ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「イェルマ」の作品情報・感想・評価

ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「イェルマ」2017年製作の映画)

National Theatre Live: Yerma

上映日:2018年09月28日

製作国:

上映時間:109分

4.1

あらすじ

「ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「イェルマ」」に投稿された感想・評価

キウイ

キウイの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

物語はとてもシンプル。
妊娠・出産ができれば幸福が訪れると思い込んでしまった女が、不妊という現実を受け止める術を見出せず、周囲を巻き込みながら自分自身を絶望のどん底に追い落としていく。

原作戯曲で描かれた「村社会」を、現代のインターネット空間に置き換える発想が面白い。主人公の女は自身の辛く苦しい「妊活」の詳細をブログに綴ることでそれなりの共感なり評価を得る。しかし徐々に、ブログに描かれる切り取られた自分と、現実を生きる多面的な自分との区別がつかなくなり、女は極端にネガティブな方向に偏った人物へと姿を変えていく。

インターネット空間は悪意で満たされやすい。実生活では吐露することをためらうようなネガティブな感情でも簡単に垂れ流すことができるし、それによって称賛さえされてしまうからだ。
女はネガティブな感情を不特定多数の人間に承認されることでどす黒い満足感を得て、歪んだ自己承認欲求をますます増幅させ、大切なはずの人たちとの愛情のやりとりなど、彼女にあるはずのポジティブな部分を完全に見失っていく。男女限らず、現代において数多く起こっていることだと思う。

私は女性だが、妊娠・出産を自己承認欲求を満たすための道具のように考えている主人公にはまったく共感できない。夫・ジョンが劇中で語るように、そこまでして子どもがほしいのなら養子縁組ではなぜいけないのかと疑問に思った。主人公が母から望んだ愛情を得られなかったことを思わせる描写があったが、私はむしろ、子どもを持ったことに対する戸惑いを正直に認め、どこか飄々としている母親に対しては好感を持ってしまった。
だけど、私も妊娠に限らずほかのことで似た状況に陥る危険はあり、この悲劇はまったく他人事ではない。とても普遍的なテーマを扱った作品だと思う。

好きか嫌いかでいえば正直好きではないけれど、舞台転換など含めて素晴らしくよく練られた作品で見応えがあった。
S

Sの感想・評価

-
1934年に上演された本を現代に合わせて演出されていた。産みたいのに妊娠できない女性と、翻弄されてゆく旦那、そこに現れた元カレ、いやー、しんどすぎたけど凄かった。妊活する方々への共感が少し湧きました。
moto

motoの感想・評価

-
産みたいと思うひとにいつどんな道理でどういう口調で諦めろと言えるのか…
sakey

sakeyの感想・評価

5.0
正直、私は結婚したいとか子供欲しいとかっていう願望が一切ない、今のところ。
でも将来どう思うかなんか分からないし、共感は出来ないんだけどいずれこうなる可能性もあるんだよなって思いながら勝手にしんどかった…
何よりビリーパイパー他演者陣の演技力よ…生で観たかったけど、こんなん目の前で観せられたら放心状態になりそう。

誰にでも起こり得るし、誰も悪くない(度が過ぎる執着は良くないけど、切望するのは悪い事ではない)から余計に救いがなくてしんどいよね。
どんどん精神を破滅していく様が繊細且つ恐ろしい。
自分の力だけではどうしようも出来ない事に出くわした時、努力してなんでも自分で手に入れてきたであろう人生を送ってきた女性だからかあの様な結末になってしまうのだろうか。
彼女が思い描いていたであろう理想と実際に起きている現実との差に観ているこっちまで本当に辛くなった。
浮浪者

浮浪者の感想・評価

3.7
「概念」と「受胎」2つの意味を背負わされたConceptionなる言葉を過剰なまでに突き詰めていった先に起こりえる運命の総覧。
これはすごいなぁ。1つのテーマがあった時に、その状態に陥った人間をとことん描き切ることの怖さと気持ち良さ。
少し遅れて神戸で上映があったので
最終日に観てきました。
イェルマ=不毛を意味します。
30代後半で家も仕事も欲しいものを
手に入れていた夫婦でしたが
子供だけは授からない。
初めては夫婦のなんて事ない会話、
ともすると下品なくらいだけど
温かく和気藹々としていたのに
段々と彼女の方が子供ができない事に焦りだし、最後は狂気にまで
発展し人間関係が崩壊していきます。
最初の方は暗転がおおくてなかなか集中できませんでしたが
後半は固唾を飲んで次のシーンを
じっと待っている自分がいました。
やがて彼女は人工授精を繰り返し
莫大な借金にまで膨れ上がり
それでも妊娠を切望するんです。
今まで見守り続けていた彼が
“自分の精子もしんで君の子宮も死ねば子供を諦めて愛する君が自分のところに戻ってきてくれるかと思ってた”
と強烈なセリフが突き刺されました。
とてもヒリヒリとした舞台で
見応えもありとても満足しています。


NTLの来年のラインナップはどうなるかとても楽しみです。
観られる劇場は限られてるので
タイミングを合わせるのは少し難しいですが多く観ていきたいです。
atsuko

atsukoの感想・評価

4.0
全面ガラス張りのケースの中が舞台という演出、斬新でステキだなぁと思った
主演女優と旦那役の役者のエネルギーがすごい。演出も簡潔で斬新。
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