サバイバルファミリーのほっきょくぐまのネタバレレビュー・内容・結末

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1878年3月25日は「電気記念日」です
この日は、電信中央局の開局祝賀会で日本で初めて電灯が点灯したことを記念して制定されました
そんな「電気」にちなんだ作品、『サバイバルファミリー』を鑑賞しました

監督・脚本は矢口史靖監督が務めています


鈴木家は東京郊外で暮らす、ごく一般的なサラリーマンの家庭です
さえない父・義之（小日向文世さん）、天然な母・光恵（深津絵里さん）、無口な大学生の息子・賢司（泉澤祐希さん）、そしてスマホがすべての高校生の娘・結衣（葵わかなさん）の4人家族
母・光恵の実家である鹿児島の父（柄本明さん）から、新鮮な無農薬野菜や魚が届いても、野菜についた虫に驚き、魚をさばくこともできません
家族は迷惑そうにしながらも、当たり前のように食卓に並ぶ食材を口にしていました
仲が悪いわけではないものの、互いに無関心で非協力的な家族
そんな彼らの日常は、ある朝、突如として一変します
原因不明の停電です…
ある日、突然、電気がすべて使えなくなります
それだけではなく、ガス・水道といったライフラインや、車・電車・バスといった交通手段も完全にストップしてしまいました…


これは、ある日突然、電気が消滅した世界で東京を脱出し、サバイバル生活を送る一家を描いたコメディドラマです


現実でも地震や災害によってライフラインが寸断されることはあります
実際に経験した人にとっては、この過酷な状況は思い出すだけでも辛いものかもしれません
ただ、現実では支援が入り、復旧活動も迅速に行われるため、何ヶ月もこの状態が続くことはないのではないのかなと思います

しかしもし、電気のない生活が"ずっと続いてしまったら"――？
この作品は、そんな極限状態の世界をリアルに描き出していました

物語は鈴木家のような、ごく平凡な一家の姿を通して、観ている私たちもまるで疑似体験しているかのような感覚を味わいます

父の一言で、家族は母の実家・鹿児島を目指し、自転車で旅に出ます
しかし、食料は尽き、水も底をつき、電気に頼りきった現代の人間にとって、過酷なサバイバルが始まります
お金さえあれば何でも手に入る生活
ボタンひとつで便利に動く道具
夜を明るく照らしてくれる電気
そんな「当たり前」に囲まれた日々の、なんと恵まれていたことか――
電気がないというだけで、こんなにも苦しい生活になるのかと、痛感させられました

そんな極限の状況の中で、助けを差し伸べてくれる人々の温かさが、心に沁みます
岡山で出会った養豚農家のおじさん（大地康雄さん）
逃げ出した豚を回収し、農作業を手伝うことで、鈴木家は久しぶりに温かい食事、新鮮な水、お風呂、そしてふかふかの布団で眠ることができました

「こんなときだからこそ、お互い様」

そう言って、助け合いながら生きる人々の優しさが、より一層心に響きます
この自給自足の生活は、家族に「生きる術」を教えてくれたようにも感じました

そして、過酷なサバイバル生活を共に乗り越えたことで、バラバラだった鈴木家が一致団結し、家族の絆が生まれたことがとても嬉しく感じました
頼りない母の手を取る長男の逞しさ
困難の中で、少しずつ成長していく子供たちの姿が、眩しく映ります


ついに、たどり着いた鹿児島
蒸気機関車に揺られ、見える雄大な桜島の姿

その瞬間、胸がいっぱいになりました
そして、吹上浜の美しい砂浜を眺めながら、ようやく安堵の息をつきます

この映画を観終えた後、何気ない日常のありがたさを改めて噛みしめました🐖

• #🐻‍❄️2017年作
• #🐻‍❄️邦画