未来を乗り換えた男のネタバレレビュー・内容・結末

上映館(9館)

「未来を乗り換えた男」に投稿されたネタバレ・内容・結末

ドイツ映画だけど、フランスのマルセイユが舞台の映画。

世界観とかあんまり説明ないまま進んで行くストーリーでヨーロッパ映画だなって感じ。

ドイツのナチスを参考にした集団に追われている設定だけど、
主人公がどこか楽観的で場当たり的な行動を取ってみたり、
人の奥さんで愛人もいる美女と隙あらばイチャイチャしようとしたり、
あらすじ読んで他人に成りすまして過ごす主人公の身元がいつバレるかヒヤヒヤしながら過ごす緊迫した映画を想像していたからちょっと拍子抜け。
 
ギャラで揉めた海外ドラマの登場人物のように唐突に退場する登場人物ばかりだし、始終謎の男のナレーションが入るから、誰かに共感っていうより、フワッと映画の雰囲気を楽しむ作品。
第二次世界大戦下のマルセイユを描いた原作を、現代のマルセイユにおいて再現してみせようという野心的な試みは、深刻な難民問題があり、世界中でナショナリズムが吹き荒れている現状を思えば、不気味なほど馴染んでしまっていたように思う。自身が何者であるかを証明しなければ、たとえ証明できても為政者に沿うものでなければ排除されてしまう不条理さは、その地獄のなかで生きるのはもうほとんど死んでいるようなもので、あまりに唐突に訪れる数々の死は、長閑に見えるマルセイユが一寸先には死が待つ、まさしく戦場であった/であることの証左だろう。

そんな戦場を背景に繰り広げられる、ゲオルク、ゲオルクが成りすましている作家の妻・マリー、マリーの愛人・リチャードが織り成すメロドラマがたまらない。一度は作家を捨て愛人と新天地を目指したマリーが(作家の自殺の理由は明かされないが、わたしはマリーとの別れによるものだと思う)、翻意して夫の死を知らないままに、たしかにいるはずなのに決して追いつけない夫の姿を探し求めるさまは胸に迫るものがある。そして、君が追っているのは僕なのだと、自身の恋が報われないということをこれでもかと思い知らされながらも告げることができないゲオルクの心中を、さらには一度はともに未来を夢見た女性が他の男性を追い求めるようになってしまったリチャードの心中を思うと苦しい。作家が存命でさえあれば、一組の男女が復縁し、二人の男性が失恋するという、苦くも整然とした結末へ落ち着けたにも関わらず、彼女の想い人がもうこの世にいないことを告げられないゲオルクと、受け入れられないマリーによって、ゲオルク・マリー・リチャードは永遠に乗り継ぎ地点から進めない。どこにも行き着けないこの恋愛関係は、やはり唐突に終着を迎えてしまうのである。

ゲオルクが作家になりすまして生きていくにあたって、もっとも不都合であろうマリーはもうこの世にないのだから、ゲオルクはどこへだって行けるというのに、彼はマルセイユから離れることができない。マリーが夫の幻影に縛られていたように。つまり彼は賭けたのである。マリーが乗船しなかったことに、彼女が夫の姿を辛抱強く探していたであろうことに。さて、あのラストショットは彼が賭けに勝ったとみるべきか、もしそうであるならば、彼は彼女に告げることができただろうか。君はもうこの街にいる必要はないのだ、と。
移民とナチスと不思議な男女の三角関係(四角?)。
久々に聴いたエンディングのTalking Heads が、暫く耳から離れなかった!
ファシズムの嵐が吹き荒れるドイツからパリに逃れた青年ゲオルク。ドイツ軍のフランス侵攻を受けて国外へ逃れるべく港町マルセイユへたどり着く。そこでは受け入れ国を求める人々が先の見えないまま不安な日々を送っていた。

ナチス支配下のドイツから亡命した作家の小説が下敷きになっているが、現代劇に置き換えられ難民問題へと焦点が変えられている。ただ、いわゆる社会派の映画というよりは不条理劇のようだった。

ひとつの出来事が次の出来事のきっかけとなって物語が続いていくのだが、円を描いてまた戻って来るだけで誰もそこから抜け出せない。3人分の乗船券とヴィザは整っているのに、2人の男と1人の女は旅立とうとしてはまた引き返すことを繰り返す。

ドイツ軍が迫る中、ゲオルクと同じくマルセイユで足止めされていた人たちのある者は心臓発作で死に、ある者は自ら死を選ぶ。ゲオルクの死んだ友人の妻と息子だけは姿を消すのだが、マルセイユを去ることができたのかはわからない。

主人公がいうべきことを女に伝えれば丸く収まるのだが、彼は自分が彼女の夫になりすましたことを告白できない。女の方も、愛人と去るのか夫を探すのか決めかねている。もどかしさが極限に達した時、やっと主人公は2人を旅立たせる決心がつくのだが…

2人を船に乗せてやっとケリがついたと思ったらまた女が姿を現し、「えっゲオルクは自分が逃げるのを諦めて乗船券を譲ったのに…」とガックリしたのだが、実は船は沈んでいた…というオチの衝撃でそれまでのじれったさとかイライラとかが吹っ飛んでしまった。

