死んだってへっちゃらさの作品情報・感想・評価

「死んだってへっちゃらさ」に投稿された感想・評価

イワシ

イワシの感想・評価

4.3
鶏に触れるアレックス・デスカスの手の動きはボクサーにマッサージを施すトレーナーのようであり、その慈しみに満ちた手の動きに『ボディ・アンド・ソウル』のカナダ・リーが体現していた悲壮を予感する。そしてその手の動きはイザック・ド・バンコレに受け継がれるだろう。

鶏の世話をする様子をどれも丁寧に描写しているのが素晴らしいのだか、まるで空を飛行する鳥のように鶏の羽を広げるアレックス・デスカスに涙ぐんでしまう。あと、鶏のための食事もそれを作るところから細かく描写されるが、その場所がレストランの地下室というのもたまらない。
闘鶏になぞらえられた二人の主人公を通して見る奴隷としての黒人たちの被抑圧の過去。示唆的なボクシングのショット。ファノン『黒い皮膚、白い仮面』から引かれる「二重の抑圧」により現れる二人の違い。
hardeight

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4.3
しょっばなから不穏な空気を漂わせ、何重にも亀裂の線を走らせながら、静かなカタストロフィに向かっていくイザック・ド・バンコレとアレックス・デスカスの二人に引き込まれた。あと、鶏のトレーニングシーンが最高によかった。
mingo

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4.0
ドニディスクないのなんでなんですか、ジャームッシュしかりヴェンダース、リヴェットそれぞれの作家の意図や構想をオリジナルに昇華してる稀有な作家だと思うんだけど。。。
「コックファイター」「チャイニーズブッキー〜」の暴力が描く世界観をもとに、能動性のない去勢された世界が見える映画。「死んだってへっちゃらさ」という鶏はジョスランの分身であり、呆気なさ、映画全体の悲劇性を運命のように抱えている。レイシズムが精神的に蝕むのを人種間で描くドニのパワーは観てるこちらもエネルギーが必要だ。黒人社会で自由に生きるメッセージ性の強いボブマリーのバッファローソルジャーがたまんなく哀しい。
habtex

habtexの感想・評価

4.6
ただただ最高にカッコいい映画。

最後のコックファイトの前、騒ぐ群衆の中で、座り込み、静かに鶏を撫でるジョスランを、微妙に引いて捉える手持ちカメラの緊張感が素晴らしい。

ダーとジョスラン。
二人の違いは社会に対して己を発することが出来るかどうかだと思って観ていたけど、大寺さんの講義で、そんなに深い理由があるとは、と知って勉強になりました。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.1
【これがホンモノのポケモンバトルだ!】
新文芸坐でクレール・ドゥニ特集が組まれてました。今回なんと『死んだってへっちゃらさ』が公開された。これは私の聖書『死ぬまでに観たい映画1001本』に収録されているものの、日本では未DVDか、アマゾンで輸入DVDを買おうにも取り扱ってない幻の映画だ。

内容も、クレール・ドゥニ監督がモンテ・ヘルマンの『コックファイター』に影響されて作ったという闘鶏映画。これは面白くないわけがない。

ってことで、自主プレミアムフライデーを発動して観てきました。

冒頭から面白い。「人は国籍、宗教、信条、イデオロギー関係なく誰でも可能性を持っている」というテロップから始まると、一人の黒人が全く同じことを語る。独特な反復におっ!と引き込まれる。そしてタイトルの『死んだってへっちゃらさ(S'en fout la mort)』の意味に驚いた。ゾン・フ・ラ・モーかっこいい!

そして、西インド諸島マルティニーク出身の黒人とアフリカベナン出身の黒人がフランスで裕福になる夢を抱き闘鶏ギャンブルに明け暮れる様子が描かれる。

映画評論家大寺さんの講義によると、日本人からは同じ黒人に見えても、黒人同士お互いを比べあっている。フランスの植民地ということに誇りをもっているマルティニークの黒人像が象徴的だということ。それを踏まえるとNetflixにあがっているナイジェリア映画『オクラを買いに行かせたら』に近い洞察力がそこにある。

一見シンプルな闘鶏映画。それこそ、バトルに夢中になり鶏に愛情を抱く様子は、ポケモンにおけるサトシとピカチュウの関係に近い。

しかし、よくよく見てみると、フランスに暮らすと誰しもが抱く目線が鋭く怖い黒人が何を考えているかを徹底して掘り下げた作品と言えるだろう。

神話的で深い深い闇に足を突っ込んだような作品でした。

P.S.えっ動物に危害を加えていない?うそだー
buccimane

buccimaneの感想・評価

4.0
確かにカニエみたいなやつがPE?聞かせてトレーニングつけるのも背伸び感あるしダディーGみたいなやつがカーステでバッファローソルジャー流すのとは説得力が違うな。
トレーニングつけるシーンも痺れるけどダーさんが旅支度するシーンも同じくらい美しくてウットリした。
ヤマ場の闘鶏シーンはキマッたカットを撮るの難しいよな。
ムチコ

ムチコの感想・評価

3.8
かっこいい幕開け。
黒い肌の男、白い鶏、白いモヘアニットの白い肌の女、そこに血!
無口な闘鶏マンと忘れられない女、って「コックファイター」なんだけど、どんどんどエモになっていくので神代辰巳ぽいなとも思った。
smmt705

smmt705の感想・評価

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ジョスリンとダーがただ画面におさまるだけで超絶にかっこ良くて、その2人にはまた別のルーツがあり、抗えないことに抗わないジョスリンの弱さに、人種の根深い問題を感じる。死んだってへっちゃらじゃないのに、私たちは確実に死に向かっているという事実とともに、この映画の持つ様々な力が、改めて、映画ってすごいってなる。
宇京

宇京の感想・評価

4.0
はじめは夜のめっちゃ暗闇の車内で煙草の煙を吐き出す後頭部右側を後部座席のあたりから、さいごは外から並走するように、左側から窓越しに、車のなかで煙草を吸う姿をみつめて、やがて対象の車が走り去っていく。息苦しさがかっこいいしつらいなと思っていたら、ドアノブを壊すいきおいで彼は外に飛び出して、道路のむこう、雲の重たさ、明確に遠い彼との距離。遺体の遠さも語りかけることによって強調される? 鶏の鳴き声は物語のなかのものなのに、物語を引き裂きそうな強度があって頻繁だし唐突だし、わりと緊張しました
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