大和(カリフォルニア)の作品情報・感想・評価

大和(カリフォルニア)2016年製作の映画)

Yamato (California)

上映日:2018年04月07日

製作国:

上映時間:119分

3.4

あらすじ

「大和(カリフォルニア)」に投稿された感想・評価

オーセンティックさを微妙にずらしながらこんなにもHIP-HOPな映画を他にしらない、その概念 
映画におけるHIP-HOPはジャンルではないという新しい発明 そしてこの映画を厚木という場所で観れた幸にpeace!
商業映画ではないので、かなりの、とっちら感はあるが、鑑賞後の気分は悪くなかった。
ただ、やはり脚本には難があると言わざるを得なかった。
現代を描きたいのか、幻想を描きたいのかはっきりしてないので、かなり伝えたい意図がぼやけてしまった気がする。
韓英恵が相当高いスキルを持っているので、話を引っ張っることが出来たが、違うキャスティングだったらと考えるとかなり不安。

浜省(見たいなやつ)の意味は全く分からないかった。

重要ぽいアイテムをならべたてての日本のインディーズ映画は確かにこういうの多いけど、自己満じゃないのかなあ。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.7
【閉塞感から抜け出すためにある言葉の杖】
スマホがない80年代か?間延びした時が、燦々と照らされる太陽により、じっとりとアスファルトに溶け込んでいる。時の残骸となった朽ちた、金属が、米軍のジェット機による轟音で反響し、スクリーンの外側にまで暑苦しさが染み出す。そこで、一人佇み、原石とも言えよう荒削りなラップを反芻している女の子サクラがいた。彼女は、《暗夜行路》などといった難しい言葉を並べ、巧みに己のリリックを並べていくのだ。

そんな彼女は、退屈が流れる街を退屈そうに歩く。そして眼前に群がるヒップホップ集団に喧嘩を売り、あっさりと負けてしまう。彼女は自分の言葉を掴めずにいて、自分の言葉を探す為、辞書に齧り付く。しかし、彼女は既に言葉の杖の振り方を忘れてしまった。スランプだ。夢では、無数の観客の前で立ち竦む自分が投影される。無意識レベルにまで、言葉を掴めない自分に対する幻滅に心が蝕まれていたのだ。

そんな彼女が、再び言葉の杖を握り羽ばたくまでの過程から宮崎監督は地方都市・貧困層の《閉塞感》を描いている。言葉を知らない者は、自らの複雑な感情を消化できずに暴力的となる。そのメカニズムが閉塞感に通じていると彼は説いているのです。そして、アメリカから来た女の子レイとの関係を通じて言葉の壁とは何かをひたすら掘り進めていく。その演出に使われる要素の一つ一つが非常に鋭利となっている。

例えば、レイが家にやってくる場面。サクラと兄の部屋の狭間には、カーテンが敷かれている。それは国境のようにも思える。兄はフランクにレイと話す。彼女に合わせた言葉を語り、日本文化を紹介する。しかし、サクラは、カーテンの向こうで鎖国している。言葉の杖を使える者と使えない者の断絶が象徴的に描かれている。そして、レイはそんな境界線をヒョイと乗り越え、サクラに猛アタックする。サクラは、辞書に噛り付いている自分よりも流暢に日本語を使いこなす彼女に嫉妬を抱くが、レイはそんな嫉妬のバリアをアッサリと破壊し、「神社とかじゃなく、レイがいつも行っている場所へ案内して!」と距離を詰めていくのです。そして、ドン・キホーテや漫画喫茶、海老名のビナウォーク、ライブハウスなどといった、旅行ガイドには載らないスポットへ連れていくうちに二人は親睦を深めていくのです。またライブハウスの場面で、キレッキレのラップシーンを描くことで、サクラが持つコンプレックスを強調することに成功しています。

宮崎監督は、社会にある意外な境界線を突き、その境界線を取っ払った先にある心の対話の存在を見出している。『TOURISM』では、スマホという境界線を取り外すことで、シンガポール人と日本人との狭間にある本当の異文化交流を明らかにした。本作の場合は紛れもなく言葉である。日本語、英語、はたまたサンプリングでしかないと揶揄されているヒップホップの文法といった言葉の壁を乗り越え、自分の感情を言語化する瞬間を描くことによって生まれる平和を見つけだした。

あれだけ、暴力的で自分勝手だったサクラが、地を這うようにして掴んだ散文形式のリリックは魂を鷲掴みにするパワーがありました。

今後も宮崎大祐を追っていくとしよう。
タイトルに掲げた土地の特異性とヒップホップの使い方に消化不良を感じたが、ただ女の子二人が仲良くなる朴訥とした物語はぐっとくる仕上り。酔っ払った遠藤新菜がかわいい。レイの前では歌えなかったさくらが、林の廃墟で喃語のような歌詞を獲得する。再誕生の物語
無力感やよく分からない違和感をどう対処したらよいのか戸惑ってしまう。そんな主人公の姿にあたしを含め多くの人が重ねられると思う
でもあたしはヒップホップのストレートすぎる感じがあんまりツボに入らないな
やっぱりあたしはネオアコの内に向かっていく感じが好きです(笑)
ていうかなんでお兄ちゃん横の家のWi-Fiのパスワード知ってるんだ!(笑)
Lemmy

