが・・・プールに落ちる、そのプールに落ちた人を助ける人も先に落ちた人によってまたプールに落とされてしまうといういまではもうべたべたのお笑い描写があるがこの当時はこれでも大爆笑だったんだろうな。先にプールに落ちた人がかなりの巨漢で、その巨漢を引き上げる人が小柄な人というのはもう見る前からオチは予想できたがまあ面白かった。
前半の13歳の少年が運転する車に乗ってのカーチェイス場面の迫力が素晴らしかった。追う方のキャンピングカーがぐっちゃぐちゃになる様子や現在のカーチェイス場面で使われているような手法がこれでもかとつかわれている。
自分が苦しい時も笑いを提供して苦しみを和らげてくれたコメディ映画や芸人、ピエロ、道化師たちにこの映画を捧ぐとあるように刑務所にいる時に観たディズニー映画を見て救われたように最後はコメディ映画を作って人々の苦しみを和らげるのだということに気付き、またそこに戻るという円環構造が良くできていると思った。
裕福で苦労知らず故に明るい作風を得意とする映画監督が、社会派に路線転換を図ろうと浮浪者を装い旅に出るコメディ映画。前半と後半でテンポやテイストが変わって変な映画だなと思ったが、教会で映画を見るシーンはしっかり泣けた。サイレント映画風のドタバタシーンが印象的。ヴェロニカ・レイク演じる女優志望の女の、サリバンが富豪なのを知ってからのロックオンっぷりにやや引いてしまった。
2018.9.1 DVD(字幕)
プレストン・スタージェスの代表作として後年伝わる理由もよくわかるコメディ賛歌。

序盤のカーチェイスはキートンの傑作コメディのドタバタ模様を彷彿とさせていたが、思えばここから既にサイレントコメディ映画にオマージュを捧げる趣が見られた。

貧者の様子も怒りの葡萄と比べたら戯画化されてる感は否めなかったけど、ここでも見られたサイレント映画っぽい演出はチャップリン的のようでもあって良い雰囲気だった。

極め付けは終盤の名シーンだが、思いっきりディズニー映画を引用してコメディ映画の素晴らしさを強調するものだったけど、動的なコメディ映画への敬意の気持ちは自分も持っているからあのシーンには共感しか抱けなかった。

そんなこんなでスタージェスのコメディ哲学がこれでもかと感じられる映画となっていたが、やはりラストのサリヴァンの台詞はスタージェスの気持ちそのものだったのだろう。
スタージェスといえば「大脱走」のジョン・スタージェスの方が印象強いけど、偉大なスタージェスはもう一人いる。

スクリューボール・コメディを得意としたプレストン・スタージェス監督の代表作である「サリヴァンの旅」を一言で言うならば……

コメディ万歳( ノ^ω^)ノ そんな映画です。

笑いこそ人間にとって必要不可欠である、だから私は喜劇を撮り続けるんだ!!というスタージェスの気概が感じられる作品。

でもその後のスタージェスの不幸を考えると素直に笑えない部分もある。

主演はジョエル・マクリーとヴェロニカ・レイク。

あらすじは、ジョン・サリヴァン監督がコメディばかり作らされることに嫌気がさし、次回作は貧困をテーマにしたシリアスなドラマを作ろうとするところからはじまる。

それまで貧乏を経験したことなかったサリヴァンは周囲の反対も聞かずにホームレスの扮装をして実態調査を開始するのだが……。

このサリヴァンの人物像がまるでスタージェス自身を投影しているような感じがした。

裕福な幼少期をすごし、ブロードウェイ、ハリウッドと持ち前の才能で挫折もなく順調にキャリアを築いたスタージェス監督の姿はまるで本作のサリヴァン監督のよう。

サリヴァンが調査終了後、貧困の現状を見かねて浮浪者たちに紙幣を配るシーンがある。これがかえってサリヴァンを窮地に追い込むことになる。

実際にスタージェス監督は、撮影中、キャストやスタッフがいいアイデアを出すとポケットマネーでチップを渡したり、スタッフたちの食事を全部奢ったりしていた人で、かなりの浪費家だったという。

本作撮影時は全盛を誇っていた頃だが、こののち前述の浪費癖やヒット作が出なくなったことで、ついにはハリウッドの仕事を失うはめになってしまう。

こう考えると、本作の後半の展開はまるでその後の監督自身の顛末を予期していたようで、ちょっと観ていて悲しい感じを受けた。

とは言うものの序盤はスラップスティック・コメディとしては最高の出来で、サリヴァンを心配して随行しようとするスタッフを振り切るために、違法改造車(しかも運転は未成年者だぜ!)に乗って逃走するシーンなんかは思わず声を上げて笑ってしまった。

あと浮浪者姿のヴェロニカ・レイクがとっても可愛くて印象的だった。

■映画 DATA==========================
監督:プレストン・スタージェス
脚本:プレストン・スタージェス
製作:プレストン・スタージェス/ポール・ジョーンズ
音楽:レオ・シューケン/チャールズ・ブラッドショー
撮影:ジョン・サイツ
公開:1942年1月28日(米)/1994年6月4日(日)
これは良かった。
本当に世間のどん底まで落ちてしまった時に、それまで自分が低俗なものとみなしていたコメディ映画に腹の底から笑わせられる瞬間。涙が出る。

ヴェロニカ・レイクの佇まい!!
笑いは面白いかどうかの二択しかないからそこで勝負してる人の潔さには何も敵わない。
やっぱり映画で見る笑いはスタイリッシュな台詞もいいけど、結局王道のドタバタであっちこっち身体でリアクションを取るパフォーマンスに痺れるな〜〜。