西北西のネタバレレビュー・内容・結末

「西北西」に投稿されたネタバレ・内容・結末

無心に信じるものがあっていいね、というセリフが同感に同感を重ねた

都合の良い時だけ神頼みしかできない自分は神に見放されるであろう

お祈りする姿って美しいし日本語の滑らかさが良き

鳥には名前をつけない、離れがたくなる、が良いセリフ
誰も話してない静かな時間が長い。何かを見つめてじっとしている姿が長いこと画面に映っていて、それを見ながらぼんやりいろんなことを考える。考えるきっかけになるようなことがそこらじゅうに転がっていて、それを考える余裕がちゃんとある映画。人が人である以上はどうしたって生まれてしまう差異によって生ずる衝突のことや、人間が必ずしも一面的ではないこととかを考えた。悪意を持って傷つけようとしてくる誰かがいたり、愛情表現が噛み合わない恋人に戸惑ったり、悪意のない友達の言葉に深く傷ついたり、考えなしに誰かを傷つけてしまったりする。悪意のある誰かも、恋人も、友達も、自分すらも、見えているのは一面に過ぎないかもしれない。相手との相違によって思いがけず傷ついたり傷つけてしまったりするのを厭わないことが、誰かを想うということかもしれないなと思った。ケイとナイマが一緒に踊るシーンと、ケイとアイがバスを降りたあと、バスに乗ってる人たちの顔が映るシーンでちょっと泣いた。あと、韓英恵のお芝居がとてもよかった。何かをじっと見つめている横顔がすごく印象的だった。表情を大きく動かさなくても伝わってくる何かがあるってすごいことだと思う。いい映画だった。
大阪では3カ月待ちでやっと見物。何年か前のPFFで賞を取った若い監督さんのしみじみしたロマンスでした。
まずはカメラ。ワイドスクリーン持て余しかなと思ったら、まさかの縦構図も含めてうまく使ってはるし、光量やピントのずらせ方も好き。
で、話の方は「はずれた」人たちのリアリティの無さがかえって「なるほど」で、こちらもお気に入り。中国、イラン、韓国、日本それぞれの他者感、サヘルの祈りの背後にぼやっと映り込む英恵さんの細い腿、田野聖子の調子外れの母親ぶり、そしてマンションの部屋やプールでの生活感排除。
説明過剰の思わせぶりとムード頼りのやっつけ部分が微妙に気になりつつも、総和としてとても納得できる。
一週間上映の上に不入りというのはなんとも勿体ない。
ところで今年の韓英恵さん、四本とも見事で圧倒的でしたね。
書いたらネタバレになりますが、ファーストカットとラストカットの意味に気づいたときに鳥肌が立ちます。
韓英恵とサヘル・ローズ主演で同性愛や訪日・在日外国人、宗教などマイノリティにフォーカスを当てた作品。けして同性愛のみを主軸にした映画ではなく、タイトルから見てもわかるように宗教的な軸や、途中大学の講義シーンでは本物の教授に戦争を、それも日本側からだけではない視点で語らせるなど、狙っているところはわかる。わかるのだが、色々と足りない。
まず、情報の出し方が伝えたいこととアンマッチである。言葉をわざと字幕で出さないなど、観客に答えを与えず、それぞれで考えてほしいというのは頷けるものの、あまりに丸投げというか無責任に感じる。作り手のオペニオンがまったく出せないのは、逃げているというより、俺は答え知っているから君らも見つけてごらん、と上から目線にも下手をすれば捉えかねない。視聴者が考察を持てるマージンというのは下絵があり色がない塗り絵みたいなもので、絵も描いていないただの白紙とは違うのだ。
そして、同性愛というまだまだインパクトが強いテーマに対して、ビジュアル的にも強すぎるのと、ほかのテーマが弱いこともあって、どうしても同性愛という事ばかりにフォーカスが行ってしまう。タイトルを西北西にしたのも一種の先手なのかもしれないが、作品の中では霞んで見えてしまう。タイトルの意図はわかるし、一番伝えたかったのは、サヘル・ローズが企業面接で言葉に詰まるシーンであろうというのもわかる。それまで、多様性や価値観の違いを口にしてきたのに、自分は同性愛者を拒んでいる。宗教的マイノリティである自分が他のマイノリティを認めていない、と気づくところに、単純なマジョリティvsマイノリティという対立構図ではなく、マイノリティvsマイノリティという輪が生まれているところが視点として面白い。言及していないものの、電話で家族や「西北西」とつながり、最後には「西北西」へと帰っていくのも興味深い。ただ、ほとんどの人はただの同性愛映画として受け止めるだろう。
そもそも一般受けは狙っておらず、映画を読み取れる人向けに作ったのであろうし、それであれば普通の映画とは一線を引いてマージンを広めにとったのもうなずける。なにもかもマスにしていく必要はなく、作家性の強い作品は嫌いではない。大衆に向けたメッセージではなく、対話なのであれば、いや僕のこの映画を見る人々のレベルからいって同性愛が主軸ではないことはみんなわかるはずですから、というのであればそれでもいいだろう。だから、ここであげた問題も実際には問題でないのかもしれない。ただ、全体的にそれぞれのマイノリティに対して、もう少し寄り添えたのではないかな、とも思うのである。違う輪をリンクさせていくからこそ、他のマイノリティにも理解を示せるような見せ方、一般の視聴者も意識した作り方をもうすこししてみてもよかったのではないか。