Lemmyの感想・評価

4.2
ひとりの時は言葉がでてくるのに、他人がいると口下手で、兄からもボキャ貧をなじられる。

そしていざ会話をしようとすると、米軍機の爆音が遮る。

彼女が人前での歌を取り戻すのは、野宿者が奏でる爆音のメロディの中。この対比!生命と生活、アートとしての音楽の爆音が、軍事的爆音から言葉と歌を奪還しようとする。

さらに登場人物たちにステレオタイプな日本人がいないのもすごい。鰻屋の主人でさえ、越境した親類の記憶がある。

同時に、人々はナショナリティを背負わされるがゆえに、日本人とアメリカ人とそのミックスであることにアイデンティティを見出そうとして失敗していく。(この失敗も見事!)

そして「大和」という名称と、その場所が米軍基地のバックヤードとしてあること。

ただ残念なのは、最初のゴミの山と、廃墟の演奏シーン以外で、印象的な画面がなかった。もっとできたはず。
suuuu

suuuuの感想・評価

3.3
いま日本が直面してる社会問題がたくさん詰まってる。どう変えるのかという問題は留保しながら、ただ詰まってる、という印象。
会話を途切れされる飛行機の爆音は思考をかき消す怒号のような焦燥感。
キャンピングカーの入り口のやり取りはヒップホップ的なbeefに発展するのかと思ったけどそうでもないとこが逆にリアルヒップホップだなと思った。クラブのシーンとかも笑っちゃうくらい冷めてて君の鳥は〜のお洒落なクラブシーンと比べたら、大和ってお土地柄にすごく合ってて良かったなぁ。

韓英恵さんと監督のトークショー付き上映でした。韓さんははこのまま良い作品に沢山出て役者として生きてってほしい。
レイちゃんかわいすぎ。それはそれとして、全体的にいろんなもんがちょっとずつダサい。サクラが何にそんなに鬱憤を募らせてるのかもよくわからないし、前半けっこうキツかった。途中であぁこれはアメリカのよくあるヒップホップサクセスストーリーをパロディにしてんだなとわかってからは、いろんなダサさが全部おもしろくなってきた(主人公が最後までマトモにラップしないことも含めて)。いや、横浜って都会ぶってるけどめちゃくちゃイモですよ。嘘だ謙遜だと思うなら一度あなたも市営地下鉄に乗ってみなさい。
横浜の住人としては、10年おきくらいに何回も観たい映画。話が普遍的に面白いとかではなく、2010年代の横浜ってそういえばこんなだったな、っていうのをここまで捉えた映画は稀有だと思う。あっという間に古びるタイプの、やがて帯びるであろうノスタルジーを早くも感じさせる映像。

このレビューはネタバレを含みます

大和の土地の色を出すことは
出来てる…

さすが芦澤カメラマン!

ただ、厳しく言うと
脚本はかなり工夫の余地を
残してた気もします…

まず、音に関する演出

戦闘機の爆音が
鳴り響く中で会話してるのに
会話のセリフのレベルを
不自然に上げたから
戦闘機の爆音より会話が
よく聞こえる謎の現象が…

爆音の大きさを考慮して
演出するほうが良かったと思う…

その他、バンドの演奏等の
音のレベルが
不自然に大きいところが…

そして、あのバンドの音は
ラストに生かしてほしいところ!

脚本面だと
気になったのは

「サクラとレイの距離が
唐突に縮まる」ところ

化粧っ気のないサクラが
メイク道具を気にしたところで
レイがメイク教えるとか
きっかけはあったと思う…

伏線回収が欲しいところが
されてないために
「あれどうなった?」を
連発してしまう部分がありました…

そして、ここが一番気になった!

サクラは結局
自分で自分を追い詰めてたのを
ラストで自己完結しただけに
見えてしまうところ

もっというと
サクラが内省的に
悩みを抑え込むので
何を背負い込んで
追い込まれているかが
分かりにくかったところ

優しい家族も友達もいて
生活は不自由していない

そんななかで
どうしてヒップホップで
自分を変えようとしてるのかと
自分を変えようとする意思の
表れ方が大人しすぎるのは
かなり気になりました

「なんでヒップホップやってんの?」
という問いに正面切って
アンサーを返しきれていない
部分があった気がします…

厳密に言うと
ラストのアレは
ラップというより
ポエトリーリーディングで
ちょっと違うのも気になる…

今作は
富田克也監督の「サウダーヂ」と
どうしても見比べてしまうのですが

今作こそ
「サウダーヂ」のラストのような
物語の方向性に持っていくほうが
面白さがグッと増した可能性が
高いと感じました

映画製作の志の高さは
凄く感じられたので
ボロクソに批判するような
作品ではないと思うけど

脚本をちょいと工夫すれば
予算を掛けずにもっと良くなる
部分があることと
今後の映画作りへの
叱咤激励を込めて
少し厳しめに星をつけました
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