状況把握に時間かかった。
この映画、予告も知らず前情報何にもなしで見てしまって、最初結構いつの時代?って困惑した。
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時代設定は現代だけど、架空の世界の話で現代なのに第二次世界大戦中のファシストだかなんだかのような言葉が出てくる。
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なんか今の難民問題と昔のユダヤ人迫害とかかな?を融合させてるらしい。
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自分なんならタイトルも「未来を塗り替えた男」だと思ってたからさぞかし歴史の難しい話だと思ってたからかなり肩透かし食らった(笑)(笑).
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「未来を乗り換えた」んだからもちろん主人公は他人になりすまして亡命して、亡命先で好きになった女の人は実は自分がなりすました人の奥さんでしたって話。
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物語はカフェの店員の語りで進んでくんだけど、最後まで誰が話してるかはわからない。だから実はこのテーブルが話してるんでは?.
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とファンタジー的なワクワクする話を想像してたんだけどそこも普通に人間だったっていう2度の肩透かしを喰らいました(笑).

ドイツ人作家Anna Seghersが執筆した原作トランジットは第二次大戦直前の設定なのですが、それを現代の移民問題に投影した作られています。

確かに、どちらにとっても通過査証って命綱的な物でしたね。
日本でも数年前、ぎりぎりまで発行し続けた人の英雄的映画が有りました。立派でしたね、
昔の関所の通行手形みたいな感じかな。まぁ、実際は関所の通過は一部を除いてはそんなに困難では無かったみたいですけど。

コレは逃げ出すまでの緊張感を最後の最後まで引っ張りながら、人物描写が素晴らしい作品。
最後に誰かと食事をしたかった御婦人。捨てた夫を必死で探す女。
そんな時でもきっちり美女に惚れる男性陣の逞しさと言うか性を感じたり。

だけど何より、船が出た後の最後の最後のカフェでのシーンが印象的でした。
低予算特殊設定SFでいかにもヨーロッパ的。ナチスのユダヤ人迫害を現代の難民問題に重ね合わせた意欲作。

ただナチス的存在はほとんど背景のようなもので、1人の男と女の数奇で苦い運命の物語になっていた。

主人公が最後、当初のヒロインと同じく愛する人の死を認められずに待ち続ける煉獄のような世界に入ってしまうという後味の悪さは好み。

ただいかんせん地味だし、唐突にナレーションを挟む構成が映画としては不恰好であんまり良くない気がする。

こういうシュールな時代ごちゃまぜSFはたくさん作って欲しいけど

小説を集中して読んでる時のような感覚で観れた。「原作ものなんだろうな…」って思いながら観てたらやはりそうでした。


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------ドイツの作家アンナ・ゼーガースが1942年に亡命先のマルセイユで執筆した小説「Transit」を、現代に置き換えて映画化。ユダヤ人がナチスの理不尽な迫害を受けた戦時中の悲劇と、祖国を追われた難民をめぐる問題が深刻化している21世紀の今の状況を重ね合わせるという大胆な試みを実践した野心作である。(公式サイトより)

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観客との距離を保ちつつ、過去と現代が重なり合うその世界に取り込み翻弄するタッチが好み。
マルセイユという港町、行き交う人々、追い詰められる不法移民(戦時中の難民)、マルセイユの収容所、新たな身分証明と共に未来を歩もうと錨を上げ……ようとしつつ結局マルセイユに取り込まれてしまう主人公。思わぬタイミングで人が死に、死ぬんじゃないかと思ったタイミングで生き延び、まるで人生。
描かれていることの意味は、私が理解したよりもっとずっと深いだろうけれど、とにかくこの映画、「それを観て自分がどう反応してるか」が意識出来て見応えあった。

3部作の最後になるらしいので前2作も観たい。

ただひとつ、エンディングの歌(Talking Headsの“ROAD TO NOWHERE” 歌はそれ自体じゃなくて…です)で余韻が吹き飛んだのが残念。

Talking Headsの楽曲“ROAD TO NOWHERE”




メモ📝
『婚約者の恋人』のパウラ・ベーラの美しい瞳………さすがオゾン。
『未来を乗り換えた男』試写会にて。フランスから逃げようとしてあるきっかけから有名作家に成り代わる主人公と作家の妻と医者、同じような状況の人々とアフリカからの難民と、それぞれが不法滞在の行き詰まった中で徐々にアイデンティティを失い、ついには匿名の存在として(いつの間にか)消えていく物語。

原作はナチスのフランス侵攻を背景にした1940年代だけど、見た目はうら寂しい現代のマルセイユを舞台にしたファンタジーに昇華している。(じゃないと単なる救いようのない重苦しい悲劇になってしまう)
観ていくにつれ、この不思議な雰囲気に取り囲まれる感覚はタブッキの『インド夜想曲』の雰囲気をふと思い出した。
内容的にはナチスの時代を描いているのに、舞台は現代。
違和感から抜け出せないまま終わった。

調べたら現代の移民問題などを含めたメッセージが込められてるらしい。
それを後から知ってあぁそうだったんだって思うけど、どっちつかずな映画だったな